呼び出し
朝、目が覚めたら美少女が俺と同じベットで寝ていた。驚きのあまり、俺は混乱してベットから転げ落ちる。
「う、うわあああ!!」
と言う夢を見た。ベットから転げ落ちて目が覚めた事で夢だとわかった。なんとも悲しい目覚めであった。
ピュトン討伐から三日経った今では、ガストンさんと仲良くなり酒の飲み相手になっている。
俺は未成年だから無理だと断ったが、酒は未成年だろうと飲んでいいらしい。なんでも貴族達はワインなどを幼い頃から飲んでいるからとのこと。
なんとまぁ勝手なこと。
ガストンさんのおかげで、俺は二日酔いと言うものを初めて味わった。あの人、無茶苦茶酒強いからって強引に飲ませてくれるから、酷い目に遭った。
そのおかげで酒場のマスターとも仲良くなった。マスター曰くガストンさんは酒豪らしい。昔、飲み比べをしたら酒場の酒を全て飲み干したという武勇伝があるんだと。
そりゃ強いわけですよ。
さてと、今日はどんな依頼を受けようかと考えながら宿を出て行く。宿を出た矢先、騎士に捕まる。
「貴殿がショウ殿か?」
なんかよくわからないが騎士の人が俺にそう尋ねて来る。もちろん、厄介ごとの匂いがするので嘘をつくことにした。
「いえ、違います」
「ふむ。確か黒髪の少年と聞いてるのだが?」
どうやら特徴がバレてるみたいだ。誤魔化すことも出来ないので正直に答える。
「……俺がショウですけど」
「そうか。悪いが一緒に来てはくれないだろうか?」
「断ると言ったら?」
「構わないが……ララ様が悲しんでしまう」
「何をグズグズしてるんですか! 早速、ララちゃんの元へ行きましょう!」
「……」
冷たい目で騎士の人に見られるが、そんなこと気にしちゃいけない。ララちゃんが悲しむのは良くない。下手したら俺国家反逆罪とかあり得るんじゃないのだろうか。
騎士の人達に連行されるのだが、とにかく目立つ。ただでさえ俺が黒髪なのに、その上騎士に連行されてたら何かしたんじゃないかと思われてしまう。
まあ、実際オルランドでは人殺しで牢獄にぶち込まれたけど脱獄して来たからね。
でも、この騎士達は知らないようだ。と言うよりはガストンさん以外は今だに知られていない。俺の予想だと手配書は回っててもおかしくはない。
だが回ってないなら無いでいい。そのおかげで俺は今余裕を持ってギルドの依頼を受けれるからな。
そんなことを考えていたらいつの間にか城に到着していた。城の中へと連れて行かれる。
「この先にララ様がおられる。ここからはお一人で行くように言われたので私達はこれで」
騎士達は回れ右をすると帰って行った。
騎士達はいなくなり俺一人となった。目の前には扉があるだけ。その中にはララちゃんが待っているとのこと。
行くしかないよな。
「失礼します」
意を決して扉を開ける。すると、中にいたのはガストンさんとララちゃんの父親、ゼオン・ヴァーミリアンがいた。
白獅子と熊ですか……
喰われるんじゃないの、俺?
「おっ! ショウ来たか!」
「久しぶりだね。ショウ君」
「ガストンさん昨日ぶりですね。ゼオンさんお久しぶりです!」
俺はガストンさんに目を向けた後、ゼオンさんに頭を下げる。やはり、この国の王でもあるからな。無礼な態度はいけないだろ。
「頭を上げたまえショウ君」
「はい」
「ショウ。堅苦しくねえか?」
「正直言うと……」
「ガッハッハッハッハ! やっぱりか!! 普段通りでいいぞ。どうせ俺達以外はいねえからな」
そう言われて周りを見てみるが、この二人以外は誰もいる気配がなかった。
お言葉に甘えさせてもらおう。
「いやぁ! マジ敬語は辛いっすねー」
「ガッハッハ!! やっぱりショウはこうじゃなきゃな」
「それよりショウ君……オルランドでのことはガストンから全て聞かせてもらったよ」
ガストンさんに目を向ける。ガストンさんは悪りぃ悪りぃと言うかのように俺に頭を下げている。
俺がガストンさんに教えたのは俺が闘技大会で相手を殺したのと脱獄したことだけだ。もし捕まえると言われたら流石にこの二人を巻いて逃げるのはキツイものがある。
まだこの二人の実力を俺は知らない。ゼオンさんはこの国最強の武人でありガストンさんはSランク冒険者である。二人ともかなりの実力者なのは間違いない。
それは置いといてどうするかな?
なんて言えばいいんだろう……
「捕まえてオルランドに引き渡しますか?」
「そんなことはしないさ。そんなことをすればララになんて言われるか分かったものじゃないからね」
親バカで本当に良かった。
「それより俺はなんで呼ばれたんですか?」
そう、何故俺が今日この場所に呼ばれたかだ。これだけは聞いておかないと。
「ふむ……今日呼んだのは他でも無いショウ君に聞きたいことがあってね」
「俺にっすか?」
「なーに。ショウ。そんなビビる事じゃねえよ。ある噂についてだ」
「ある噂?」
「うむ。ショウ君、君はオルランドにいたのだよね?」
「はい。それが何か?」
「伝説の魔獣のことは知っているかい?」
「ええ。知ってますよ」
「伝説の魔獣を倒したのは君なんじゃないか?」
「な、何を根拠に?」
「ショウ。その噂がよ、黒髪の英雄が倒したって言うんだよ。それでお前の実力を見ちまったからな」
成る程そう言うことか。だが黒髪とまでしか割れてないならまだ誤魔化せる。
「いやぁ。俺じゃないですよ」
「違うのか?」
「実はオルランドには勇者と呼ばれる者達がいるんですよ。その者達は全員異世界の人間であり黒髪なんですよ」
「そうなのか!?」
「はい! しかも異世界人はこの世界の者達よりもステータスが優れているんですよ」
「それが本当なら伝説の魔獣を倒したのは勇者と言うことになるのか……」
ゼオンさんが眉間にシワを寄せる。なにか考え事をしているようだ。
「なんかショウは詳しくねえか?」
「オルランドでは有名っすよ」
「そうかぁ? でもお前も黒髪だからお前も勇者なんじゃねえのか?」
ガストンさん鋭いわ……
「染めたんすよ、俺のは」
「染めたにしては色鮮やかな黒髪だけどな」
「地毛がわからないくらい頑張りましたから!」
「ふーん。そうか」
まだ疑ってるわガストンさん。この人は要注意人物だな。良い人なんだけど鋭すぎる。
「そう言えばララちゃんに呼ばれたって聞いて来たんですけど?」
「ララが?」
ゼオンさんが何言ってんの? みたいな顔でこちらを見て来た。でも、確かに俺は騎士からララちゃんに呼ばれたって。
嘘だったのか?
いや待てよ。なんで嘘をつく必要がある?
普通にゼオンさんが呼んでるといえばよかったんじゃないか?
なのになんでララちゃんが呼んでるって嘘をついたんだ?
まさか……
突然、扉が開いたと思ったら騎士が慌てて入ってきた。
「た、大変です! ララ様の姿がどこにも見当たりません!!」
「何ぃっ!!!」
改訂済み




