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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第一章

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トラップ

 フロアボスのヴァンガラを倒したからな!


 俺のステータスも上がってんだろ!


 ◆◆◆◆

 山本 翔 男 17歳[称号]異世界人

 Level 16


 体力:330


 魔力:520


 知力:180


 筋力:275


 俊敏:225


 器用:235


 耐久力:765


 運:250


【スキル】

 《武神》常時発動。ありとあらゆる武具武術において神の領域に達する。ステータス補正、筋力、俊敏、器用、耐久力。物理的攻撃力八割上昇、物理的ダメージ八割減少。

 《武具創造》己の知識にある武具を魔力を消費して創造可能。武器、防具、道具は性能により魔力消費量は異なる。

 《異空間収納》別の空間に物を収納できる

 《魔力化》魔法を体に固定させる事で魔力体になり、属性と同じ性質に変化する

 《気配感知》常時発動

 ◆◆◆◆



 たったのレベル1しか上がってねえじゃねえか!!


 俺今回頑張ったよ?


 なんでさ!!


 まぁいい、上がってるだけ良しとするか。


 さてと、この後は帰るだけだしな。



 多少の不満を抱きながらも帰れるという喜びに打ち消される。



「団長!もう少し進みませんか??」


「目標は達成したのだから帰るぞ!」


「でも、まだ行けますよ!!」


「そうですよ! この調子なら余裕ですよ」



 何をトチ狂ったのか一部のクラスメイトが団長に抗議している。こちらは一刻も早く帰りたいというのに冗談ではない。



 おいおい!


 バカなことを言うんじゃない!


 さっきのヴァンガラに苦戦したんだから諦めて帰ろうぜ??


 てか、帰りたい!!!



「しかしだな…」


「大丈夫です! 自分達で責任は取りますから!!」



 責任取るとかそんな問題じゃねえよ!


 よし、ここはガツンと言わないとな。


 無理です……


 視線が怖い……


 無理無理マジ無理。



「わ、わかった。そこまで言うのなら仕方ない。もう少し先まで進もう」


「あざぁーす!!」



 嘘だろう!!


 勘弁してくれよ!



「では、これより先に進む。油断しないように!」



 ふざけんなや!!


 なんで、引き返さねえんだよ!!


 はぁ、もういい……



「よっしゃ!!」

「へへっ!どんどん行こうぜ!」

「はあ…付き合うしかないか。」

「まだ行くのかよ〜」

「しゃーなしだな」



 愚痴を言ってはいるが内心楽しそうにしているに違いない。何もなければいいのだが、果たして無事に帰れるのだろうかと不安に思うばかりであった。



 ◆◇◆◇



「おい!俺たち凄くね!?もう20層だぜ!」

「そうだな!それに俺らのレベルも20まで上がってるしな!!」

「凄い…こんなに上がるなんて…」

「もはや、敵なしじゃね?」



 いつの間にやら20層にまで到達していた。そのおかげクラス全体が興奮しており色めき立っている。



 まさに快進撃だな……


 俺も驚いた。


 まさかこんなに早くレベル20になるなんて。


 でも、なんだろう……この感じ。


 なんかに似てる気がするんだよなぁ。



「おいおい、あんまり興奮するんじゃない。それにさっきから君達のペースがおかしくなってるぞ!」


「そんなことないっすよ!団長」

「きっと気のせいですよ」


「何事も無ければいいのだが…」



 団長ポツリとそんなことを呟かないで下さいよ。


 なんかありそうじゃないですか!



「にしてもよーダンジョンなんだから宝箱とかねえのか??」


「ふむ、宝箱か…このダンジョンは攻略されているからな。大抵の宝箱はもう冒険者に取られてるだろう」


「うへぇマジっすか団長。」

「あーあ、夢も希望もねえや」

「男子って単純よね。」



 呑気だねぇ。


 にしてもまだ引き返さないの??


 もう疲れたよ俺……


「だが、トラップなどはまだあるから気を付けて進めよ」


「でも今の所まだ引っ掛かってないですよ」

「ばっか!そんなこと言ってっと引っかかるぞ!」

「変なこと言わないでよー」



 全くだ。


 うっかりトラップ起動させちゃいましたーとかシャレになんねーからな。



 そして、こちらが不安に怯えてる時、クラスの男子生徒が宝箱を発見してしまう。



「だ、団長!!あれ!!宝箱じゃないですか???」


「ん? うーん、見た感じは確かにそうだが」


「しゃっあ!取りに行こうぜ!」


「俺のもんだー」

「男子ークラスで山分けだからねー」

「へいへーい」


「おっおい!ちょっと待て!罠かも知れないだろうが!」


「大丈夫っすよ。多分」



 何が多分じゃ!


 本当に罠だったらどうすんだよ!


 無事じゃすまねぇぞ!!



「うーし、宝箱ゲットー!」

「おい早く開けろよ」

「落ち着けって」

「よし!じゃあ開けまーす!!」



 しばらくの沈黙が続き、クラスメイト全員が緊張に飲まれる。一体何が入っているのだろうかと期待していたら、宝箱を確認した男子達が一斉に叫んだ。



『空っぽじゃねえか!!!』



 どうやら中身は空っぽだったらしい。恐らく他の冒険者が中身だけ取って行ったんだろう。拍子抜けもいいところだ。特に何事もなく終わりそうだったので胸を撫で下ろしたら足元が光を放っていることに気が付いた。



 ん?


 なんか足元光ってんだけど?


 てか、俺だけじゃない!


 他にも光ってるぞ!


 やばいやばいやばい!!


 なんか見たことある光景なんですけどー!


「な!なんだ!?」


「だ、大くん!!」


「大輝さん!!」


「大輝っ!!」


「うっうわぁ!?」



 後方にいた俺達、リア充グループと福田君と俺の足元だけ光っている。これは最悪の事態だ。恐らくダンジョンのどこかに転移させられるトラップだろう。



 てか、リア充グループ大輝大輝うるせえよ。


 あーあ、どこに飛ばされんだろうなぁ。



 抵抗など出来るはずもなく俺はどこかへと転移させられる。

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