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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
後日談

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穏やかな日々

 冒険者になって一月ひとつきが経過した俺はCランク冒険者になった。Bランクまで行こうかと考えたが、色々と詮索されそうなのでCランクで止めておいた。



 そういえば前回のような流れにはなっていない。クルトに出会ったり、女に騙されたりとしていたのに今回は何も起きていない。平和な事であるが物足りないのも事実である。



 今日も今日とてギルドへ赴き、依頼を受けて街の外へ。討伐対象である魔物をサクッと狩り、帰還する。



「いつもお早いですね」


「まあ、強くない魔物ですので」


「それでもCランクの冒険者がソロで狩るには厳しい相手ですが?」


「罠にかけたんですよ。上手く嵌りましてね」


「はあ、そういうことにしておきます」


「どうも」



 馴染みのある受付に、いろいろと勘繰られたが適当に受け流した。別に不正をしているわけじゃないので動揺することもない。



 報酬を受け取って、ギルドを後にしようかと出入り口に向かう。



「……」


「そこをどいて貰えないかしら?」


「っ……申し訳ない」



 思わぬ再会で思考が停止してしまった。目の前に現れたのはヴァルキリアのリズ、ソフィ、キアラの三人組だ。思い掛けないことだったので出入り口を塞ぐようにしてしまい、リズに声を掛けられてから慌てて退いた。



 目で追いかけるが、やはり彼女達は俺のことを覚えてはいない。切っ掛けはララちゃんの護衛依頼だが、今回巡り会うかは分からない。なので、俺は彼女達の後姿を最後にギルドを後にした。



 今日の仕事は終わった。だから、遊ぶ事にしようと街の外へと出て行く。未だに空間魔法は出来ないから転移といった便利な魔法が使えないので、基本走っての移動だ。



 無論、俺が全速力で駆ければ甚大な被害が出る。だから、控えめに走る。それども、十分な速度ではあるが。



 しかし、ここで大きな問題が発生する。



「どこに行くんだ、ショウ?」


「サード……!」


「今、暇なんだろ? 戦おうぜ!」


「嫌だ、断る!」


「しゃらくせえ!!!」


「うわあああああああああああ!!!」



 どうやら、俺が遊びに行くのを察知したようでサードが目の前に現れた。サードは戦うことを拒否した俺に向かって襲い掛かってきた。



 結論を言うとサードに勝った。ただし、辛勝である。今は二人で荒れ果てた大地に寝転がっている。お互い満身創痍で疲れ果てているから。



「今回も俺様の負けか……」


「少しは手加減しろ……」


「無理に決まってるだろ……それにお前にとってもいい修行にはなるだろ?」


「ぐ……」



 事実なだけに言い返せない。確かにサードとの戦いは俺にとって最高の修行といっても過言ではない。今の俺は自他共に認める世界最強である。そのせいで満足するような相手は少ない。



 アインスやサードくらいしか俺と戦えないのだ。アインスは店があるので戦わないけど、サードは別だ。サードは基本的に俺を倒す為、鍛錬に明け暮れている。おかげで、何度も戦っている。



「はあ……」


「なんだ。溜息なんて吐いて?」


「気にするなよ。それより、疲れたから帰ろうぜ」


「そうするか」



 結局、俺は遊びに行く事が出来ず、サードと共にアインスの店へと帰る。



 アインスの店へと帰ると、数人ほど客が来ていた。アインスの店は、アインスの拘りがあって大通りから外れて隠れた名店という感じになっている。



 ここまで辿り着くには入り組んだ路地を歩かないといけない。だから、基本的に客はいないのだが、今日は珍しく客が来ていて俺とサードは驚いた。



「珍しいな。ここに客が来るなんて」



 空いてる席に座り、アインスに話しかける。



「ビックリしたよ。こんな場所にこんな素敵なお店があるなんて」



 アインスに話しかけたつもりだったが、隣にいた客が返答した。見てみると、カップルのようだ。ていうか、クルトとリジーだ。



「そ、そうですね……」


「ん?」



 思わず顔を背けてしまったのが不味かった。クルトが俺の方を覗き込んでくる。別に俺の事など覚えていないので顔を背ける必要はなかったのだが、対応がいけなかった。



 しかし、そこに助け舟が出される。



「ご注文の品です」


「お! 待ってたよ。さっきから美味しそうな匂いがしてたからね。さあ、一緒に食べよう。リジー」


「ええ」



 神がかったタイミングでアインスがクルト達に料理を差し出した。そのおかげで、俺から料理へとクルトたちは意識を変えた。



 助かった……



 ホッとしていると、アインスと目が合う。すると、アインスはウインクをした。



 俺が女だったら今のでやられてた。



 ちなみにアインスは、クルト達が料理を食べて大絶賛を始めると小さくガッツポーズをしていた。



 このままではダメだ。アインスが可愛く見えてきた。アインスルートに突入してしまうかもしれない。



 それだけは避けねばならぬ。拗らせる前に彼女を早く見つけようと改めて思った。

アインスルートはありません

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