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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
後日談

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意外な一面

 サードとクロの二人と一匹で王都を目指し歩いていると、魔物に遭遇する。しかし、魔物は俺とサードを見ると一目散に逃げ出した。恐らく、レベル差を悟ったのだろう。



 それから、しばらくは何もなく順調に進み王都へと辿り着いた。久しぶりに来た王都は最初の頃と変わらない。折角なので、ギルドにでもと向かおうとしたがサードに止められる。



「なにすんだよ」


「ギルドに行きたい気持ちは分かるが、それよりも先に会いたい奴がいる。最初にも言っただろ?」


「……わかった。どこにいるんだ?」


「こっちだ。ついて来い」



 サードに引っ張られ大通りから外れて、裏路地に入る。大通りと違って建物に囲まれてるせいで日が当たらず全体的に薄暗い。昼間だと言うのに気味が悪い感じだ。



「ここにいるのか?」


「ああ。ちょっと、入り組んだ路地裏にいるんだよ。まあ、付いて来な」



 罠なのではと疑うような場所にサードは案内してくれる。大通りから大分離れた場所に着き、サードがとある建物の前で立ち止まる。



「んん? ほう。いい匂いだな」


「流石にわかるか」


「え? なに? なんのこと?」



 今まで黙っていたクロが喋りだして、サードと頷き合う。一人取り残された俺は戸惑い、サードとクロを交互に見る。



 もう訳が分からなくなった俺は、素直に聞いてみることにした。



「いったい何があるんだよ!」


「そうだな。お前に暴れられると面倒だから、中に入るか」


「そうしてくれ。俺様は匂いを嗅いでたら腹が減ってきた」



 言われてサードが目の前の建物へと入っていく。続いて、クロが入り後を追うように俺も中へと入る。



「らっしゃい」



 建物の中に入ると、聞き覚えのある声が聞える。声の主に振り向くと、そこにいたのは頭に鉢巻を巻いてせっせせっせと焼き鳥を焼いているアインスがいた。



「ぶふぉっ! ア、アインス?」


「ん? そうだが?」


「フハッ、ブハハハハハハハハ!!! なんだ、お前。その格好は!?」


「焼き鳥屋の店主はこの格好が正装なのだろう? ちがうのか?」


「いや、イメージは間違ってないけど……ダメだ。笑う。ヒャハハハハハハ!!!」



 死闘を繰り広げたせいもあって、アインスの姿が面白おかしくて笑いが止まらない。戦っていたときは堅物なイメージだったが、ユーモアのある性格かもしれない。



 それにしても焼き鳥を焼いているアインスは、非情に腹立たしいが絵になる。美形なだけあっておかしな格好でも様になっている。



「いや、笑わせてもらったよ。サードが会わせたい奴ってアインスのことだったんだな」


「ああ。笑っちまうだろ? 使徒のリーダーが今は焼き鳥屋の店主なんだからよ」


「そんなことより、アインス。俺様に焼き鳥食わせろ」


「かしこまりました、お客様」


「ひーーーっ! 腹痛え! アインス、俺にも焼き鳥をくれ」


「少し待ってろ」


「アインス、俺様もだ」


「わかった」



 クロが焼き鳥を頼んだのでついでに俺とサードも貰う事にした。アインスは笑った俺に文句を言うことまなく、焼き鳥を出してくれた。



 早速、一本手に取り食べる。絶妙な焼き具合にタレが美味い。焼き鳥をかじりつつ、店内を見回す。小さいけれど、汚さは全くなく手入れがきちんとされている。カウンターに厨房だけといった簡単な造りであるが、好きな人は好きになる店だ。



 ただ、残念なのは店を構えている場所だ。アインスがそれをわからないはずがない。味も申し分ないし、店だって素晴らしいと思う。店主であるアインスの容姿もずば抜けてあるので、大通りに構えれば人気店になってもおかしくはない。



「なんで、こんな辺鄙な場所に店を建てたんだ?」



 気になったのでアインスに聞くことにした。アインスは焼き鳥を焼きながら俺の質問に答える。



「……隠れた名店というのに憧れてな」


「ファアアアア! アインス、最高。もう、本当ウケる」


「で、どうだ?」


「何が?」


「味だ。この店初めてのお客様だからな」


「マジかよ。てか、美味いよ。焼き加減もいい感じだしタレも美味い。塩も食べたけど、ホント美味しいぞ」


「そうか。サード達には食べて貰って太鼓判を押されていたが、お前にもそう言ってもらえると嬉しいな」



 爽やかなイケメンスマイル止めろ!


 俺が女だったら即惚れるわ!



「なんだよ。俺様たちを信じてなかったのか?」


「いいや、そういうわけじゃない。ただ、自信がなかったんだ。だが、ショウ。お前に美味しいと言われて自信がついた。これから、看板を立てて本格的に店を始める」


「お、やっと決心がついたか」


「ああ。サード、待たせてすまない」


「クハハハ。気にすんなよ」


「おい、アインス! おかわりだ!」


「クロッ! 少しは遠慮しろよ」


「ははっ、気にするな。うちは付けが可能だ」


「金取るのかよっ!」


「当たり前だ。商売だぞ?」



 付けが可能だと言う事で、俺も遠慮なく食べた。ちなみに踏み倒そうとすればサードが回収に来ると言う。恐らく、世界のどこに隠れようとも回収されるだろう。

日常パートやら各ヒロインルートなど書いていこうと思います

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