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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
最終章 彼の願いは

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反撃の狼煙

視点変わります

 ショウがサイファと戦いを始めた頃、地上の方では委員長のスキルによりショウと同等の力を持つクラスメイト達が大暴れしていた。



「すげえ! なんだこれ!!」


「やべえ! 超強いんだけど!」


「うおおおおおお!!!」



 多くのクラスメイト達が調子に乗っているが、そのおかげでブラックリミナーレの数が急激に減っていく。戦場は大きく変化していった。



「ごはぁっ!」


「形成逆転だな」


「何が起こったのだ!?」


「ふん。てめえに教える義理はねえよ!」


「ぐがあああっ!!!」



 復活した剛史は強化された事によりベータを圧倒していた。ベータも本気を出しているのにも関わらず、剛史一人に成す術もない。今の今まで格下と思っていた存在にこうまでやられるとベータも苛立ちを隠せない。



「負けるわけがない! サイファ様に作られ――」


「お前がどんだけ怒ってるかは分からないが、それ以上に俺達は怒り狂ってんだよ。恩人達の為にお前は死ね」


「おごぉ……」



 剛史の正拳突きがベータの胸を貫く。兵器であるベータは死なないと思われたが、膝を突き倒れた所を魔法で跡形もなく焼却される。



「やっと仇が討てたか……」



 遠い目で空を見上げる剛史は一言呟くと一粒の雫が零れ落ちた。ベータを倒した剛史はまだ残っているブラックリミナーレを破壊していくのだった。



 そして、ほぼ同時刻。ガンマと対峙していたタカシにもショウの力が行き渡り、一気に形勢逆転へと持ち込んでいた。



「ば、馬鹿な! 負ける? サイファ様に作られたこの――」


「そうだよ。侮らずにさっさと俺を殺しておけばよかったんだ」


「ばっ……」



 戸惑うガンマをタカシは魔法で掻き消した。塵一つ残らずガンマは姿を消した。二度とタカシ達の前に姿を現すことはない。



「……」


「タカシ様? どうされたのですか?」


「エレノア。俺をあの城にまで連れてってくれないか?」


「え!? 何故ですか!」


「……あいつの助けになりたい」


「っ! わかりました。タカシ様が望むのであれば」


「ありがとうな」



 タカシはエレノアを引き連れて天空の城へと向かった。



 また、時同じくしてデルタと戦っていた大輝達にも変化が起こりデルタを倒す事に成功していた。



「……みんな、俺あそこに行くよ」



 その言葉に楓と留美が驚き、反対の声を上げるも大輝は頑なに譲らなかった。どれだけ、二人が止めても大輝は行くことを諦めない。



 二人の制止を振り切って大輝は天空の城を目指す。天空の城で戦ってるであろうショウの力になるために。



 最後に残ったアルファは他の三人がやられていくのを感じていた。だが、悲しんではいなかった。むしろ、アルファは喜んでいた。



「ふふ。何も知らない馬鹿共め。私たちを倒したところで意味はないのだ」



 意味深なことを呟きながら、アルファは優衣の魔法によって消滅する。クラスメイトや異世界の猛者たちを苦しめた四体の兵器が完全に消滅したのだ。



 一気に形勢逆転したクラスメイト達は破竹の勢いでブラックリミナーレを破壊していく。だけど、天空の城から止まることなくブラックリミナーレが溢れ出てくる。



「ここからが正念場よ! 彼がサイファを倒すまで私達も踏ん張るわよ!!」



 優衣の掛け声によりクラスメイトたちが奮起する。イスカンテを守る為、果ては世界のためにと使命感を抱き躍起になる。



 クラスメイト達の頑張りのおかげで連合軍には被害が及ばない。一体何が起こっているのかと連合軍は疑問に思うが結界の外には行くことが出来ない。ブラックリミナーレの光線を受けたら消えてしまうから。



 地上での戦いが安定し始めた頃、ショウとサイファは激闘を繰り広げていた。



「どうした? さっきは期待外れだと言ってたくせに、その様はなんだ?」


「く……」



 悔しそうに顔を歪めるサイファを見下ろすショウは魔法を放つ。サイファは魔法を避けると、ショウへと向かって飛び掛る。しかし、ショウに呆気なく叩き落される。



「おいおい、拍子抜けもいいところだぞ。ラスボス感をあんなに出しておいてその程度って……」


「……」


「だんまりか。まあ、仕方ないか。とっとと全部を終わらせよう」



 ショウは魔力を高めていく。サイファを完全に消滅させる為に大規模な魔法を放つ準備をする。だが、その時サイファが笑い声を上げる。



「ふふ、ははははは、はーはっはっはっは!」


「気でも狂ったか?」


「いいや。実に楽しかったのさ。哀れなピエロを見ているようで」


「なに? どういう意味だ」


「勝った気でいる君に残念なお知らせという意味さ」


「ふざけたことを――ぐふぅ……」


「どうだい? 見えたかな?」



 サイファの拳がショウの腹部に突き刺さる。貫通する事はなかったが、少なくとも内臓に大きなダメージが入った。



「てめぇ……力を隠してたのか」


「隠してはいないさ。先程までの私の実力は紛れもないものだった。しかし、たった今元に戻ったのさ」


「なんだと?」


「皮肉な話だ。君のせいで世界は滅ぶのだ」


「何が言いたいんだ!!」


「私の力を分け与えて作った兵器が死に、その力が私の元へと戻ってきた。つまり、君のおかげで私は強さを取り戻したのさ」


「な……」


「ははは! 殺すのではなく拘束でもしていれば話は変わったのだがね。さて、今度はこちらから行かせて貰おう」



 圧倒していたはずのショウとサイファの立場が入れ替わりショウが圧倒され始める。



「ぐぅ……くそ。俺のミスか」


「ふははははは! そうだとも! 後悔しながら死ぬがいい!」


「ああ。後悔ばっかりだよ! 最初から本気を出しておけばよかった!!」


「なんだと!?」



 サイファが放った極大の魔法をショウが受け止める。受け止められるはずがないと思っていた魔法を受け止めたショウを見てサイファは驚きの声を上げた。



「ここからが本番だ!」



不定期更新ですがよろしくお願いします

ここまでお読み頂きありがとうございます

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