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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
最終章 彼の願いは

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駆けつける勇者たち

 タカシの持つ刀がいよいよガンマに食い込むかと思われたその時、ガンマから信じられない程の魔力が溢れる。



「タカシくん! 離れてっ!」



 ガンマから溢れ出す魔力を感じたアイリスは非常に危険だと察知してタカシの名を呼ぶ。タカシもこのままでは不味いと判断して、ガンマから飛び跳ねるように距離を取る。



「少々、本気で行かせて貰うぞ?」


「来い!!!」



 タカシは全てのスキルを活用してガンマを弱体させる。弱体化したはずのガンマが目の前から消える。



「消え――」


「少し、遅くなったな。なんらかのスキルか? まあ、それでも捉えきれまい」


「がはぁっ!?」



 ガンマはタカシの背後に回っており、自身のスピードが落ちていることに気付くがタカシ相手には影響が無い事がわかり、背中に強烈な一撃を叩き込んだ。



 吹き飛んでいくタカシを見てもアイリスは何が起きたのかさっぱり理解できない。気がついたらタカシが吹き飛び、そこにガンマが立っていることだけは分かった。



「”止まれ”」


「言霊か。確かに強力だが我には通じん」


「そんなっ!?」



 アイリスは動きを止めるように言霊を使ったが、ガンマは平然としており歩き出した。それを見てアイリスは驚きに満ちた声を出す。



「次は貴様の番だ」



 ガンマはそう宣言するとアイリスに指を差した。このままではやられると分かっていながらもアイリスにはどうする事も出来ない。言霊も魔法もガンマには通用しないのだから。



 だからといって諦めるわけにはいかないとアイリスは奮起する。例え、死ぬ事になろうともせめて致命傷を負わすくらいはしてやるとアイリスは覚悟を決める。



「はああああ!!!」


「ほほう。中々に良い威力だ」


「く! まだまだぁ!!」



 魔力の残量など度外視してアイリスは魔法を撃ち続ける。それはまるで吹雪のように荒々しい魔法の数々だ。しかし、そんなアイリスの魔法を真正面から受けてもガンマはビクともしない。ガンマはアイリスへと一歩一歩と足を進めていく。



「はあ、はあ。まだです。まだ私は――」


「もう終わりだ、小娘。最後は中々に頑張ったようだが所詮その程度だ」



 既にアイリスの魔力は尽きており、立っているのもやっとで足が震えている。喋るのも辛く、息切れもしているアイリスにガンマは実力の差を突きつける。



「やらせん! 絶対にやらせんぞおおお!」



 ガンマによって吹き飛ばせれていたタカシが戻ってきてアイリスに止めを刺そうとするガンマに迫る。



「まだ意識があったか! しかし、その身体でどこまで戦える?」


「生きている限り戦う! 絶対にお前らの好きにはさせん!!」


「勇ましい事だ! だが、所詮貴様らでは我に勝てん!」


「ぐうぅ! だけど、それでも! 俺が諦めるわけにはいかないんだぁっ!!」



 刀を振るいガンマと肉薄する。血飛沫が舞い大地を濡らしていく。傷を負うのはタカシばかりでガンマには傷一つない。それでも、タカシは懸命に戦いガンマを倒そうとする。



「笑止! この程度で我を倒すつもりなのか!」


「倒すだと? ははっ! それが出来りゃ一番だが俺の狙いは別だ!!!」



 ガンマを倒そうとしていたタカシには別の狙いがあった。それは――



「悪い。待たせた!!!」


「すまん! 遅れた!」



 ――救援を待っていたのだ。東間隼人と渡辺潤が遅れながらも参戦する。



「なるほど! 時間稼ぎだったか!」


「ぐわあぁっ!!」



 ガンマの鋭い蹴りがタカシに直撃する。吹き飛ぶタカシはそのまま倒れると思ったが隼人と潤が支える。



「まだいけるか?」


「ぐ、くぅ……遅れてきたくせに無茶言うな」


「だから、悪かったって」


「く……少し回復するからそれまで頼む」


『おう!!』



 タカシを支えていた二人が同時に返事をした。タカシは一旦回復に専念する為、一時離脱する。そして、隼人と潤の二人がガンマと対峙する。



「次から次へと困ったものだ。お前達は楽しませてくれるのだろうな?」


「さあ、どうかな?」


「やってみるしかねえだろ?」


「ふふ。それもそうだ。小娘の前にお前達で遊んでやろう!」



 三人が激突する。衝撃で地面が吹き飛び砂煙が巻き起こる。



「ぐぅ! こっちは二人がかりだってのに!」


「喋ってる場合か! 来るぞ!」



 衝突した二人はガンマに押し負けてしまい、後ろに下げられてしまう。それでも、闘志は燃えたままで迫り来るガンマを迎え撃つ。



「おらあああ!」


「でりゃああ!」



 二人の連携は見事なものでお互いの技がぶつからないようにガンマに向かう。だが、ガンマには当たらない。それでも、二人は果敢に攻める。タカシに任されたのだからと二人の思いが一致する。



「見事な連携だ。しかし、まだ我には届かん!」


「ぐあっ!」


「うぐっ!」



 ガンマが二人の猛攻を潜り抜けて二人を殴り飛ばした。ズザザッと地面を擦るように二人は吹き飛ぶ。



「くっそ。超痛え!!!」


「ああ。マジで痛え!!」



 二人は殴られた頬を抑えて泣き言を言いながら立ち上がる。だが、彼らの目はまだ死んではいない。まだ戦えると物語っている。



 そして、一時離脱していたタカシが復活する。万全な状態とは言えないが二人のおかげで回復したタカシがガンマに刀を突きつける。



「こっからだ。覚悟しろよ」


「くくくっ! かかってこい!」


ここまでお読み頂きありがとうございます

次回更新は月曜日になります

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