イスカンテ最高戦力
ベータとフリードが戦っている時、別の場所でガンマとイスカンテ最高戦力のジンが戦っていた。
「こいつ……っ!」
「殺してはいない。殺すのはお前だけだ」
ガンマがジンのところに降り立った時、ジンの部下であるガロン、デューク、ドレイクの三人が一瞬にして倒されたのだ。三人共相当な実力を持っているにも関わらず、圧倒的なまでにガンマは強かった。
「はっ! お前さんがリュード国王を殺したアルファって奴か!?」
「否。我はアルファと同列の存在であるガンマなり」
「ガンマね~。やだやだ。お前さんみたいな強い奴がまだいるなんて考えたくないね」
「そうか。それは残念であるな。我以外にも三人いるぞ。その内の一人が今ここに来ている」
「あ~そう。なら、お前さんをさっさと倒して助けに向かわねえとな!」
地面を強く蹴り、目にも止まらぬ速さでガンマに迫るジンは回し蹴りを叩き込む。だが、ジンの蹴りはあっさりとガンマに防がれてしまう。
「笑止。この程度で我を倒そうなどと――」
「あら、びっくり。俺の蹴りはこれで終わりじゃないんだよな」
「なあっ!?」
ジンの踵からジェットが出て勢い良く噴射され防いでいたガンマを叩き伏せた。倒れたガンマにジンは追撃を行う。カポリと腕が肘の部分から外れて大砲のような筒が出てくる。
「勇者達から技術提供された荷電粒子砲を喰らいやがれ!!!」
眩い光がガンマを包み込む。ジンの放った荷電粒子砲は途轍もない威力でそこら中の地面から光が漏れ出ていた。底の見えない穴が開き、ガンマの姿が消えたのを確認したジンだが、まだ生きていると確信していた。
周囲を警戒するジンの背後からガンマが飛び出す。しかし、ジンには高性能なレーダーが備わっているので最初から分かっていた。
「そこだ!」
「むっ!? 背中に目でも付いているのか?」
「そうだとも! 俺の身体は世界一便利だと自負してるさ!」
綺麗な背面蹴りが決まったジンが自慢げに言い放つ。だが、ガンマにはダメージが入っていない。そのことが分かるとジンは接近戦を避けるようにガンマから離れる。
「今までの攻撃が全く効いてないなんて化け物かよ」
「少しは痺れたぞ?」
「嫌味じゃねえか」
「素直に賞賛したのだが」
「それを嫌味というんだよ!」
荷電粒子砲ではなくジンの指先から銃弾が飛び出る。マシンガンのように撃ち続けるがガンマには当たらない。銃弾を避けながら迫りつつあるガンマを見て、攻撃の手を緩めず新たな攻撃手段を使う。
ジンの背中から機械が飛び出し、ミサイルが放たれる。一体身体のどこにそれだけの物が仕舞われているのだろうかと疑う光景である。放たれたミサイルはガンマを追い掛けていく。追尾機能が付いたミサイルはガンマを追い続けるが、最後はガンマの魔法によって撃ち落される。
しかし、ジンの兵装はそれだけに留まらず小さな筒のようなものが宙に浮かび上がり、レーザーがガンマ目掛けて放たれた。
「これは……」
レーザーを避けたはずのガンマは掠っていたことに気付く。しかも、今まで傷一つ追わせられなかったはずのものに傷を負わされたのだ。驚くのも無理は無い。
「抉れてるはずなんだけどな……」
対してジンもレーザーが掠ったのにほぼダメージを受けていないガンマを見て呆れる。本来であれば消し炭になっていてもおかしくない威力を誇るレーザーだからだ。それが、全くのノーダメージならば怒りを通り越して呆れてしまうのも仕方が無い。
「全く呆れるほど丈夫な身体だな」
「その身体に傷をつけたのだから誇ってもいいのだぞ」
「うるせえ! 何の自慢にもならんわ!」
ジンはレーザーを照射しマシンガンを放つ。下手な鉄砲数打ちゃ当たるとは言うが、ジンの場合は正確な照準に秒間数千を超える弾幕を張り巡らせるのだ。いかに、ガンマといえども全てを避け切れず被弾してしまう。
「ぐ、むう」
されど、ガンマにとっては掠り傷にしかならない。だが、衣服はそうではない。小さな穴が開くのはガンマにとっては不愉快らしくジンの攻撃を障壁を張り巡らせて防ぐ。
避けるといった動作をしなくなったガンマを見て、手応えを感じたジンは手数を増やす。夥しいほどの弾幕が張られ、爆発を起こしてガンマの姿を掻き消す。
レーダーを用いてガンマの姿を探すジンはレーダーからガンマの反応が消えたことに驚き、背後に現れたガンマに対応が遅れる。
「貰ったぞ」
「くそがっ!」
背中を蹴られて兵装が一部破壊されてしまうもののジンは無傷である。手数が減ってしまったが致命傷を受けるよりは断然マシである。
呼吸を整えてジンは温存していたバスターモードを起動する。かつてはショウを追い詰めた事もあるジンの切り札の一つでもある。
「なんだ? 雰囲気が変わった?」
「行くぜ! 今の俺はさっきより速いぞ」
言葉通り、ガンマの予想を超えた速度でジンはガンマを殴り飛ばした。
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