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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
最終章 彼の願いは

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終末の使徒、決着

「がぁっ!」


「まだだあああああ!!!」



 空間魔法で消された左腕が再生を終えており、連打を叩き込む。



「うおおおおおおおおっっっ!!!」


「ぐおあああああああっっっ!!!」



 残る全ての力を注ぎ込んだ。これで倒れてくれれば全てが終わる。遠くへと吹き飛んでいったアインスがこちらに戻ってくる気配はない。



 やったか?


 なんてフラグは立ててはいけない。



「頼むから倒れててくれよ……」



 祈るように呟き、アインスが飛んでいった方へと進む。すると、地面に大の字に倒れているアインスを発見した。そして、胸が僅かに動くのを見た。



 まだ生きてるっ!



 止めを刺そうと近付くと、アインスの閉じていた瞳が開かれる。その途端、胸に違和感を感じて目をやると歪み始めていた。



「死ぬがいい!」


「くそ! させるかっ!」



 身体を咄嗟にずらして回避しながらアインスに止めを刺した。しかし、代償は大きかった。



「ごふっ……」


「ぐっ……」



 俺の拳はアインスの胸を貫き、俺の脇腹はアインスの空間切断で抉られている。かろうじて生きてはいるものの、このままでは力尽き死んでしまうだろう。



「ふっ……悪くはない。最後の最後でお前を出し抜けたか」


「気持ちよく勝たせろよ……クソが」


「俺はもう死ぬが何か聞きたいことはあるか?」


「ない。もう全部知ってる」


「そうか……ならばお前が絶望の淵に立たされた時、そのまま絶望に染まるか、希望を見出すか、地獄から見るとしよう」



 アインスがそう言い残すと、光の粒子になって消えていく。俺はその様子をただぼんやりと眺め続けた。そうして、アインスが完全に消えてなくなるのを見届けると、力が抜けたようにその場に座り込んでしまう。



「終わったんだな……本当に……」



 まるで実感がない。だけど、確かに全ての終末の使徒を倒したのだ。思えば、随分と遠くまで来てしまった。長い付き合いだったが終わってみると短い付き合いだったようにも思う。



「これでやっと……いや、あー……」



 彼女作れると思ったが、終末の使徒を倒すと世界が滅ぶのだ。どのようにして滅ぶのかは分からないが、前回はイルミゾートを残して世界は滅んだのだ。



「まあ、その前にこれどうすっかなぁ~」



 次第に意識が朦朧としてきた。先のことを考えていたが、今俺は脇腹を抉られており死の淵に立たされている。



「今回ばかりは流石に無理か」



 今までが奇跡といっても良いほど運がよかったのだ。意識を失い死に掛ける度に誰かに救われたいたのだから。しかし、今回はそうはいかない。



 この最果ての地には俺しかいないし、誰も知らないのだ。俺がここにいることを。



「ああ~……死ぬ~……」



 軽く言って気持ちを誤魔化そうとするが、やはり誤魔化せそうにはない。分かっていても涙が溢れて止まらない。



「死にたくねえなぁ……やっとここまで来たのに……こんな所で一人寂しくなんて嫌だ……」


「ええ。そうですとも。貴方を一人ここで死なせるわけにはいきません」


「え?」



 頭の上から声が聞こえる。見上げるとそこにはメイドが立っていた。



「初めまして、異界の勇者様。自己紹介といきたいところですが、まずは貴方の治療を開始します」


「へ?」


「それではしばしお眠りを」



 その言葉を最後に俺はメイドに眠らされる。



「んん……ここは?」


「お早いお目覚めですね、勇者様」


「えっと……」


「すいません。自己紹介がまだでしたね。私の名前はマーニと言います」


「あー、マーニさんはどうしてあんな場所に?」


「当然の質問ですね。私があそこにいたのはこの場所を守るためです」



 この場所と言われて周囲を見渡すと、見たこともないような施設だった。SF映画にでも出てきそうな施設だ。



「じゃあ、どうして俺を助けてくれたんです? それにどうして俺を異界の勇者なんて呼ぶんですか?」


「それは簡単な事です。私は異界の勇者に造られた存在だからです」


「なっ!? なんだって!!」


「私はこの施設の管理者として造られ、いずれくるであろう異界の勇者を待っていたのです」


「ま、待ってくれ。異界の勇者に造られたって何年前の話だ!?」


「そうですね。詳しい数字で言った方がよろしいですか?」



 その言葉だけでおおよその理解は出来た。マーニは数千年ものあいだここで一人異界から来る勇者を待っていたのだろう。



「マーニさんは人間じゃないのか?」


「はい。私は貴方がわかりやすい言葉で説明するとロボットといえばいいでしょうか」


「ロボット……マジか」


「マジです」



 そう言ってマーニは自身の首を外してみせた。



「うおああああああ!?」


「どうですか? 面白いですか?」


「心臓に悪いわ! いきなりでびっくりしたわ!!」


「そうですか。面白いと思ったのですが……」


「出来ればあまり人には見せない方がいい。まあ、少なくともホントにロボットである事はわかった」



 しかし、製作者は誰なのだろうか?


 アキラ、竜胆以外の三人だろうけど。


不定期更新ですがよろしくお願いします

ここまでお読み頂きありがとう御座います

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