ダンジョン潜入
「よし!ダンジョンに着いたぞ!」
早すぎるよ!
まだ、1時間もたってないって!
こんな近くにダンジョンあっていいのかよ!!
ダンジョンから魔物出て来たりでもしたらどうするつもりだよ!?
「団長ー!ダンジョンって意外と近くにあるんですねー!?」
「ん? ああ、ここのダンジョンは初心者向けと言ってもいいくらいのダンジョンだからな」
「あのここのダンジョンってもう攻略されてるんですか??」
「そうだ。ここのダンジョンは攻略済みで各フロアもマッピングがされてある。ちなみにこのダンジョンは30層までだ。今日は半分の15層まで目標にしようと思う!」
ダンジョンってあれだろ?
ほらあれ、確か各フロアごとでレベルが違うんだろ?
15層ってことは最終的にレベル15の魔物と戦うはめになんのかよ!?
俺まだレベル5だぜ?
てか、クラスの平均が5だし……
「あのー、団長!15層ってことは俺達の3倍はレベル差がありますよ?? 大丈夫なんですか??」
「ふむ、そこは大丈夫だ。訓練よりも効率的に経験値がダンジョンでは手に入る。それに魔物の素材も手に入るからな。冒険者などはダンジョンに入って魔物の素材やダンジョンにある宝を狙って稼ぐ程だからな」
「へぇー」
「君達の実力ならすぐにレベル15近くまでは上がるさ。それに君達のスキルは強力なものばかりだ。余程の事が無い限り安心していいぞ!」
安心していいって、いやいや実践だぜ?
俺達まだ対魔物なんか1度も無いんですよ??
下手したら死んじゃいますよ?
団長さん??
てか、俺結構怖いんだけど、ぶっちゃけ帰りたい。城に閉じこもっていたい。
俺が心の中で嘆いてるのを余所に団長はダンジョンの中へと入る前に最終確認を行う。
「さて、これからダンジョンに入るが準備はいいか??」
「大丈夫でーす!」
「はい!」
「行きましょう!」
「OKです!」
「よし! それでは行くぞ!!」
なんでノリノリなの?
バカなの?
ゲームじゃ無いんだぞ!
熱くなんじゃねえよ!
若干気温上がってるんじゃないの?
あぁ嫌だぁ!
どれだけ嘆こうとも声に出さないので誰にも聞こえない。嫌だ、嫌だと反対しながらも逆らえずに俺は皆と共にダンジョンに潜入する。
◆◇◆◇
マジかよ!?
早すぎでしょー?
えっ?
だって俺あんまり戦闘してないよ!
いや、まあ戦い方は団長の指示通りに動いてただけだしな。
「ようし、少しこの辺りで休憩をしよう! それとステータスは確認しておくように!」
そうだな……!
とりあえずステータス見とくか。
団長に言われた通りに自分のステータスを確認する。確認してみると、驚くべき速さで成長しているのが判明した。
◆◆◆◆
山本 翔 男 17歳[称号]異世界人
Level 15
体力:320
魔力:500
知力:180
筋力:250
俊敏:215
器用:220
耐久力:750
運:250
【スキル】
《武神》常時発動。ありとあらゆる武具武術において神の領域に達する。ステータス補正、筋力、俊敏、器用、耐久力。物理的攻撃力八割上昇、物理的ダメージ八割減少。
《武具創造》己の知識にある武具を魔力を消費して創造可能。武器、防具、道具は性能により魔力消費量は異なる。
《異空間収納》別の空間に物を収納できる
《魔力化》魔法を体に固定させる事で魔力体になり、属性と同じ性質に変化する
《気配感知》常時発動
◆◆◆◆
すげえ上がってる!
レベルも15になってるし!
団長の言ってた通りだな!
でもあんまり調子に乗ってたらいけないからな。とりあえず今までとおりに団長の言うこと聞いていよう。
「すげえ俺! レベル15になってるぜ!」
「えっ! マジかよ!? 俺まだ14だぜー?」
「私のステータス凄い数値上がってる!」
「やべえ俺達最強じゃね??」
どうやら、特別なのは俺だけじゃなくクラスのみんなも急激なレベルアップをしていたようだ。みんな大興奮している。
なんかみんな盛り上がってるな……
まぁ確かにここまで苦戦することなく15層まで来れたからな。そりゃ興奮するわな。
「君達ー! あんまり調子に乗るなよー!? 油断してるとやられてしまうぞ!!」
団長の言う通りだ……
団長や騎士達がフォローしてくれてるおかげでここまで来れたんだからな。
てか、団長が凄すぎる。冷静な判断と的確な指示、それに俺達の能力を全て把握してる。団長が考えた陣形は正に適材適所だからな。それに騎士達もレベルが高い。絶妙なタイミングで援護してくれるおかげで俺達は無傷でここまで来れたんだから。
「さて、休憩は終わりだ。この15層の最奥にはフロアボスのヴァンガラがいる。特徴は二足歩行で両手の爪で攻撃して来る所だ。厄介なのが遠くからジャンプして来て一気に距離を詰めて攻撃してくる。まぁそれ以外はどうと言うことはない」
えっ?
なにそれ、飛んでくんの??
うわぁ、面倒くさそうな相手だなぁ。
「じゃあそのジャンプ攻撃だけに気を付けりゃ余裕ってことだろ?? 楽勝じゃん!」
「そうだな! 今の俺たちなら負けねえって」
「そうやって調子にのってると痛い目見るわよ?」
「大丈夫だって! 俺達には団長も騎士さん達もいるんだから!」
「でも……」
「安心しろって! 他にも俺達はすげえスキル持ってんだからよ!」
おいおいやめてくれよ。
これで緊急事態が起こったら絶対パニックになるぞ?
俺はごめんだね!
でもなにも言えない俺……
「はあ…気を引き締めて行くぞ!」
『はい!』
流れで、はいって言うしかないじゃん!!
くそっ帰りてえー!
いざとなったら逃げだそう!!
いや、誰かが逃げ始めた時に一緒に逃げよ……
チキンな俺は誰かが逃げ出す事を期待しながらフロアボスに挑む事になる。
改訂しました