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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第八章 世界を駆ける

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チョロインかも?

 ツヴァイとの長い因縁もようやく終わりを告げた。一息着きながら、空を見上げてエルザのことを思い出してエルザの元へと駆け寄る。



「エルザ、エルザ!」



 まるで、眠っているように目を覚まさないエルザ。頬を叩きながら名前を呼ぶが目を覚まさない。まさか、さっきの魔法は失敗してツヴァイごとエルザの魂を切ってしまったのではと不安になりかけた時、エルザが目を覚ました。



「ん……んんぅ……」


「エルザ! おい、エルザ!! 平気か!?」


「ショウ……?」



 まだ意識がハッキリしていないようで寝惚けたように俺の顔を見てくる。そして、徐々に意識がハッキリしてきたようで目をカッと開いて俺の顔を凝視すると抱き寄せられる。



「ショウ!!! 妾は妾は……生きておるのじゃな」


「ああ。生きてるよ。それよりもどこか痛みとか無いか?」


「うむ。どこも痛くも無いぞ。体調もバッチリじゃ!」


「そうか……そうか」



 エルザには何の問題もない事が分かって安心する。安心したら急に力が抜けてまたも地面に座り込んでしまう。ペタンと地面に座り込んだ俺にエルザは慌てて詰め寄ってくる。



「ど、どうしたのじゃ!? まさか、先程の魔法で力を使い果たしたか!?」


「ははっ。それもあるけど、お前が無事だって分かったら力が抜けちまってな……」



 すると、俺の言葉に感極まったのかエルザは瞳に涙を浮かべると思い切り抱き着いてきた。



「うっうぅ……うわぁぁぁん!!!」


「お、おい!? なんで泣いてるんだよ!」


「だって、だっでぇ! ショウが妾の事を心配してくれて……それが嬉しくて思わず涙が……」


「バカが……そりゃ心配するに決まってるだろ。それに……俺の事を好きと言ってくれた女を死なせたくなかったんだからな」


「うむ! 大好きじゃっ!!!」



 力強く抱き締められてしまう。引き剥がそうとしたが、エルザが啜り泣くので引き剥がすのをやめる。しばらくの間、エルザに抱き着かれたまま空を見上げるように座り込む。



 エルザが泣き止んで、俺から離れると真っ赤に充血させた目を隠すように顔を背けながら今後について聞いてくる。



「ショウ。ツヴァイを倒したがこの後はどうするつもりじゃ? お主は旅人じゃからまだ旅を続ける気か?」


「ああ。旅を続けると言うよりはツヴァイにはまだ仲間がいるから、倒し終えるまでは旅を続けるよ。まあ、残りは一人だけだから終わりも近いがな」


「そうか。その……あの……妾もついて行っていいか!?」


「……ダメだ」


「ッ……それは妾がツヴァイに簡単に乗っ取られてしまったからか? それとも妾が弱いからか?」


「弱いからだ。次の相手は他の誰かを庇いながら戦えるような相手じゃない。恐らくだけど、一対一の状況でも勝てるかは分からない相手だ」


「お主がそこまで言う相手か……」


「そうだ。だから、連れて行けない」


「分かったのじゃ。ワガママは言わぬ。だけど、一つだけ約束して欲しい。また、妾の所に戻ってきて欲しい」


「それは……約束出来るか分からない。だけど、精一杯努力はしてみる」


「なら、それでいい。ところで聞きたいのじゃが、妾はお主の事が大好きじゃがお主は妾の事をどう思っておる?」


「あー……まだ答えは出せない。でも、嫌いじゃない」


「そうか……そうか。今はそれでいい。じゃが! いずれは妾の事が好きで好きで堪らない! 愛してるっ! と言いたくなるくらい好きにさせてみせるさ」


「ははっ……そうさなぁ。全部片付いたらだな」


「待っておる。いつまでもな……」



 ずるいなぁ。


 そんな顔で言われたら惚れてしまいそうだ。


 俺ってチョロインかもしれない。


 積極的に来られると弱いなぁ。


 ここまで真っ直ぐに想いを伝えられるとなぁ。



 そんな事を考えていると視界がボヤける。思わず身体がふらつき横に倒れてしまう。思わぬ事態でエルザも慌てて声を掛けてくる。



「ショウッ! どうしたのじゃ!? 大丈夫か!?」


「あぁ……悪い。どうやら、今頃限界が来ちまったらしい。悪いんだけど、街まで連れてって……もらえ……る……」



 プツンとテレビの電源が消えるように俺の意識は落ちてしまう。最後にエルザへと頼み事をしたが、エルザは分かってくれたのだろうか。多分、俺の言いたいことは分かってくれたと思う。なんとなくだけど。



 目が覚めると全身包帯だらけでミイラ男みたいになっていた。どうやら、エルザが街まで運んでくれたようだ。治療までして貰っている。まだ、身体が痛むが動けない程では無いのでベットから起き上がると部屋の外へと出る。



 まずここがどこなのかが分からない。部屋には何故か窓が無かったから場所が分からない。エルザが連れてきてくれたのだから、竜達の里かと思ったけど造りが違うのでその線は捨てる。



 恐らくだけど、操られた竜達と戦った際に魔力回復薬をくれた男の屋敷だろう。立派な装飾品が廊下に飾ってあるから間違いないと思う。



 うーん。


 使用人とかいないのかな?


 もしかして皆寝てるのかな?


 まあ、部屋にいればいずれ分かるか。

不定期更新ですがよろしくお願いします

ここまでお読み頂きありがとうございます

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