開幕、真竜戦
光の奔流が地上へと放たれる。直撃すれば間違いなく地上は消し飛ぶだろう。
くそっ!!!
開幕一番にそんな大火力とかありかよ!!
防げるか!?
いや、考えてる暇なんてねえ!
障壁を張り巡らさて光の奔流を防ごうとしたら、背後から光の奔流に向かって光の奔流がぶつかる。なんで地上からと思い振り返ると、そこには俺が倒したはずの竜王と竜達が大きく口を開けて閃光を放っていた。
どうして……
だって、お前らは操られてるはずじゃ……
気絶させた程度で洗脳は解けないはず……
実際、ルシファーを殴り飛ばした時には洗脳は解けてなかった。
なのに、なんで……?
「ショウッ!」
「エルザ!?」
疑問に頭を悩ませていたら、エルザが急接近してきていた。
「どうしてここに!?」
「妾も共に戦う。アレが相手ならば躊躇う必要はないからの!」
「そういう問題じゃねえ! あれは、真竜はお前が相手に出来る相手じゃない!」
「何故そう言い切れる?」
「何故だと? 俺には分かるからだ! 真竜は竜王なんて比じゃない。それどころか俺と互角、いやそれ以上の強さかもしれないんだぞ!!」
「それがどうした?」
「なっ!? それがどうしただと? 聞いてなかったのか!! 真竜は俺より強いかもしれないんだぞ!」
「だから、それがどうしたというのじゃ! 妾も分かっておる。真竜とやらがお主と大差ない強さだと。ならば、妾とお主、そして竜王を含めた竜達全てが束になれば勝てぬ相手ではない!!!」
その言葉に胸を打たれた気分になる。何も言い返せない俺を見て、エルザは優しく語り掛けてくる。
「ショウ。妾と共に……いや、妾を連れて行ってくれ」
「……死ぬかもしれないぞ」
「構わぬ。お主と一緒なら」
「なんでだ。怖くないのか」
「怖い。でも、お主を失うなら妾は共にありたい。お主が死地に飛び込むなら妾もついて行く。お主が世界を敵に回すのなら妾も敵に回ろう」
ここまで言われて気づかない俺ではない。
「趣味の悪いやつだな……」
「ふふっ。そうじゃな」
「お前にここまで言わせといてもう戻れ、なんて言わない。最後まで付き合ってもらうぞ。エルザ!」
「うむ!!!」
エルザの背中に飛び乗り勢い良く啖呵を切る。
「行くぞ、エルザァッ!!! 敵は真竜。俺達の強さを見せてやるぞ!!!」
「おうとも!!!」
エルザは大きく咆哮を上げると真竜に向かって羽ばたく。ロケットのように上昇していき、真竜の目の前に到達する。目の前にすると本当に大きい。ファイブが憑依した巨人よりも大きく感じる。俺からすればエルザも大きいのだが、そのエルザが真竜の頭程しかないのだから。
「エルザ! ブレスを俺の魔法に合わせろ!」
「任せるのじゃ!!!」
「はああああああ!!!」
「ガアアアアアア!!!」
全力の魔力砲を真竜に向けて放ち、俺の魔力砲に合わせるようにエルザが口から閃光を放つ。二つは螺旋を描く様に混ざり合い真竜に直撃する。爆煙が舞い上がり、真竜を隠す。
「どうだ?」
「煙が晴れるぞ!」
爆煙が晴れるとそこには無傷の真竜がいた。正直、今の一撃で怪我のひとつくらいは負わせるだろうと考えていた。しかし、蓋を開けて見ればまさかの無傷である。いくらなんでも凹んだ気持ちになる。
「ははっ……マジかよ」
「ど、どうするのじゃ!?」
「特攻だ。奴の頬を打ち抜いてやる!!」
俺はエルザの背中から飛び出して真竜に向かう。エルザが俺の後に続き、俺が右側に回り込むとエルザは左側に回り込んだ。
「うおおおおおおお!!!」
渾身のストレートを真竜の右頬に叩き込む。真竜の顔が若干左に傾く。
「はあああああああ!!!」
反対側でエルザが吠える。エルザが殴ったのか蹴ったのか分からないが、真竜の顔が若干右に傾いた。
「少しは反応しやがれ!!!」
今度は回し蹴りを叩き込むと、今までこちらを見ていなかったサファイアの瞳が俺を睨み付けてきた。最初にも睨み付けてきたが今度は明確な敵意を感じる。
「そうだ。それでいい。俺が相手だ!!!」
そもそもツヴァイにより復活したのだから、俺が相手のはずなのに何故地上を攻撃したのか分からない。いや、地上ではなく俺を狙っていたつもりであの魔法陣を展開したのかもしれない。真相は分からないが、結局は俺の敵である。
「ぜあああああああ!!!」
サファイアの瞳に睨みつけられながら顎を蹴り上げる。僅かに上を向いた真竜は見下ろすように俺を睨み付ける。二発目を放とうと構えた時、背後に何かが迫ってることに気付く。振り返ると、巨大な真竜の手が俺を掴もうとしている。
俺は掴もうとしている手を迎撃して弾き飛ばす。反対側にいるエルザから悲鳴が聞こえる。
まさか、掴まったのか!?
反対側に回り込むと、大きな手に掴まっているエルザを見つける。握り潰される前に近付き、真竜の手を攻撃して拘束を解く。
「た、助かったのじゃ……」
「一旦離れるぞ!」
「うむ!」
再びエルザの背中に飛び乗り、真竜から距離を取る。大分、離れたと言うのにあまりの巨体な為に離れた気がしない。向こうは腕の一振でもすれば届きそうな距離と言うのが反則じみてる。
「大したダメージを与えれてないのが腹立たしいぜ」
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