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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第八章 世界を駆ける

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問題児エルザ

新年あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願い申し上げます。


 ギルドを後にした俺達は宿を探す為に街を散策した。丁度良さそうな宿を見つけて中に入り、受付の女性に声を掛ける。



 「すいません。一泊したいんですが、部屋は空いてますか?」


 「はい。一部屋空いてますのですぐにご用意は出来ますよ」


 「一部屋だけですか……」



 横にいたエルザに目を向けるが、エルザは特に気にしていないみたいで何も言ってこない。それに、いくら彼女が欲しいと言っても幼女に手を出すほど落ちぶれてはいないので問題はない。むしろ、襲われても撃退するくらいだ。



 「すいません。一部屋で構わないんで用意して貰っても良いですか?」


 「はい。それでは、少々お時間が掛かりますのでそちらのソファでお待ちして頂いてもよろしいですか?」


 「分かりました。お願いしますね」



 エルザを連れてソファに腰掛けていると、エルザが話しかけて来る。



 「のう。お主ならば妾の里まですぐに帰れるのではないのか?」


 「うーん。まあ、確かにそうなんだがなぁ……一先ず情報を集めたいんだよ」


 「情報? 一体なんの情報が欲しいのじゃ?」


 「この国の現状についてだ。今のところ大した情報は無いし、特にこの国じゃ何かしらの問題は起きてないしな」


 「ふむ。何故そのような事を知りたいのじゃ? 何かお主にとっては重要なことなのか?」


 「重要と言えば重要だな。俺にとってはな」


 「そうか〜」



 エルザは興味を無くして、その後は適当な話を振ってきた。そうして、しばらくの間エルザと話をしていたら部屋が用意出来たので受付の女性が声を掛けてきた。



 「お部屋のご用意が出来ました。こちらへどうぞ」



 案内されるがままに着いていき部屋へと辿り着く。宿の説明を一通り聞いてベッドにダイブする。ふかふかでは無いものの寝心地は悪くなさそうなベッドだ。横に転がろうとしたら俺の真似をしたエルザがベッドにダイブしてきた。



 丁度横に転がった俺に勢い良くぶつかる。腹に頭突きを受けた俺は咳き込んでしまう。



 「ヴっ!」


 「おお! すまぬ、すまぬ。わざとではないのでな。許して欲しいのじゃ」


 「この野郎、誰が許すか!」


 「ぬわぁあああ!!」



 腹が立ったのでエルザの頭をグリグリと両の拳でお仕置きする。お仕置きしたエルザは頭を抑えてベッドから飛び降りて逃げ出した。



 「う〜。お主にはあの程度の頭突きなど痛くも痒くも無かろうて!」


 「バカヤロー! 気を抜いてる状態でやられたら流石に痛いわ! それに不意打ちみたいなもんだろう!」


 「真の強者ならば例えどのような状況だろうと気を抜かんぞ!」


 「むっ……そう言われるとなぁ」



 実際、武神を手に入れてる俺は今の頭突きによって受けた痛みなどほぼ無い。エルザに言われた通り、完全に気が抜けていたのだ。



 やはり、どうしても気が抜けてしまうなぁ〜


 ダメだな、俺はいちいち……


 エルザに指摘をされるとは。



 「まあ、程々ならいいと思うぞ?」


 「ん? なんだ、気を使ってるのか?」


 「うっ……だって、お主がいきなりそんな顔をするなんて思わなんだから……」


 「ふっ。そうか。そりゃ悪かった。もう気にする必要は無いぞ」


 「ほ、本当か?」


 「ああ。本島だ。だいたいお前が気にすることじゃないさ。俺が気にし過ぎてるだけだからな」



 そこまで言うとエルザもようやく納得してしくれて、それ以上の追求はしてこなかった。俺は少しだけ寝るとエルザに伝えるとエルザは少し散歩に出掛けてくると言って部屋を出て行った。少しだけ心配したが街中ならば問題無いだろうと寝る事にした。



 しばらく寝ていたら部屋がノックされる音で目が覚める。特に殺気も感じないので宿の人間だろうと思い、扉を開けると冒険者の男が立っていた。予想していなかった来客で少し驚いたが、嫌な予感がした。



 「……まさか、エルザか?」


 「そのまさかだよ。お前さん所のお嬢ちゃんがな」


 「な、何をやらかした!?」


 「まあ、そんなに心配するような事じゃねえよ。ただ、お嬢ちゃんの事を知らない馬鹿共が返り討ちにあっただけなんだが……」


 「なんだが?」


 「お嬢ちゃんが手を出したのはこの辺を治める領主の私兵なんだよ……」


 「おう……マジか……」


 「ああ。面倒な事に領主が私兵を率いてこの街に来るそうだ」


 「たかが、子供がやった事だろ!」


 「気持ちは分かる。だが、ウチの領主様は器の小さい人間でな。悪い事は言わねえからこの街を出て行った方がいいぞ」


 「……いや、出て行かん。一つ確認なんだが、この国はドラゴンとの共存をしてるんだよな?」


 「ああ。そうだが……はっ! まさか、あのお嬢ちゃんが言ってた事は本当なのか?」


 「竜王の娘ってことか?」


 「あ、ああ! もし、それが本当なら領主だろうと国王だろうと関係ねえぞ。竜王はその気になりゃこの国どころか大陸を火の海に沈める事が出来るんだからよぉ!」


 「そんなに凄いのか……」


 「俺も噂程度でしか聞いた事がないから、ホントの所は分からねえが国王が竜王のご機嫌取りをしてるのは知ってるさ」


 「そうか。なら、領主様には誰に手を出したかその身をもって知ってもらおうか」



 若干楽しみになってきた。本当なら今すぐにでも逃げ出すべきだったのだが、そんな話を聞かされたならやるしかない。



 くくっ!


 どんな反応するんだろうなぁ! 

不定期更新ですがよろしくお願いします

ここまでお読み頂きありがとうございます

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