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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第二章

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お礼

 セイレーンを倒してから俺の日常に変化が起きた。それは誰も俺に絡まなくなったのだ。平和そうに思えるが実際は違う。ただ、陰口に変わっただけである。



 理由としては、セイレーンの一件を教師達が隠蔽したためである。セイレーンにより行方不明者もとい犠牲者達の事を隠したのだ。余計な混乱を防ぐ為とは聞いたが他にも理由があるのだろう。俺の知った事ではないが。



 そして、セイレーンの一件を隠蔽した事で体育館の床が破壊されている理由がとある生徒の暴走によるものにすり替わった。もちろん、その生徒とは俺のことである。おかげで爆弾魔と影で呼ばれていたりする。



 ボッチ確定!!


 俺の青春灰色ですよ!


 灰色どころか真っ黒じゃないの?



 結局、俺は依頼を達成した代わりに学園生活を失ってしまった。なんとも悲しい落ちである。



 寂しく一人廊下を歩いていたらローラが話しかけて来た。



「ちょっと」


「なに?」


「明日、暇?」


「暇じゃない」


「なんでこっちを見ないのよ」


「なんとなく……」


「明日、暇なら付き合ってよ」


「断る」


「そう……なら今すぐ叫ぶわよ?」


「勘弁してください……」


「なら明日ね」



 脅迫の元に俺は断る事が出来なかった。



 次の日、俺はローラとの待ち合わせの為、街を歩いていたらリズさんと出くわした。



「あらショウじゃない? どうしたのこんな所で?」


「いや~用事があるんすよ~」


「ふーん……なんでこっちを見ないの?」


「いや~その~」


「ショウって隠し事下手よね……」



 そんな事は断じてないと思っていたのだが、リズに指摘される。



「ホラ、すぐ顔に出る」


「マジですか!?」


「嘘よ」


「騙したんすね!?」


「騙してないわよ! ただカマをかけただけじゃない!」



 リズと言い争っていると視界の先にローラが映った。ローラも俺に気が付いたようで、こっちに歩いてくる。



「リズ先輩!」



 リズ先輩?


 今そう言ったか?



 俺の聞き間違いでなければローラは、確かにリズのことを先輩と呼んだ。



「ローラじゃない! 久しぶりね!」


「はい! お久しぶりです!」


「どうしたのこんな所で?」


「そこのショウと、今日約束してまして」


「約束? なんの??」


「今日一日付き合って貰う約束です」


「へぇ~……そういうこと……」



 あれれ?


 なんでリズさんはこっちを睨んでるんでしょうか?


 何かしましたかな??



「ねぇ、ローラ。私も一緒していい?」


「勿論いいですよ!」



 猛烈に嫌な予感しかしない。なんとか阻止せねばと話しかける。



「あの、僕の意見は?」


『は?』


「あ、いえ、なんでもないです」



 怖い……



 どうしてこんな目に合わなくちゃいけないんだと、心の中でひっそりと泣いた。



「ところでローラはショウとは何かあるの?」


「へっ? 別になにもないですよ!! ただ一緒に仕事しただけですよ!」


「そうなの? 私と同じね!」


「リズ先輩もショウと仕事をしたことがあるんですか?」


「ええ……まあ色々とあったけど」



 あれから俺達は移動して喫茶店にいる。リズとローラは楽しく会話に花を咲かせているが完全に俺は蚊帳の外である。



 それよりさっきから周りの視線が痛い。そりゃあ、二人とも美人ですからね。俺がいるのは不自然なもんだろうな。



 気が付いてない二人は盛り上がってるし、俺は男達の殺意のこもった視線を浴びていて居心地悪い。なので、気分転換に好物を注文することにした。



「すいませーん。チョコパフェひとつ~」



 そうしたらリズとローラもすかさずイチゴパフェとチョコパフェを頼む。



「全部ショウの奢りね」


「ちょ、リズさん。何言ってんすか!?」


「良いじゃないこれくらい。器が知れるわよ?」


「良いっすよ。別に器の小さい男で!」


「なんか二人とも仲良いですね?」


「へっ!? そそそんなこと無いって!」


「リズ先輩。動揺し過ぎです……」



 はあ~もう勘弁してほしい……



 そういえばなんで俺はローラに付き合わされているんだと疑問に思う。理由を聞いていないので一度、聞いて見るべきだ。



「あのさ、ローラ。なんで俺を今日誘ったんだ?」


「え!? それは……」


「それは?」


「お礼よ!! セイレーンの時に助けてもらった時のお礼の為よ!」


「お、おう」




 そんな怒鳴るように言わなくて聞こえてるのに。おかげで他の客からの視線が突き刺さる。気まずい中、リズは先程頼んだパフェを嬉しそうに食べている。呑気なものです。



「別に他意はないわ!」


「は、はい」



 その日はリズとローラの三人で適当に街を歩いて買い物なんかをした。勿論、俺は荷物持ちである。



 行く先、全ての男達に睨まれたが大量の荷物を持っている所を見て憐みの目を向けて来た。



 ふっ……わかってるさ……!


 俺だって釣り合わないことくらい!


 せいぜい荷物持ちがお似合いなのさ……


 ああ~彼女欲しいなあ~



 かくして俺の休日はローラとリズの荷物持ちで終わりを告げるのであった。

改訂済み

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