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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第八章 世界を駆ける

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天界騒乱③

更新遅くなってしまい申し訳ありません

 サタンを早々に倒そうと意気込んだら、背後の方で爆発音が鳴り響く。魔法が衝突した音かと思い、無視していたら天使達の悲鳴が聞こえてくる。



 何事かと振り向いてみたら、複数の悪魔が一人の天使に対して掴みかかり団子のように固まる。すると、悪魔達が天使もろごと自爆したのだ。



「なっ!?」


「余所見をしている余裕があるとは驚きだ」



 あまりの出来事にサタンと対峙していたことを忘れてしまい、サタンの攻撃を防御すらせずに受けてしまう。



「ぐあっ!」



 幸いにも致命傷とはならなかった。気を取られて目の前の敵から目を離せるほど俺は強くないというのに。自分で自分を殴りたくなる。



 しかし、おかげで目が覚めた。



「仕留め切れなかった事を後悔するんだな!!!」



 光を中心とした六属性の魔力化を施す。白い光が俺を包み込む。そして、白い光は俺の体に溶け込んでいき、溢れ出る魔力が風を巻き起こす。



 何か名前でも付けた方がかっこいいのだが、技名でも叫んでる時に攻撃されたら不味いので諦めた。



 いや、この世界の敵は意外と技名を叫んだり、変身をしている時とか攻撃してこないのだが油断は死に直結する。



「ほう! この魔力……やはり女神が見込んだ人間だけはある。しかし、それだけではこのサタンを――」


「うるさい」



 ぺらぺらとお喋りをしているサタンに拳を叩き込む。しかし、あっさりと拳は受け止められてしまう。



「人の話は最後まで聞くものだぞ?」


「悪魔の言葉に人間が耳を貸すとでも?」


「……ふっ、確かにその通りだな」



 軽口を叩くサタンに皮肉を返すと、鼻で笑われる。受け止められている拳を引き戻して距離を取る。



 サタンは自信に満ち溢れており、両腕を組んだまま動かない。どうやら、こちらから攻めないといけないみたいだ。



 上等だ。


 その余裕に満ちた顔を歪ませてやる!



「ぶちかます!!!」



 そう叫ぶと一気にサタンへ距離を詰めると、魔力を込めた拳をサタンの腹に打ち込む。完全に決まったかのように見えたが、サタンの手が拳を受け止めている。



 すかさず、蹴りを放つが避けられてしまう。サタンと離れてしまい、もう一度接近を試みようとしたらサタンが火の魔法を撃ってくる。迫り来る火の玉を掻き消して、サタンに接近するがサタンは俺の接近を許すまいと次々と魔法を撃ってきた。



 雨のように降り注ぐ魔法を掻き消したり弾き返したりしながらサタンへと距離を詰める。



「逃げるばかりしてんじゃねえ!」



 一際大きな火球を消し飛ばすと、サタンの姿が消えていた。だが、すぐにサタンの気配が背後に現れたのに気付いて振り返る。



「逃げてはいない。お前を誘い込んでいたのだ」


「なに? ッッッ!!??」



 誘い込んだというサタンの言葉を聞いた俺は周囲に魔方陣が描かれていることに気がついた。



「これは……」


「お前を囲んでいる魔方陣は捕縛の魔方陣だ」


「いいのか? そんな簡単に教えても?」


「問題ない。目的は達成したのだから」


「目的だと? まさか、俺の足止めか!?」


「ほう、気付いたのか?」



 くそっ!


 嵌められた!!!


 いや、待て。


 そもそも何で俺を?



「俺を足止めした理由を聞きたいんだが?」


「ふむ……まあ、いいだろう。お前を足止めにして欲しいと頼まれたからだ。本来ならばお前を倒した方が良いと思ったのだが、戦ってみて分かった。お前を倒す事はこのサタンですら不可能だと」


「さっきまでは自信満々だったのにえらい褒めようだな」


「気づいてないのか? お前に放った魔法は全て神級だぞ? それらを難なく掻き消すお前をどう倒せば良い?」



 マジか……


 全然気がつかなかった。



「その顔だと気付いていなかったのか……」


「……」



 まただ!!


 また表情で心読まれた!



「ふっ、賭け事や交渉には不向きだな」


「そういうのは得意な奴に任せればいい。俺は俺の役割を果たすだけだ!」



 拳を握りしめて魔力を収束させてると、魔法陣目掛けて拳を振り下ろす。



「なにっ!?」



 簡単に壊せると思っていたが、魔法陣は予想以上に固く壊す事は出来なかった為、思わず声を上げて驚いてしまった。



「そう簡単に壊されては足止めにならんからな。このサタンの全魔力を込めた魔法陣だ。せいぜい醜く足掻くのだな」



 余裕の表情を浮かべて笑うサタンは腕を組んだまま、魔法陣の中にいる俺を見下ろす。俺は何度も拳や脚で魔法陣を壊そうと試みるが、サタンが全魔力を込めたと言うだけあって一向に壊せる気配がない。



 魔法陣を殴ってる最中に何故自分を足止めにしたのかを考える。サタンは悪魔の中で最強に位置する程の戦力だ。そのサタンをわざわざ俺の足止めに何故使ったのかが分からない。



 待てよ……


 なんでサタンは俺がいることを知ってたんだ?


 俺が天界に来たのはつい最近の話だぞ。


 なのに、どうし……あっ。



「いやっ! 離してっ!! やめてっ!!」



 エルレイン!?



 俺はエルレインの悲鳴が聞こえた方に顔を向けると、複数の悪魔がエルレインに取り付いているのを見た。



 アレは!!



 脳裏に浮かぶのは複数の下級悪魔が天使に取り付き、自爆する光景。自爆に巻き込まれた天使は例外なく全て死んだ。



 最悪の想像をしてしまい頭の中が真っ白に染まると、考えるよりも先に身体が動いていた。



「うおおおおおおおおお!!!」


 魔力と気の合成に加えて全属性の魔力化を施して、魔法陣を壊してエルレインの元へと向かう。下級悪魔達が自爆の兆候で光り始めているのを確認する。ただ一心にエルレインを救おうと空中を蹴り、一気に加速する。



「させるかあああああ!!!」



 声張り上げながら悪魔達の中に突っ込んで中心にいたエルレインを助け出す。しかし、エルレインを助け出す事は出来たが、悪魔達の自爆に巻き込まれてしまった。

ここまでお読み頂きありがとうございます

不定期更新ですがこれからもよろしくお願いします

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