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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第八章 世界を駆ける

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参戦決定と質問

「えと……お願いしようとしていた身なのですが、本当にいいのですか?」


「ああ。ちなみに俺が加わった場合の勝率とわかります?」


「……よくて一割でしょうか」


「そんなに低いのか?」


「質で言えば我々の方が上でしょうが数で言えば圧倒的に向こう側が有利です」


「悪いんだけど、魔界について詳しく教えて欲しい」



 参戦すると返事をしておいて、現状どころか魔界についてすら分かってない俺は説明を求めた。女神は特に何かを言う事も無く、魔界について説明してくれた。



「魔界とは天界と同じように隠された世界の事です。天界と違うのはこの世界から隔離されてることでしょうか」


「異世界とは違うのか?」


「そういう解釈も出来ますが、厳密に言えば違いますね。壁があるだけですぐ横に魔界があると考えればいいのです」


「その壁は簡単に越えられると?」


「そうですね。扉があると言うところでしょうか。その扉をくぐれば出入り自由ということです」


「なるほど。だから、ルシファーは様子を簡単に見にいけたのか」



 また、設定が増えおった……


 確かに俺達の世界の創作物を模倣してるとはいえ、増えすぎて頭がパニックになりそうだ。



「どうかしましたか?」


「いや、何でもない。続けてくれ」



 そこから先は魔界の生態系についての説明だった。簡単に言えば、魔界は悪魔と魔物がいて食物連鎖が激しいとの事。魔物が魔物を喰らい、力を付けて進化したのが悪魔。そして、悪魔も悪魔を喰らえば力を増す。



 悪魔には階級があり、下級、上級とそして名前を持つ最上級の七十二柱。判明しているのは悪魔王サタンとべリアル、アザゼル、ザラキエルという悪魔のみ。このベリアル、アザゼル、ザラキエルは四大天使と同格か格上の実力らしくサタンに至ってはルシファーと同格だと言う事。



 あれえ?


 質の上ではこちらが有利なのでは?



「七十二柱の下位ならばエルレインでも勝てますので」



 つまり、名前が判明している悪魔は要注意ってことらしい。



 気付いたら、お茶が用意されており渇いた喉を潤す為にお茶を飲む。



「天使たちの実力はどれくらいなんだ?」


「普通の天使では上級悪魔が十体相手でも勝てます。ただ、七十二柱だと厳しいかと……」


「普通の天使って事は天使にも階級はあるのか?」


「いえ、ありませんよ。天使は四大天使とルシファーだけが特別ですから。エルレインは彼らの部下で戦闘に秀でてるんです」


「ああ、そういうことか。エルレインって強いのか?」



 何気なく聞いてみたが、エルレインは答え難そうに視線を逸らした。



「エルレインは優秀よ。私の補佐だから」



 答える事のないエルレインの代わりに、ウリエルが答えてくれた。俺は驚いてしまった。ずっとウリエルは喋らなかったから喋れないものとばかりに思っていたから。



「喋れたのか!?」


「どういう意味よ。私だって普通に喋ったりするわ。あの時は驚いて声が出なかっただけだし」


「あ、そう……」


「反応薄いわね。それより、聞きたいんだけど、人間ってみんな貴方みたいに強いの?」


「いや、どうだろうな……」


「はっきりしないわね。じゃあ、質問を変えるわ。貴方より強い人間はいるのかしら?」


「いたよ、一人な」


「へ~。いたって事はもういないのね」


「ああ。俺が殺した」


「敵だったのね。どれくらい強かったの?」


「俺が戦った中では間違いなく最強だったよ。一度、俺は負けたしな」


「もしかして、その時出来たのがその傷?」



 ウリエルが負傷して見えなくなってしまった右目を指差して問いかけてきた。俺は、頷いて肯定してみせる。



「そう……」



 ウリエルは小さく相槌を打ち、何も聞いてこなかった。少々気まずい空気になってしまったので、空気を換えようと別の話題を出して見る事にした。



「気になったんだがエルレインの服装なんだが、アレが正装なのか?」



 目のやり場に困る服装なのだが、同時に眼福でもあるエルレインの服装について尋ねてみた。



「アレは天使の戦闘服よ。動きやすさを重視したから、ああいうデザインなの」


「へえ……じゃあ、ウリエルもあんな格好で戦うのか?」


「ええ。そうよ。なんなら、見せてあげましょうか?」



 羞恥心がないのでしょうか?


 まあ、是非とも見たい!!!!



「やめなさい、ウリエル。戦闘時でもないのに鎧に換装するのは許しませんよ」


「申し訳ありません、アテナ様」


「いや、エルレインはいいのかよ」



 しまった!


 つい、勢いで突っ込んでしまった。



「エルレインは貴方を迎えに行くよう指示を出しましたからね。万が一、戦闘に陥った場合を考えての事です」


「ああ、そういうことなら納得だな」


「はい。ですから、エルレインはもう正装に戻ってもいいのですよ?」


「は、はい!」



 緊張して忘れてたな。



 眩い光がエルレイン包むと、エルレインは際どかった服装から白いワンピースに変わった。他の天使とはデザインが違う気がするのだが、四大天使の補佐になればこのような格好なのかと思えば違ったようだ。



「その服気に入ってるのね」


「はい! すごく可愛いので」


「一度、人間の町を見てからずっとなのよ」



 唐突にウリエルが俺へ振ってくる。服装に関しては特に言う事もないのだが、聞きたい事が出来たので聞くことにした。



「天使って滅多に降りて来ないのか?」


「基本的にはね。特に用も無ければ降りたりなんてしないわ」


「どういうときに降りるんだ?」


「アテナ様の指示があった時だけよ」



 ふと気付いたら、アテナが俺の方を見ていてこれ以上の質問が聞き辛くなってしまった。とりあえず聞きたい事は聞けたはずだから、切り上げてしまおう。



「大体分かったよ。そろそろ、俺は疲れたから休みたいんだが」


「それでしたら、エルレインに貴方に泊まって頂く部屋へ案内させますよ」



 アテナはエルレインに指示を出す。俺は席から立ち上がり、エルレインと一緒に部屋を出て行く。その際に少しだけアテナに目を向けると、初めて見た時と同じように微笑を浮かべていた。



 ちっ……


 読唇術でも学んでおけばよかった。



 アテナは微笑みを浮かべながら、誰にも気付かれないように口だけを動かして俺へとメッセージを送ってきたのだった。

不定期更新ですがよろしくお願いします

ここまでお読み頂きありがとうございます

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