表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

488/684

作戦完了

「おおお!!」


「ここは死守しろっ! 一人たりとも通すな!」



 現在、館の二階を走り回っているのだが、一階の声が聞こえてくる。一階では、反乱軍の兵士達が王国軍の兵士達を押し止めている。俺の邪魔をさせない為に、奮闘しているのでこちらも急いでブライアンを助けよう。



 面倒だが、一つ一つの部屋を確かめる為に扉を開けていく。次々と扉を開けていくのだが、どこにもブライアンの姿は見当たらない。流石に、イライラしてきたので扉を蹴り壊して乱暴に探し回る。



 いい加減に見つかってもいいのだが、中々見つからない。俺は、少し頭にきて壁をぶち破ろうと脚を上げたら、魔道具からブライアンの声が聞こえてくる。



 〔ショウ、聞こえるか?〕



 ふと我に帰る。魔道具の存在をすっかり忘れていたことに、少し恥ずかしくなったが、別に誰も見てないので俺は気にしないことにした。



 〔聞こえてる。どこにいるんだ?〕


 〔すまない。自分がどこに囚われているかは分からない〕


 〔……〕


 〔す、すまん! だが、ダリウスと戦ったのは三階だ!〕


 〔わかった。そこを探してみる〕


 〔ほんとにすまない。事が終わり次第、何か礼を必ず〕


 〔帰ったら一発殴らせろ〕


 〔……手加減はしてくれるんだろうな?〕


 〔安心しろ。死にはしない〕


 〔……………わかった〕


 〔コニー!!〕


 〔うい!!〕


 〔言質は取ったな!?〕


 〔えっ? あ、ああ。一応聞いたけど……〕


 〔よしっ!! 待ってろよ! すぐに見つけ出してやるからなっ!!〕


 〔………その、ブライアンさん。多分死なないだろうけど、ドンマイ!〕


 〔コニー……変わってはくれぬか?〕


 〔いくらなんでもそれだけは無理っす!〕


 〔ブライアン……私は信じてるぞ〕


 〔リーダーッッッ……〕



 耳元でコントすな!!


 聞こえてるんだよ!


 忘れてるのか?


 それとも、わざと聞こえるようにやってるのか?


 どっちにしてもブライアンを殴ることには変わりないけどな!!



 階段を駆け上り、三階へと辿り着き、ブライアンが囚われていそうな部屋を探し回る。片っ端からドアを蹴破り、部屋の中を確認していく。



 そして、ようやく見つけた。鎖でがんじ絡めにされているブライアンを。ブライアンは、俺が助けに来たと言うのに、その表情はどこか優れない。もしかしたら、敵に何かされたのかとブライアンに聞いてみた。



「ワザとか?」


「ははっ。まあな」



 ブライアンの鎖を砕いて拘束を外す。ブライアンは立ち上がると、手を閉じたり開いたりと身体の機能を確かめている。



「よし。問題は無い」


「じゃあ、すぐに下の応援に向かおう。流石に、時間をかけすぎた」


「わかった」



 ブライアンと共に一階へと急いで向かう。一階に着くと、反乱軍の兵士達は傷付き何人か床に倒れていた。見る限り息はしているようなので死んではいなかった。誰一人として死んではいないので、ひとまず安心した。



「ブライアン様っ! それにショウ!」



 僕はオマケ扱いなのかな?


 立役者なんですがね。


 泣いてもいいんですかね?



「ショウ、怪我人を頼む。私はあちらに向かう!」


「へいへいっと」


「どうした? 機嫌が悪いように思えるのだが?」


「気にしないでくれ」



 ブライアンの指示通りに、俺は怪我人の治療に向かう。床に倒れていた兵士達に回復魔法を施して行き、一通り終えるとブライアンの方に視線を向ける。



 鬼のようにとは言わないが、ブライアンの勢いは凄まじく兵士を見る見るうちに減らしていく。やがて、敵兵はブライアンに恐れをなして逃げ帰ってしまった。



 俺の出番は無かった。


 悲しくなんてない。


 ただ、鬱憤を晴らしたかった。


 それだけだ。



「ふう……これで終わりか?」


「多分な」


「そうか……」


「どうかしたか?」


「ようやく……ようやくだ。ここが第一歩だ。この国を必ず取り戻すぞ!」


「そうだな」



 周りにいた兵士達もブライアンの熱に当てられたかのように興奮している。無理もないだろう。彼等は長い間、虐げられていたのだから。



 〔こちら、ブライアン。作戦完了だ〕


 〔……皆、ご苦労だった〕


 〔遂に、遂にやったんだな……〕


 〔ああ、ああ!!〕



 コニーの声が少し掠れているのは泣いてる証拠だろう。待ちわびた瞬間がようやく訪れたのだから、その感動は俺には計り知れないものだ。



 しばらく三人で話し合い、一旦アジトに戻ることになった。もちろん、この街に数人の反乱軍を配置し、通信用の魔道具も渡してだ。何かあった時、即座に対応出来るように転移の魔石も渡している。



 そして、アジトに戻り今後の事を話し合う。



「それで、次はどうするんだ?」



 俺はリーダーに問い質す。



「うむ。今回、我々が奪還したエンフォリオを拠点にしようと思う。だが、一つ問題がある」


「問題? 何かあるのか?」


「今回の件で王国側も我々を徹底的に排除しに来るはずだ。恐らく、エンフォリオを攻め落としにかかる」


「はあ? いや、あそこには市民もいるんだから、そこまではしないだろ?」


「いいや。国王ならやりかねん」


「おいおい、マジかよ……」


「故に次は都市防衛作戦と考えていてくれ」


「わ、わかった」


「コニー、ブライアン。両名はこの場に残ってくれ。ショウはもう休んでもいいぞ」


「俺だけ? なんかあるのか?」


「なに、古株の話し合いだ」


「そうか。なら、先に休ませてもらう」



 一足先に部屋へと戻り、休む事にした。疲れていたのか、すぐに眠りにつく事が出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ