救出作戦2
「いないな……」
建物の上を駆け回りながら、街を探し回るが残り一つの部隊が中々見つからない。既にやられている可能性もあるかと思われたが、助けた二つの部隊の事を考えると可能性は低いだろう。反乱軍の主力部隊なのだから、そう簡単にやられるはずがない。
しばらく、駆け回っていると兵士の大軍を見つけた。この街の戦力は既にゼロだと思っていたのだが、伏兵でもいたのかと疑ったが、全く違った。
よく見ると、見た顔がチラホラいた。どうやら、外壁の上で俺が倒した兵士達だった。まさか、もう復活してくるとは考えてもいなかった。しかし、今あの大軍を相手にするのは少々骨が折れる。
まだ、残り一つの部隊を助けていないのに、あの大軍を相手にしていたら、助けれるものも助けれなくなるかもしれない。こうなったら、あの大軍を一撃で倒すほかない。
速攻で決めるか!
「よう」
俺は大軍の目の前に降り立ち、片手を上げて気軽に挨拶をする。そして、目の前にいた男がワナワナと震えると俺に向かって指を差しながら、大声を上げた。
「貴様ッッッ!! ぬけぬけと、我々の目の前に立てたものだな!! 全軍、この男を血祭りに上げろぉ!!」
ひえっ!
話す余地が全くない!
『うおおおおおおお!!』
まるで、地震のように地面が揺れる。兵士の大軍は津波のように俺へと襲い掛かってくる。
あわわわ!!
揺れるぅ!
「しぃねぇぇぇぇええええ!!」
勢いよく、先頭集団の兵士が飛びかかってくる。
「ふん!!」
飛びかかってきた兵士を全て殴り飛ばす。兵士達は飛んできた方向に吹き飛び、後ろに控えていた兵士達にぶつかり、周囲を巻き込みながら倒れた。
そして、兵士達は恐れることなく飛びかかってくるが全て殴り飛ばした。しかし、兵士達はゾンビのように立ち上がる。どうやら、相当執念深くなったようだ。
まずいな。
このままじゃ、手遅れになってしまう。
こうなったら、仕方ない!
「疾風迅雷!!」
魔力化を施して、大軍に突っ込む。兵士達は知覚する事すら出来ず、次々と倒れて行く。中には何故自分が倒れているかも理解していない者もいるだろう。
「ふう……これで全部か?」
立ち止まり、振り返ってみると道には大量の兵士達が倒れていた。起き上がる様子もないので、心置きなくブライアン達の救出に迎えれる。
「ショウか?」
「ん?」
丁度、兵士達を倒し終えた俺に声が掛けられる。声の方に顔を向けると、物陰に隠れていた反乱軍の兵士達がいた。
「お前ら、隠れてたのか?」
「ああ。我々はなんとか追手を撒いてブライアン様の救出に向かおうとしたら、とんでもない数の兵士が来てしまってな。慌てて物陰に隠れたんだ。やり過ごそうと思ったら、ショウが全員倒してしまったから、声をかけたわけだよ」
「そうか。手間が省けて良かった。これで、全員ブライアンさんの救出に迎えれるな」
「他の者達も無事なのか?」
「俺が助けた。今はブライアンさんを助けに館に向かってるはずだ」
「わかった。なら、俺達も急ごう」
「ああ」
ようやく、ブライアンの救出に向かうことが出来るようになった。俺は、ブライアンの部下達と共に館を目指して走り出した。
だが、問題が発生した。俺の走る速度と部下達の速度が違い過ぎるのだ。俺としては普通に走ってるつもりなのだが、部下達には厳しいらしい。俺に置いていかれないようにするので精一杯らしく、既に息も絶え絶えである。
仕方ないので速度を落として、部下達の速度に合わせたのだが――
「我々に構わずお先に!」
「いや、でも」
「我々に合わせていたら、遅れてしまいます! ですから、どうぞお先に!」
「……わかった。お前らが来る頃には全部終わらせてやるよ!」
「はははっ。それは頼もしい!」
速度を上げて、部下達を置き去りにしていく。一人、ブライアンが囚われている館へと向かう。
しかしなぁ……
おっさんを救うってのもなぁ……
いや、まあ、部下達もおっさんいたけど、女性もいたからね!
やる気が違うよね。
てか、何が三騎士だよ!
同じ三騎士にやられてんじゃねえよっ!
もしかして、三騎士にも優劣あるのかな?
そうだとしたら、ブライアンはもしかして一番弱かったりして……
余計な事を考えていたら、館に辿り着いていた。立派な館だと見上げていると、中から戦闘音が聞こえてきた。
どうやら、ブライアンの部下達が助けに来ているようだ。中に入ると、通路で敵兵と反乱軍の兵が激しい戦闘を繰り広げていた。
俺も、戦闘に参加して敵兵をバッタバッタと薙ぎ倒していく。見る見るうちに敵兵が少なくなり、通路には倒れた敵兵と勝鬨を上げている反乱軍の兵士で別れていた。
「助かったぜ。ショウ、ここは俺達に任せてブライアンさんを頼む」
任せてって、もう終わってるけど!?
すると、館の外から敵兵湧いてくる。どこにこれだけの兵士がいたのかと突っ込みたくなるが、ここは任せてブライアンを助けに向かおう。
「わかった。出来るだけ早く戻る!」
「ああ。頼むぜ!!」
館のどこかに囚われているブライアンを助け出す為、俺は走り出した。




