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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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裏切り者の記憶

 俺とコニーとブライアンの三人はマックスとファーンのいる地下牢へと着いた。看守が俺達に敬礼をしてきたのだが、俺は素通りをしたが他の二人は看守と同じように敬礼をしていた。



 何となくだが、一人だけ無視をした俺は少しだけ気まずい空気になった。ブライアンとコニーと共にマックスとファーンの牢屋の前まで行く。



「……なんだ、アンタらか」



 マックスは俺達の方に少しだけ顔を向けたら、すぐにまた下を向いた。とりあえず、何か話をしようと声をかけるが全く反応をしない。どうやら、完全に沈黙を貫くようだ。



 しかし、俺としては沈黙でいてもらった方が都合がいい。喚いている奴よりは扱い易い。正確に言えば扱い易いと言うよりも、クロに危険が及びそうにないってのがホントの理由だ。



 クロの能力は他者の記憶を読み、それを他者に映像で見せる事が出来る。ただ、能力を発揮するには相手に触れないといけないのである。暴れ狂ってクロが触れない状態よりは、沈黙しててくれた方が都合がいいのだ。



「来い、クロ」


「ふわ〜〜ぁ……なんだよ?」


「悪いけどさ、あいつの記憶を読んでくれない?」



 俺は、ブライアンとコニーに聞こえないくらいの小さな声で手を合わせながらお願いた。すると、クロは面倒くさそうに檻の中にいるマックスへと視線を向けた。しばらく、マックスを見つめた後ゆっくりと檻の中へと入って行く。



 本来なら、猫が入ってきたら警戒するだろうがマックスは警戒する素振りすら見せることは無く、クロに簡単に身体を触らせた。クロはマックスの記憶を読み取ったのでこちらへと戻ってきた。



「どうだった?」


「まあ、極々普通の裏切り者だな」


「そうか。とりあえず、俺にだけ記憶を見せてくれないか?」


「ほれ」



 クロにマックスの記憶を見せて貰う。記憶を見てみると、マックスとファーンは俺が反乱軍に来る前、街で兵士達に捕まったらしく呪術を掛けられたらしい。



 確か、スパイと言っていたらしいがどっちが本当なのかと思ったが記憶を見る限りだとスパイにはなったが元は反乱軍のようだ。どうやら、呪術により無理矢理国王軍のスパイに仕立て上げられたようで二人は仕方なく裏切った。



 いやいや!!


 ノリノリで裏切ってたじゃねえか!


 マックスに至っては眠ってるのをいい事にコリンちゃんを襲おうとしてたし!



 俺は、コニーとブライアンに話すのを少し躊躇ったが、やはりここは反乱軍の人達に任せるしかないと思い二人に打ち明けた。話し終えると、コニーはワナワナと震え檻の扉を開けると勢い良く中へと入っていく。



 そして、コニーは力無く座り込んでいマックスの胸倉を掴み上げて無理矢理立たすと怒鳴り声を上げた。



「テメェ、ふざけてんじゃねえぞ!! 仕方なく操られてたからって眠ってるコリンを犯そうとしたのはテメェの意思だろうが!!!」



 実はコニーの言う通りなのだ。クロの記憶を読む限りでは、マックスとファーンに掛けられた呪術は他者を操るものだ。しかし、そこまで強力ということではなく意思などは操れないらしい。だから、スパイと言っても単に情報を聞き出す傀儡にしかならなかった。



 そして、俺の歓迎会があることを国王軍に教え、国王軍はその歓迎会では油断をすると思い二人を使って罠に嵌めた。ただ、残念なことに俺のせいで作戦は丸潰れだったが。



 裏切る際にマックスは、どうせこれで御終いだと思ったらしく逆に開き直ってやりたい事をやろうとしてコリンに手を出したのだ。確かに、反乱軍が捕まれば間違いなくマックスとファーンも反乱軍と共に始末されていただろう。気持ちは分からなくもないが、流石にどうかと思う。



 だけど、俺もマックスと同じような立場になったら分からない。同じように開き直ってやりたい放題するかもしれないし、ビビって言うことを聞くだけになるかもしれない。



「どんな理由があったにしろコリンに手を出そうとしたんだ、テメェは絶対に許さねぇ!」


「へっ……殺すなら殺せよ」


「ああ。ぶっ殺してやるよ!」



 流石にこれ以上は不味いと思い、檻の中へと入り止めようとしたらブライアンが先にコニーを止めた。



「待てっ! 落ち着け、コニー!」


「離してください!! こいつは、みんなを!!」


「分かっている!! しかし、この二人にだって止むを得ない事情があったのも事実だ!! だから、今は拳を下ろせ!」


「くっ!」



 コニーは握り締めて、振り上げていた拳を渋々下ろした。ブライアンもコニーが怒りを静めてくれたので、ゆっくりとコニーから離れた。



 とりあえず、特にやる事も無くなった俺はマックスの隣の檻にいるファーンの方へと視線を向けた。ファーンは俺の視線に気付くと気まずそうに視線を逸らした。



 視線を逸らされた俺はただじっとファーンを見つめた。ファーンはそんな俺の視線に耐え切れなくなり、話しかけてきた。



 ふふふ。


 見たか!!



「何か用なの?」


「まあ、少し確認したいことがあってな」


「確認したいこと? マックスじゃなくて私に?」


「ああ」


「何かしら?」


「………お前は逃げようとした時、誘ってきたがアレは本心なのか?」



 うおおおおおお!!


 今更だけど、恥ずかしい!!


 やっぱり聞くんじゃなかったぁぁぁ!!!

誤字脱字などありましたら感想欄にて御報告して頂けると幸いです。

おかしな点がありましたら遠慮なく指摘して下さって構いません。


感想などお待ちしております

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