寝てから考える
若干不安だったが、すぐにその不安は払われる。反乱軍の人達は笑いながら答えてくれた。
「何言ってんだよ。歓迎会の時にはもう仲間だったじゃないか!」
そうだ、そうだとほかの人達も同じように声を上げる。それを見た俺は少々照れ臭くなってしまった。自分らしくない、そう思って俺はそそくさとその場から逃げようとする。しかし、反乱軍の人達に捕まり揉みくちゃにされながら感謝の言葉を貰った。
「ありがとな。お前がいたから俺達は誰一人欠けることなくここまで逃げて来れたんだ」
「そうよ。貴方のおかげよ」
「これからも頼むぜ」
「よろしくな!」
「サンキューな!」
その後も反乱軍の人達に揉みくちゃにされながら、感謝の言葉を貰い続けた。少しばかり、こそばゆかったが悪くないと感じていた。
やっと、解放された俺は自室へと向かおうとしたのだが前のアジトと違ってどこが俺の部屋なのか分からない。どうしようもないので、コニーの元へと行き部屋の場所を聞いてみる。
「なあ、コニー。俺の部屋ってどこになるんだ?」
「ああ。ちょっと待ってな。案内してやるよ」
「悪いな。頼むよ」
「気にすんなよ。それにあいつらの相手して疲れてるだろ? 休みたい気持ちは分かるさ」
「サンキュー」
コニーは俺の肩に手を置いて、もう片方の手は親指を立てる。任せろという意味なのだろうが、ちょっと頼りない感じもあるがこのアジトはコニーにとって自分の家の庭と同じくらいのものだから信用しても大丈夫そうだ。
コニーの案内により自室へと辿り着く。前と同じ質素な部屋だったが、特に問題は無い。強いて言うなら、部屋にもトイレとシャワー室くらいは欲しかったというところだ。トイレとシャワーは共同の使わないといけないのは、正直だるい。
コニーは俺を部屋に案内すると、自分の部屋に戻っていく。やる事もないので、教えてもらった大浴場へと一人で向かう。一応、ここのアジトの大浴場は男女別になっている。少し、いや、とても残念だが仕方ない。でも、混浴が良かったな。
残念な気持ちになりながらも、男湯の方へと入り更衣室で服を脱ぎ始める。服を脱ぎ終えてから気付くと、ここの大浴場はどうやら壁一枚挟んで男湯と女湯に分けてある。覗こうと思えば覗けるのだ。
まあ、女湯の方には人の気配が一切しないので覗いた所で意味がない。身体を洗って風呂に浸かろうとして、ふと疑問に思う。
ここは、地下だけどお湯ってどうなってるのかと。地下水を利用しているのか、それとも源泉があるのか。気になったが、細かい事は気にしても無駄なのでゆっくりと風呂に浸かることにした。
久しぶりに伸び伸びと湯船に浸かる事が出来た。満足した俺は風呂から上がり出ようとしたら、ガチャガチャと音が聞こえてきたのでそちらの方に顔を向けると、リーダーが歩いて来ていた。
「ショウか。もう風呂に入ったのか?」
えっ?
もしかして、一緒に入る気だったの??
オッサンと入る趣味なんてないんですけど!
「ああ。いいお湯だった」
「そうか。それは良かった。なら、私も久しぶりに入るとしようか」
「汗臭いのはどうかと思うぞ。毎日、風呂に入れよな」
「ハハッ。そうだな。そうしよう」
俺は片手を上げてリーダーと別れる。別れてから、すぐにある事に気づいて俺は振り返る。振り返ったが、リーダーは既に大浴場に入ったようだ。それにしても、リーダーは着替えとか持っていなかったけど、どうするのだろうか?
まあ、俺には関係ないか。
自室に戻り、ベットに寝転ぶ。天井を見ていたら、段々と眠くなり寝ようとしたら誰かがドアをノックした。寝たふりでもして無視をしようとしたら、ドアが開かれる。
「ショウ、起きているか? むっ、なんだその顔は?」
「なんだその顔はって、ブライアンさんが返事もなしに勝手に入ってきたからだろ」
「それはすまなかったな。寝る所だったか?」
「眠気はあったけど、まだそこまでじゃないさ。それよりも何か用事があってきたんだろ?」
「ああ。実はマックスとファーンについてなんだが」
「その二人か。他の連中はなんて言ってるんだ?」
「うむ。他の者達はやはり仲間だったからな。二人を許してやってほしいと言ってきている。しかし、私は裏切り者の二人を簡単に許す事は立場上出来ない」
「まあ、そうだろうな。全員が全員許してやるって訳じゃないしな。下手をすれば誰か死んでもおかしくなかったし、最悪の場合は全滅だって有り得た話だからな」
「その通りだ。だからこそ、困っているのだ。そこで、お前にも意見を聞きたいと思ってな」
「なるほど。でも、俺はそこまで深く関わっていないからその二人はそれ相応の罰を与えればいいんじゃないか?」
「ふむ」
「ちなみに、この国で裏切りってどうなるの?」
「良くて、終身刑だが基本は死刑だな」
「マジかよ。じゃあ、殺すのか?」
「……迷ってはいる。正直に言えば、一人でも多く戦力は欲しい。あの二人を失うのは反乱軍にとっても痛手になる。だが、今回の裏切りは許されることではない」
「……仕方ない。俺が手を貸そう」
「本当か!?」
「どうせ、そのつもりで来たんだろ?」
「ふっ、お見通しだったか」
「まあ、とりあえずやれる事はやってみるよ」
「すまんな。何から何までお前に助けてもらって」
「でも、今日は眠いから明日な!」
「ああ。わかった」
ブライアンは部屋から出ていく。一人になると急に睡魔が襲ってきて、すぐに眠りについた。
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