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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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帰ってきた矢先で

 壁に激突したダリウスは地面に片膝をつき、荒い呼吸をしている。どうやら、相当のダメージが入ったようだ。ダリウスは呼吸を整えると、立ち上がり俺へと先程の衝撃について聞いてくる。



「先程の衝撃はなんなのだ?」


「簡単な話さ。俺は敢えて地面に足をめり込ませて、お前の攻撃を誘い込み魔力を足へと込め地面から衝撃波を放っただけさ」


「ば、バカな。そんな事が出来るはず――」


「ないとでも? 実際に目の前でやってやったんだぞ?」


「くっ。だが、それだけでは私には勝てんぞ!」


「ふん。大体、俺はアンタに勝つのが目的じゃない」


「何? ッッ!? 貴様、いつの間に!」



 俺は気絶して倒れていたリーダーをダリウスから引き離し、接近する事が出来たので肩に担いだ。



「ふっ。しかし、どうするつもりだ? まさか、その状態で私と戦うとでも?」


「戦う訳ないだろ。俺の目的はお前を倒すことじゃなくて反乱軍を無事に脱出させる事だ」


「なんだと?」


「そんな訳で!! あばよ!!」


 俺はリーダーを肩に担いだまま、ダリウスに背中を向けて一目散に逃げ出した。悪いが、これ以上は付き合ってられない。正直、ダリウスからリーダーも守りながら戦うのはとても厳しい。それに加えて通路が狭いのも戦い辛くて仕方がない。



 ならば、こちらが取れる方法はただ一つ。逃げることのみだ。しかし、ダリウス達も簡単に見逃してくれるはずはなく俺達を捕まえようと追いかけてくる。だが、俺はリーダーを担いでるにも関わらずダリウス達をグングン引き離してみせた。



 バカめっ!!


 逃げ足なら負けないんだよ!



 最終的には、ダリウス達を完全に引き離すことに成功した。だからと言って安心していいわけではない。引き離しただけでダリウス達は今も追いかけてきているのだ。先にいる反乱軍のメンバーと合流しても、速度が違い過ぎるため追いつかれてしまうだろう。



 今は俺だけだからいいけど、正確に言えば肩に担いだリーダーもいるがそんな事は些細な問題だ。俺は気絶しているリーダーを起こすことなく、撤去作業を続けていた反乱軍元へと辿り着いた。撤去作業を続けていたコリンが俺に気づき、こちらへと顔を向ける。すると、突然顔が青ざめて俺の方へと駆け寄ってくる。



「リーダーッッ!!!」



 あー、そう言うことね。


 俺の心配はしないのね……


 悲しくないもん……


 寂しくなんて……



「何をボケっと突っ立っているんですか!! 早くリーダーを下ろしなさいっ!!」


「は、はい」



 俺は肩に担いていたリーダーを、コリンに急かされながら適当な場所に寝かせる。コリンは俺を突き飛ばしながらリーダーの元へと近寄り、手を取ると必死な顔でリーダーを呼びかける。



「リーダー!! リーダー!!! リーダーッッ!!!」


「……んぅ……」


「リーダーッッ!? ご無事ですか!? 返事をしてください!!」


「コリン? ここは?」


「あぁ……良かった、良かった」



 コリンはリーダーが死んでいたと思っていたのか、リーダーが目を覚ました途端に涙を流し始めた。泣いているコリンをリーダーは優しい手つきで頭を撫でている。コリンは泣き終わると、俺の方へと詰め寄ってきて真っ赤に充血した目で睨み付けてきた。



 もう、なんだろうか……


 この後の展開が手に取るようにわかってしまう。


 きっと、怒られるんだろうなぁ……


 やだなぁ……



「貴方が付いていながら、どういう事なんですか!」


「い、いや、それは」


「言い訳は聞きたくありません!!」



 えぇ〜、じゃあどう説明すんだよ……



「自分さえ助かればいいと思っていたのではないんですか!? そんな貴方をリーダーはきっと助けようとして、庇ってしまい敵の攻撃を受けてしまった。どうせ、そんな所でありましょう!?」



 いえ、三騎士と分かっているのにも関わらず無謀にも特攻したリーダーの自業自得なのです。


 なんていっても信じてくれないだろうなぁ。



「黙ってないで、何か言ったらどうでありますか!?」



 言い訳は聞きたくないって、そっちが言ったのにぃ!!



「いや、俺は別に逃げようとした訳じゃなくて、むしろ助けようとして」


「嘘でありますねっ!!」



 あかん。


 この娘、ドジっ子で可愛いと思ったけど俺の苦手なタイプだったみたいだわ。


 多分、何言っても聞いてくれなさそう。



「大体、貴方は最初から信用ならなかったのですよ!」



 なんか、クドクドと文句を言っているが、俺は既に右耳から左耳へと全て受け流している。こういう事は聞かない事が最も有効な手段である。いちいち、聞いていては精神がもたないので。



「聞いているのでありますかっ!?」



 俺の態度が気に食わなかったのか、コリンはさらに怒ると声のボリュームも大きくなった。ガミガミとコリンは俺へと文句を言いまくる。いい加減、うざくなって来た頃に複数の足音が聞こえてきた。



 マジかよ……


 追いつかれちゃったじゃないか!!


 くそっ!!


 折角、引き離してたのに!!



「コリン!!」


「な、なんでありますか!」



 突然名前を呼ばれてビクッと身体が跳ねて驚くコリンに俺は敵が来たことを告げる。



「敵が来た。文句ならその後、いくらでも聞いてやる!」


「て、敵でありますか!?」


「ちっ!」


「えっ、ちょ、ちょっと!?」



 俺はコリンを担ぎ上げると、撤去作業をしているコニー達の元へと行き瓦礫の向こう側にいるブライアンに話しかけた。



「ブライアンさん。今から瓦礫を吹き飛ばす。避難していて下さい!!!」


「出来るのか!?」


「敵がすぐそこまで来ている!! 時間が無いから、早く!」


「わ、わかった!! 聞いた通りだ、すぐに避難するぞ!」



誤字脱字などありましたら感想欄にて御報告して頂けると有難いです

おかしな点がありましたら遠慮なく指摘して下さって構いません。


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