まさかの裏切り者
「どうして、すぐに誘いに乗ってくれたんだよ?」
そう聞かれると、俺は返答に困ってしまう。流石に、馬鹿正直に彼女作る為なんて言えるわけがない。女が泣いてたからとか言ったら、引かれるかもしれない。いや、コニーならば引くことは無さそうだが、どうしても答えるのに躊躇ってしまう。
なんとか、精一杯考えて答えを絞り出しコニーに質問の答えを返そうとしたらイビキが聞こえてきた。どうやら、相当酔っていたようでコニーは眠っている。
起こすのも悪いし、このまま部屋に……
しまった!!
コニーの部屋なんて知らねぇ!
コニーの部屋を知らない俺は、食堂へと戻ろうとする。しかし、食堂へと向かって歩いていると徐々にだが目が霞んでくる。
ん……
なんだ……?
眠たいな……
そんなに、俺飲んだっけ?
だめだ……
ふらついて来た……
ふらついていた俺は壁にぶつかってしまう。視界が霞んで、眠気が酷くズルズルとコニーと共に地面へと座り込んでしまう。
てか、なんでこんなに眠いんだ?
俺はそんなに飲んでないし……
何か、何か、ヤバイ……
このまま寝ちゃいけない……
第六感なのか、それとも今までの経験なのか俺は眠る事に猛烈な危機感を感じた。
ぐっ……くそぉっ!!
「ぎぃっ!!??」
俺は眠りそうになり瞼も閉じかけていたが、異空間から取り出した、ナイフで自身の太股を突き刺した。痛みで覚醒した俺は、太股の激痛により脂汗をかくが完全に眠気を吹き飛ばす事に成功した。
「はぁはぁ……ぐっ、くそったれ」
歯を食いしばり、突き刺したナイフを抜き回復魔法をかける。俺は、周囲を見回した後、コニーに魔法を浴びせて無理矢理叩き起した。
「ッッッ!? な、なんだぁ!?」
「起きたか?」
「何すんだよ!! 人が気持ちよく寝てたってのに!」
「うるせぇ……今はそんな事よりも食堂に戻るぞ」
「うるせぇってお前! えっ? おい、ショウ! その太股!! どうにたんだよ!? 血が出てるぞ!?」
「だから、うるさい。この太股は寝そうだったから刺しただけだ」
「刺しただけって……まさか、自分でか?」
「他に誰がいるんだよ……とにかく、今は食堂に戻る方が大事だ」
「いや、でもお前その怪我は」
「もう治してある。ほら、早く行くぞ」
「ほ、ホントに大丈夫なんだよな? な?」
「ああ。それよりも、お前は何も無いのか? 身体がだるかったり動き辛かったりとか?」
「いや、特に何もないけど?」
「そうか。ならいい」
考え過ぎか?
い、どちらにしても食堂に行けば分かるか。
俺とコニーは通路を走り、食堂へと進む。食堂の前に辿り着くと、ある違和感があった。それは、あれほどまでに騒いでいたはずなのに、今は物音一つ聞こえないことだ。何かあると思い、食堂の扉に耳を当てて中の音を聞いてみる。
「ねえ、全員寝たの??」
「ああ、ぐっすりとな」
「そう。なら、さっさと仕事を終わらせてずらかりましょ」
「へへっ。まあ、待てよ。少しは楽しませてくれよ」
「趣味悪いわよ」
「今まで耐えてきたんだ。自分への御褒美にいいだろ?」
「好きにすれば?」
「へへっ……さて、誰にしようかな〜っと」
おいおい、まさか裏切り者か??
いや、十中八九裏切り者だろうな。
スパイか。
しかし、中の様子が見えないから何をしてるか分からんけど男の声から察するに女の子にエッチな事する気だ!!
こうしちゃおれん!!
今すぐに!!
いや、待て!
焦るのはダメだ。
こういう時こそ冷静に!
「テメェら、なにしてやがるっ!!!」
コニーを止めるのをすっかり忘れていた。コニーは怒りに身を任せて食堂の扉を勢い良く開くと、中にいた人物に声を荒げる。俺は咄嗟に物陰に隠れて、コニーと裏切り者達のやり取りを見る事にした。
「マックス! ファーン!! テメェら、どういうつもりだ!!」
「あん? おい、ファーン。なんで、コニーの馬鹿は起きてるんだよ?」
「知らないわよ。馬鹿だから睡眠薬が効かなかったんじゃない?」
「俺の質問に答えろ!! 返答次第じゃ、テメェら……覚悟は出来てるんだろうなぁ!?」
「プッ……お前まさか見てわからないのか? 俺達は裏切ったんだよ、お前らを」
「ッッッ!! マックス、テメェ!!」
裏切り者のマックスにコニーは怒り狂い、飛びつくように襲い掛かる。
「馬鹿か、テメェは。大して強くもないくせに飛びかかって来てんじゃねえよ」
コニーは勢い良く、飛びかかっていったがマックスに軽くあしらわれた。今、コニーはマックスに頭を踏んづけられており地面に這いつくばっている状態だ。
「無様ねぇ……折角、仲間を助けれるかもしれなかったのに……可哀想〜」
ファーンはマックスに頭を踏み付けられているコニーを見下ろしながら、ニヤついている口元を隠しているが隠しきれておらず笑っている。
「くそっ、くそっ、くそっ!!」
「ハハハッ。まあ、邪魔されちゃかなわねえから縛り付けとくか」
「ちくしょう!! 離せ! 離しやがれえぇ!!」
ジタバタとコニーは暴れて抵抗しているが、マックスに抑えつけられてしまい縄で縛られてしまう。マックスは縛り終わるとコニーの腹を蹴り上げる。
「うごぉ……」
「これからテメェの妹を犯してやるよ。そこで、よおく見てるんだな」
「や……やめ……ろぉ!!」
マックスは睡眠薬によりぐっすりと眠っているコリンの元へと歩み寄る。下卑た笑みを浮かべたマックスはコリンに近づき、横になっているコリンの服を剥がそうと片膝をつき手を伸ばそうとした。
「俺を忘れてるんじゃねえのか?」
「うぎゃぁぁぁ!!!」
俺はコリンに手を伸ばしていたマックスの手を掴むと、そのまま逆関節の方向に曲げた。
「あぐぅぅぅっ!! よくも、やってくれたなぁ!」
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