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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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助けた結果

「そのまさかだよ!!」



 俺は目の前にいた兵士の鳩尾を殴りつける。甲冑をしているが、俺には関係ない。俺の拳は甲冑を凹ませた。兵士は膝から崩れ落ち、前のめりに倒れた。



「なっ!? 貴様!!」



 少女の腕を掴んでいる兵士以外は、腰に差してある剣に手を伸ばす。それよりも、先に動き兵士を気絶させる。三人を気絶させて残ったのは、少女を掴んだまま離さない兵士だけだ。



「おい。あとはお前だけだぞ」


「お、お前! 自分が何をしているのか分かっているのか!?」


「人助けしてるだけだけど?」


「ば、馬鹿か、お前! お前がしている事は国家反逆罪なんだぞ!!」


「知るかよ。第一、俺はこの国の人間じゃねえんだからな」


「なっ!」


「とっととその子を離せ。さもなくば……」


「わ、わかった!! わかったよ!!」



 後退りさていた兵士は少女を俺に向かって突き飛ばした。俺が少女を受け止めてる間に兵士は一目散に逃げ出していた。追いかけるのも、面倒なので少女を母親の元へと連れて行く。



「お母さん!!」


「ああ、良かった!!」



 うむ。


 助けた甲斐があったものだ。



 少女と母親は泣きながら、抱き締め合う。その光景を見て、助けて良かったと心から思う。腕を組んでうんうんと頷いていた時、頭に石が飛んできた。



 いたっ!!


 誰や!?



 石が飛んできた方向に目を向けると、街の住人達が殺気立った視線を向けていた。しかも、手には石を持っている者も複数いるではないか。いったい、俺が何をしたと言うのだ。今回は普通に親子を助けただけだ。



 いや、待てよ?


 確か、国家反逆罪とか言ってたな。


 でも、アレは俺一人に対してだけだろうし。



「どうしてくれるんだ!! お前のせいでこの街は滅びてしまうんだぞ!!」



 なんだってぇええええ!?


 冗談でしょう!!??



「そうだ、そうだ!! どう責任を取るつもりなんだよ!」


「それに、そこのあんた!」



 街の住人は俺だけでなく親子にも文句があるようで、指をさした。



「なんで助けなんて求めたんだ!!」


「……そ、それは娘を助けて欲しくて」


「兵士に目を付けられたら諦めろよ!! あんたが無駄に助けを求めたせいで、この人が兵士に危害を加えてしまったじゃないか!!」


「おいおい、何もそこまで怒ること無いだろ?」


「あんたは黙ってろ!!」


「あっはい」



 怒鳴られた俺は、勢いに負けて黙ってしまう。親子は街の住人達から非難を浴びる。



「おい、あんた!!」


「はい?」


「責任を取ってここで死ね!」



 意味わかんない。



「いや、ちょっと何言ってるか」


「お前のしでかした事はそれだけ罪深いことなんだよ!」


「いやいや、人助けしただけだろ? それのどこがいけないんだよ」


「人助け自体は別にいいんだ。ただ、相手が兵士だったのが問題なんだよ!!」


「どういう意味だ?」


「いいか、この国はな――」



 話を遮るように、パカラッパカラッと馬の足音が聞こえてくる。しかも、一つや二つなんてものじゃない。何十もの足音が聞こえてくる。その音を聞いた住人達は震えて我先にと逃げ出した。



 何故、逃げ出すのか分からない俺は立ち尽くしていると先程助けた親子に手を掴まれる。そのまま、引っ張られて路地裏に連れ込まれ身を潜めるようにと無理矢理腰を下ろすように促された。



「あの〜」


「しっ、静かに」



 物陰からこっそりと大通りの方を見てみると、先程の兵士よりも屈強そうな兵士が馬に跨っている。中央にいるのが隊長なのだろう。他の兵士よりも装備が豪華だ。



「ここに反乱分子がいるというのは本当か?」


「はっ! この街にいることは確かです!」


「ふむ。ならば、この街の住民全てを殺せ」



 は?


 おいおい、嘘だろ!?


 住民全員皆殺しって正気の沙汰じゃないぞ!


 くそっ!!


 こうなったら、俺が!!



 飛び出そうとしたが、少女に服の裾を掴まれる。



「離せ! 俺が出ていく!」


「ダメ! 貴方は強いけど、あの人数は……」


「はっ、生憎あの程度の人数ならどうってことない!」



 俺は少女の手を振り解き、大通りにいる兵士達の前に飛び出た。兵士達もいきなり俺が飛び出て来たことに驚いているが、すぐに武器を構えた。



「貴様か? 反乱分子は?」


「ああ、そうだ!」


「そうか。なら、死ぬがいい!!」



 兵士達が一斉に襲い掛かってくる。統率の取れた動き、洗練された兵士達。この国の軍事力は相当高いことが分かる。だが、この程度の実力なら魔法を使うまでもない。



 一番手前にいた兵士の懐に潜り込み、掌底を打ち込む。掌底を打ち込まれた兵士が後ろに吹き飛び、後ろにいた兵士達に激突する。止まった俺に背後から兵士が斬りかかって来るが、背面蹴りで兵士を蹴り飛ばす。蹴りを放った後の隙を狙うように横から兵士が二人挟み撃ちにしてくる。



 独楽のように回転蹴りを放ち、二人を蹴り飛ばして倒す。最初の掌底を打ち込んだ兵士の巻き添えを喰らった兵士が立ち上がろうとしている所に近付きかかと落としを決める。その光景を見ていた兵士が後退りを始める。



 ふふん。


 俺に恐れ戦くがいい!!



「さあ、次はどいつだ!?」



 逃げ出そうとした兵士がいたが、隊長の一言によって覚悟を決める。



「逃げた者は殺す。戦わない者も殺す。行け」



 自暴自棄になったのか、統率の無いバラバラの動きで攻撃を仕掛けて来る。一人、また一人と兵士を倒していく。そして、最後の一人を倒した俺は隊長に目を向ける。



「さあ、あとはお前ひとりだ」


「よかろう。私が直々に相手をしてやる!」



 隊長は馬に跨ったまま、持っていた槍を構えた。

不定期更新ですが、よろしくお願いします

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