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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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教えてあげよう

 橋の入り口まで来た時、後ろから声をかけられる。俺は振り向くことなく、声の主に返事をする。


「なんだい? クレアちゃん」


「色々と言いたい事があるけど…………どうやってあの爆発から生き残ったの?」


「ふむ……話せば長くなるけど?」


「教えて」


「わかった……」



 ◆◇◆◇◆◇



 今だっ!!



 爆発と同時に周りと軍の施設全体に障壁を張り巡らせる。施設が次々と爆発を起こしていく。爆炎が襲い掛かり、視界を塞いでしまう。障壁のおかげで俺自身には傷一つ無いが、どこかの施設に保管されている特殊物質が俺に影響を与えた。



「がっ!?」



 なんだ、これ…………


 気分が悪い……


 いや、目眩が……


 頭痛もする……


 くそっ……


 意識を保て……



「おおおおおおおっ!!!」



 咆哮を上げて、己を奮い立たせる。特殊物質や特殊燃料の影響は大きいが、それでもやらなければならない。被害をここだけで、この軍の施設だけで留めてみせる。



全てを飲み込む黒き玉(ブラックホール)!!」



 突き出した両手の前に黒い玉が浮かび上がり、爆炎を吸い込んで行く。それと同時に特殊燃料や物質などの人体に有害な影響を及ぼすものも吸い込んで行く。



 しかし、ここで大きな誤算が起こる。



 それは、特殊燃料や特殊物質が俺の元へと集まる為、甚大な影響が出てしまう。



「あぐっ……」



 足元がフラつきそうになるが、歯を食いしばり持ち堪える。ここで俺が倒れたりでもしたら、街の人たちに危害が及ぶ。それだけは何としてでも防いでみせる。例え、ここで俺の命が尽きようとも。



 いや、死んでたまるか!!


 彼女を作るまでは意地でも死なん!!


 持ち堪えろよっ!!


 俺の体ぁっ!!



 鼻から血が垂れ落ちる。耳奥がキーンと鳴り、血が流れ出てくる。視界が赤く染まり、涙ではなく血涙が溢れ出てくる。最後は吐血する。身体の中から血がとめどなく噴き出る。



 ダメだ……



 立っていられなくなり、片膝をついてしまう。全てを飲み込む黒き玉(ブラックホール)が小さくなり、吸い込む力が弱まってしまう。



「ぐぅ……」



 このままじゃ、街の人たちが……


 立て!


 立ち上がれっ!



「っがぁぁあああああああ!!」



 大量の血を口から流しながらも雄叫び立ち上がる。全てを飲み込む黒き玉(ブラックホール)に、さらに魔力を込めて大きくする。吸い込む力が一段と強くなり一気に特殊物質や特殊燃料を吸い込む。



 このままいけば!!



 だが、現実はそう甘くない。俺の身体に異変が起こる。心臓がドクンと強く脈打つと、口から膨大な量の血を吐いてしまう。血を吐いた俺は意識があるのにも関わらず、両膝を地面に着けてしまい前のめりに倒れた。



 なんでっ!!



「なんで、動けないっ!!」



 声も出せる。


 まだ、生きている。


 それなのに、何故!


 俺はまだっ!!



「まだ、やれるんだよぉおおおおおお!!」



 必死に立ち上がろうともがくが、身体に力が入らない。既に全てを飲み込む黒き玉(ブラックホール)は消滅している。まだ、爆発は続いている為、周りに被害が及んでしまう。



 何とか、何とかしないとっ!!


 くそっくそっくそっくそっ!!!


 くそったれが!!


 くっ!!


 足は?


 ダメだ。


 手はまだ動く。


 腕はかろうじて上がる程度。



「らぁぁあああああああ!!!」



 異空間へと腕を突っ込み、取り出すのは太陽の鎧。太陽の鎧を装着してパナケイアのネックレスを付ける。身体が全回復をする。立ち上がり、身体の調子を確かめてみる。やはり、太陽の鎧は全てを無効化してくれるようだ。特殊燃料や特殊物質の影響が全く出ない。



 最初からこうしておけばよかった。



 俺は一度上を見上げる。上空には分厚い水の結界が張り巡らされている。俺がウンディーネに頼んだものだ。放射能などは防げないかもしれないが、ウンディーネの水の結界は爆発の被害を街へと出していない。



 保険をかけといて良かった。


 後は、俺がやるだけだ!!



 再度、全てを飲み込む黒き玉(ブラックホール)を発動する。爆炎を、爆風を、特殊物質を、特殊燃料を次々と吸い込んで行く。やがて、全てを吸い込み全てを飲み込む黒き玉(ブラックホール)は消滅した。残ったのは、爆心地のクレーターと俺だけ。



「い、生きてる〜〜」



 全てを終えた俺は安堵してその場に寝転がる。雲一つない青空が視界いっぱいに広がる。生きている事が不思議に思えて何だか時間が止まったような感覚に陥る。しかし、それもすぐに忘れる事となる。



「ショウゥゥウウウウウウウウ!!!」



 おっふ!!



 大人バージョンのウンディーネが物凄い勢いで抱き着いて来た。顔面にウンディーネの豊満なお胸様が当たる。本来なら興奮して喜んでいるのだが、いかんせん勢いが強過ぎた。



 後頭部を思い切り地面に打ち付けられ、さらには胸に顔面を、つまり鼻を潰された。俺はそこで気絶してしまったのだ。天国と地獄をいっぺんに味わえた。



 せめて、おっぱいだけで……も……ガクッ……



 虚空へと伸ばした手が地に落ちた。ウンディーネは気絶している俺に気づかず抱きしめたまま。俺が気絶した事に気が付いたのは数分後のことだった。


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