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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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ちょっ、マジ死ぬるっ!

「くそっ……こいつどんどん強くなってやがる!」


「隊長、俺的に防御で精一杯っす……」


「ぬぅ……ワシも攻撃に移れんのぅ……」


「……俺も……そろそろ……捉えきれ……なくなる」



 ヘドロに苦戦を強いられている四人。倒れているキャサリンをドレイクとガロンが守り、ジンとデュークがヘドロに攻撃をしている。ジンが接近戦でデュークが後方支援。



 ジンは既にバスターモードを起動している。それなのに、ジンはヘドロを倒せない。俺からすれば最早何がなんだが分かったものではない。何せ、今の俺ではヘドロとジンが衝突して止まった瞬間しか目に映らないのだから。



 さて、そんな事はどうでも良い。今本気でやばいのは俺の身体だ。先程、ゴポリと口から血を吐いたのだ。しかも、血は止まることなく吐き続けている。つまり、何が言いたいかというと、内臓やられてます。早く助けて。



 なんとか意識だけは持ち続けているが、それもいつまでもつのか分かったものでは無い。一刻も早くキャサリンに治癒魔法を掛けて貰いたい。だが、キャサリンは今俺の元へと来れる状況ではない。



 ヘドロは分かっているのかキャサリンが俺の元へ向かおうとするのを止めようとしている。それを何とかジンとデュークが阻止している。しかし、ヘドロは強く苦戦する一方だ。



「このっ!! だっ!!」


「……ッッ……」



 ジンが声を発しているのは分かるが、どこで何をしているのかさっぱり分からない。成る程、これがいつも俺が戦っている世界なのか。そう考えると俺も人間やめてるな。てか、こんな事を呑気に考えてる場合じゃない。



 ぐっ………


 動きたいが、動けん。



 身体を動かそうとしたら、全身に激痛が走り身動き一つ出来ない。無理にでも動いたらきっと叫び声を上げてしまうだろう。それほど痛いのだ。



「づあっ!?」



 ジンが吹き飛んてきて、近くの壁に激突してしまいそのまま床に倒れ込む。



「くぅ……このままじゃ負けるな……」



 倒れているジンが弱々しい言葉をこぼす。何か反応してやりたいが、残念ながら今の俺には出来ない。俺が出来るのはただ聞いてやる事だけだ。



「おい……まだ、生きてるよな?」



 意識はある。



 応える事は出来ない。ジンは答えようとしない俺を見て、少し声を荒げて先程と同じ言葉を投げかけてきた。だが、俺は当然応える事なんて出来やしない。



「おいおい……冗談だろ? まさか、本当にくたばったてのか?」



 這いずりながらジンが俺の元へと来る。ようやく、ジンは俺の元へと辿り着いた。ジンは俺が生きているのかを確認する為に俺の胸に手を当てた。勿論、俺は生きているので心臓は動いている。



「ふぅ……生きてんのか……しかし、口から吐血。外部に損傷が無いという事は内部に酷い損傷があるみたいだな。俺も治癒魔法を使えたら……くそっ……文句を言ってももしゃあねえか」



 おうおう。


 人様の前でぶつくさ喋ってんじゃねえよ!


 一応聞こえてるんだからな!


 目を閉じてるから気絶してると思われてるけど、起きてますからねっ!



 その時、近くの壁に何かが激突する音が聞こえた。ジンがそちらに振り向くとデュークが壁にめり込んでいた。どうやら、ヘドロの力はさらに上がっているようだ。人を壁にめり込ませるほどの力までに。



 これはちょっとシャレにならないんじゃないの?



「おい、デューク! 生きてるかっ!?」


「……」



 言葉こそ発してはいないが首を傾けて反応したので、とりあえずは生きている。しかし、これでキャサリンを守っているのはドレイクとガロンの二人だけとなってしまった。いずれ、全滅するのも時間の問題となった。



 そして、またも壁に何かが、いや、言うまでもなく人が激突したのだ。今度は誰がヘドロに吹き飛ばされたのかと言うと、ドレイクだった。壁に嵌めこまれたアートに見えるほど、綺麗に激突していた。



「隊長……マジすんません……」


「言うな……」



 これで残りの一人はガロンだけとなった。ガロンは必死に耐えてはいるが最早限界だろう。もしかしたら、まだ耐えてくれるかもしれないと切実に思うが、そんな思いは簡単に打ち砕かれた。



「ごふっ……限界じゃ」



 ヘドロの強力な一撃によりガロンが崩れ落ちた。遂に全滅となってしまった俺達。最早、ここまでかと思われたが、ここでまさかの展開に。



「ありがと〜。みんなが時間を稼いでくれたお陰でここまで来れたよ〜」



 へっ?


 おっ?


 おおおおっ!?


 おおおおおおおおおおお!!!!



「俺! 復活やでぇ!!」



 なんといつの間にかキャサリンが俺の元へと来て、治癒魔法を施してくれたのだ。だが、一つ問題がある。まだ、俺のステータスが戻っていないのだ。こんな状態では戦えやしない。仮に戦ったとしても瞬殺されるのがオチだろう。ここは逃げるが吉か。



 などと考えてる内にヘドロが目の前に。



「まあ、待て。落ち着け。話をしようじゃないか? 言葉はわかるかね? 分からないのなら、首を縦に振りなさい。ふむ、反応なし。これは……!! にげねばならぬっ!! うきゃあああああああああああっ!!」



 あの手この手でヘドロを説得しようとしたが全て失敗に終わる。戦闘するたびに強くなるのだから、言葉を理解してもいいじゃないか。



「死ぬるぅううううううっ!!!」

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