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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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ヘドロ

 とりあえず、クワトルとか言う変人科学者は殺すとして。まずは先にハンナの居場所を聞き出さねば。きっとクワトルなら知っているはずだろう。知ってなかった場合は酷い目に合わせよう。



「おい、クワトル!! テメェ、ハンナの居場所を知ってるか!」



 指を指して大声で聞いてみる。クワトルは数秒ほど目を閉じると、片目だけを開けて答えた。



「知ってマスよ。彼女がどこにイルのかをね」


「ほう。なら、さっさと教えやがれっ!」


「ニョロホホ。呼んでマスよ、ハンナさん。顔を見せてあげなサイ」



 クワトルが首を横に向けて後方にいると思われるハンナに話しかける。クワトルの横からゆっくりとハンナが現れる。表情を見る限り元気そうでなによりだ。



「ショウさん!!」


「ハンナ。よかった、無事だったんだな」


「え、ええ。無事なのは無事なんですけど……」


「なんか問題があるのか?」


「お腹が減りました」


「……」



 心配した俺がバカだった。


 いや、でも本当に無事で良かった。


 これで殺されていたなら、俺はステータスが戻り次第、クワトルを思いつく限りの拷問をして殺してたわ。



「なぁ、お嬢ちゃんって結構肝が据わってるな」


「だろ? 中々あんな女いねぇぞ?」


「ちょっ、二人共軽く私の事乏してませんか?」


「いや、俺は褒めたけど……」


「俺は、皮肉っただけだ」


「ショウさんは明らかに乏してるじゃないですかぁっ!」


「ニョロホホホホホッッ! お喋りはそこまでデスよ」


「今楽しいところなんだから引っ込んでろよ!」


「……そういう訳にもいかないのデスよ」



 クワトルが指を鳴らすと、部屋のブロックが移動し始める。ブロックが移動し終わると入り口の様な穴が開いた。その入り口からはおぞましいモノが現れた。



「なんだよ、アレ!!」


「全員戦闘態勢!! キャサリン、お前はショウを守れ!! 俺とドレイクとガロンは遊撃! デューク、お前は俺達の援護射撃だ!! 気をつけろよ! アレが何か分からないが…………俺のセンサーが警告を出してやがる。アレはかなり強いぞっ!!」



 入り口から出て来たのは、人の形をしたヘドロの様な物。顔と思われる部分は目と口なのか分からないが三つも穴が開いている。手も足もあるがヘドロなので指は無く、ドロドロとしたものになっている。



「俺的に速攻で潰す!」


「グアハハハハハ! 楽しめそうじゃい!」


「ドレイク、ガロン! 油断するなよ!」



 ジンとドレイクとガロンの三人が飛び出し、ヘドロへと向かって行く。ジンが蹴りを入れ、ドレイクが大剣で両断し、ガロンが木っ端微塵にヘドロを拳で弾き飛ばした。これで終わりかと思えたが――



「再生能力か!? 面倒な奴だな!!」


「でも、俺的にあいつは弱いぜ?」


「確かにのう。あまり歯応えの無さそうな相手じゃ」


「そうだな。だが、気を緩めるなよ。まだ、奴の力は見てないんだからな」



 ヘドロは完全に元通りになる。三人はそれぞれ構える。ドレイクが飛び出し、ヘドロを横薙ぎに切断しようと大剣を振るうがヘドロに大剣を受け止められる。



「んなっ!?」



 ドレイクの大剣にヘドロは腕を触手の様に巻き付く。ドレイクは引き剥がそうと引っ張るもののヘドロの力が思った以上に強いらしく中々引き剥がせない。ヘドロはもう一方の腕でドレイクに攻撃を仕掛ける。



 ヘドロの腕が鞭の様にしなり、ヒュンッと風切り音が一瞬鳴る。俺の目には捉えきれない速度でドレイクに腕が襲い掛かった。



「ぬぅんっ!!」



 ヘドロの腕がドレイクに直撃する寸前にガロンがヘドロを吹き飛ばす。吹き飛んだヘドロは壁に激突すると、ベチャッと汚らしい音を立てて壁に付着する。



「ドレイク! 油断するなって言ったろうが!」


「……隊長。俺的にあいつは速攻で殺した方がいいと思う」


「何? どういう事だ?」


「あいつ……最初に真っ二つにした時より強くなってる」


「本当かっ!?」


「ドレイクの言う通りじゃろう。ワシも先程よりも手ごたえを感じたわい」


「チッ。再生能力に加えて戦うほど強くなるとか最悪な組み合わせだろ!」



 壁に付着したヘドロが床へと落ちていき、再び元の形へと戻っていった。



「デューク! 対魔抗弾を撃て!!」


「了……解」



 デュークがヘドロに一発の弾丸を撃ち放つ。弾丸はヘドロの胸部を撃ち抜く。ヘドロは形を保てなくなったのかドロドロと崩れて行く。



「効いたか?」


「……ッ! 逃げ……ろ!」



 完全にただのヘドロになったと思われたヘドロは、塊となってジン達に襲い掛かった。目にも止まらぬ速度で飛んで行きドレイクに直撃する。



「ぐあっ!!」


「ドレイクっ!」


「ジン! 余所見をするでない!!」



 吹き飛んだドレイクに気を取られたジン。その隙を狙ってヘドロがジンへと狙いを定めて襲い掛かる。



「しまっ!? がっ!」


「ええい!! ちょこまかと鬱陶しいわっ!!」



 ジンを攻撃して隙が出来たヘドロにガロンが拳を叩きつける。



「ぬうっ!?」



 しかし、ヘドロは形を拳へと変えてガロンの拳に対抗した。



「力比べと行こうかのぅ!!!」



 ガロンが力を込めてヘドロを押して行く。ヘドロは遂に力負けてガロンの拳により吹き飛んだ。再び、壁に激突すると付着してボタボタと床に落ち行く。



 うはっ!!


 俺出番無い!

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