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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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また増えた

 ドレイクが加わり、勢いを増した俺達は軍の本部へと突入した。相変わらず、大量の機甲兵が押し寄せてくる。だが、こちらにはドレイクとジンがいる為心配はない。むしろ、心配なのは俺という存在を忘れそうになっていることだ。



「オラオラッーー!!」



 ドレイクが大剣を振り回して機甲兵を薙ぎ倒して行く。その後ろを俺とジンが走り、ドレイクが機甲兵を破壊して道を切り開く。



「いやぁ〜楽でいいわ〜」


「ハァ……ハァ……ちょ、休憩しね?」


「あっ? 何お前、まさか体力切れ?」


「だって……はぁ……全力疾走……ずっと……はぁ……ぜぇ……はぁ……してんだぞ?」


「全力疾走ってそんなに…………まさかお前身体強化も無しか?」


「ぜぇ……はぁ……あたりまえだろ……はぁ」


(冗談だろ!? 身体強化も無しで俺達について来てたのか! 素の身体能力でここまで走れるなんて…………こいつ人間やめてねえか?)


「おい、どうした? 急に黙ったりして」


「あ、ああ。いや、何でもない。少し先に行ったら休憩を挟もう」


「助かる」



 一瞬、目を見開いて黙り込んだ時のジンが異様な物を見るように感じたが、今は休める事に感謝しよう。ドレイクがどんどん先に進んで行き、止めるのに苦労はしたがようやく休憩に。



 いや、もうガチで疲れた。


 足がガクガクよ。


 フルマラソン完走したらこんな感じなんかな?



「はぁ……はぁ……ふぅ……」



 俺は床に座り込み体力を回復させようと呼吸を整える。ジンは別に疲れてないので立ったままである。ドレイクは次から次へと来る機甲兵を相手にしている為、今も動き続けている。



 働き者だね〜!


 まあ、俺が弱体化してる所為なんですけどね!


 ごめんね!!


 口には出さないけど!



 ようやく呼吸が元に戻って来たので出発する。俺が立ち上がるとジンがドレイクに出発する事を伝える。



「ドレイク。行くぞ!」


「了解っ!!」



 機甲兵を吹き飛ばしてドレイクが俺とジンの先を走る。ジンと俺はドレイクの後を追いかけるように走り出す。相変わらず全力疾走をする俺。前の2人は平然と走っているのがムカつく。俺だって魔法さえ使えればこれくらい余裕なのに。



 まあ、文句を言っても仕方がない。さっさと一定時間とやらが経てばいいのだが。かれこれ一時間以上は経過しているのに戻らないのだ。



 一体どうなっているのだろうか。そもそも一定時間という表記がいけないのだ。せめて、一定時間という表記ではなく正確な時間を示して欲しい。そうでもないと、使い所を間違えれば死に繋がってしまう。



 便利な能力ではあるが、意外なところで使い勝手が悪い。まあ、武具創造のおかげで今までやってこれたのだから割合としておこう。



「それにしても、広いな〜」


「まあな。ここは本部だから色々とあるんだよ」


「俺的にはもう少し狭くても良いんだけどなぁ〜」



 廊下を走りながら会話をする。俺とジンは走りながらだが、ドレイクは走りながら大剣を振り回し機甲兵を破壊して会話に混ざっている。器用な事をする奴だ。ちなみに万全の状態だったら俺だって出来る。



 曲がり角を曲がろうとしたら、先に進んでいたドレイクが立ち止まる。急に立ち止まったから何事かと思い声を掛ける。



「おい、なんで止まるんだよ?」


「この先にちょっとヤバイのがいんだよ」


「………デュークか」


「俺的に苦手な相手なんだよ。隊長、お願いして良いっすか?」


「……任せとけ」



 ジンがゆっくりと曲がり角を曲がって行く。すると、一発の銃声が聞こえるとジンが吹き飛んだ。頭を撃ち抜かれたと思ったが、ワザと吹き飛んだだけのようでジンは何事も無かったように立ち上がる。



「デューク!! よく聞け! 俺はお前と敵対する気はないっ!! もし、お前に俺と戦う意思が無いのなら銃を下ろしてくれ!」



 大声を出すジン。その様子を覗こうと曲がり角から顔を出そうとしたらドレイクに止められた。



「やめとけ。多分、今顔を出したら確実に撃ち殺されるぜ。俺的にな」


「大丈夫だろ」


「いや、デュークだから大丈夫じゃない。俺的に絶対だ」


「うっ……なら、やめとく」



 流石にドレイクが本気で止めに来てるのがわかったので顔を出すのは諦めた。



「デューク!! お前が軍に残るのも、お前が俺達と共に来るのもお前の自由だ!!」



 あれっ?


 いつの間にそんな事になってんの?


 まさか、デュークまで仲間にする気?


 別に俺は全然構わないけどね!


 むしろ、お願いしたい!


 もっと俺の護衛を増やして欲しいぜ!



 しばらく、静寂が続いていたが靴の音が聞こえてきた。どうやら、デュークがこちらに歩いて来ているようだ。案外、ジンは部下に好かれているのかもしれない。



「……俺も……一緒に……戦います」


「流石、デュークだぜ!! やっぱりお前は俺の部下の中でも一番良い奴だよ!」



 こうして新たにデュークが仲間に加わった。これで近距離のドレイクに遠距離のデューク。そして、オールラウンダーのジン。まさに完璧の布陣だろう。これなら、俺も安心して前に進めそうだ。



「それじゃあ、張り切って行こうぜっ!」


「おおー!!」


「うぇーい!」


「……おう……」

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