国王と対談
「それでは皆様のステータスを確認出来ましたので、これから父上の所に行きましょう」
クリスが全員のステータスを確認し終えると、そんな事を言ってきた。別に俺は構わないけど、クリスの父上って国王様だろ?
それってつまりこれから俺達国王と面会って事だよね。緊張するけどワクワク感の方が強いな。だって、俺一度もそんなお偉い方と会った事無いし。
いや、普通は無いだろうな。そりゃ社会に出れば自分よりも立場は上の人間とかに会うだろうけど、王様だよ? 王様。この国のトップだよ? そんな偉い人に会うなんて一生巡って来ないものだと思ったのに。
と、まあ適当にゴタゴタしていたら、いつの間にか王の間の前に来ていた。興奮しているのは俺だけでなくクラス全体が興奮していた。
まあ、1人だけは極度の緊張をしていたけども。その1人は我らが担任、陣内鉄也だ。しかし、きっと先生の事だから啖呵を切る事間違いなしだ。いや、本当に絶対。相手が目上の人間だろうと噛み付くから先生は。
扉が開かれる。別に巨人が通る訳じゃ無いんだからあそこまで扉を大きくせんでも良くね? もしかして王様って見栄をはりたいの? 自分を大きく見せようとあんな巨大な扉を建造したのなら器が知れるぞ。
遂に王の前へとたどり着く。周りには騎士か兵士かよく分からんがビッシリと並んでいる。そこまで警戒しなくても良くね?
俺達こっちに来てまだ1、2時間程度だよ?
君達がそんなに身構えても俺たち何もしないって。
むしろ、出来ないって。
魔法があるとか言われても発動の仕方分からないし。
スキルは発動出来たけどさ。
「ようこそ、勇者の方々よ。よくぞ、我等の願いに応えてくれた。感謝致す」
超上から目線だな。
ふむ…………
鉄人はどう出るか?
「……貴方が私達を呼んだ張本人ですか?」
「如何にも。大臣達と話し合い、決定を下したのは私だ。詰まる所、私がお主達を呼んだと言っても過言ではない」
「そうですか……。では、我々を戦争の道具として呼んだ、と言う解釈で宜しいですか?」
「………すまない。我々も後が無いのだ。最早、我々の国が滅びるのも時間の問題なのだ。悪い事をしたとは思っている。しかし、どうか、どうかこの国を救ってはくれぬか」
超自分勝手!!
ふっざけんなよ!
チート貰ってるけど俺は平和が一番だね!
まあ、ちょこちょこっと活躍して女の子にキャーキャー言われたいけど!
ぐへへへ!
下心丸出しでござんすぅ。
そのままハーレムで築いちゃおうかな、ムフフ。
「……我々は」
鉄人が何かを言おうとした時、クラスの誰かが声を上げた。
「なぁ、鉄人。俺は戦っても良いぜ」
ビックリ仰天。
ちょいちょい待ちましょうや?
今なんて?
「なっ! い、今戦っても良いと言ったか?」
先程の発言に驚き、戸惑いながらもう一度聞き返す鉄人。聞き返された生徒は、鉄人の方をしっかりと見て答えた。
「だってよ〜。どうせ戦わなきゃ死ぬんだろ? それなら戦った方がマシじゃん」
その通りだけど、命のやり取りするんだよ?
覚悟あるの?
俺ないよ?
「馬鹿な事を言うんじゃない! わかってるのか? 戦うと言うことは常に死と隣り合わせなんだぞ?? それに君達はまだ若いんだ!! まだ生きていたいだろう! もう少しよく考えろ!!」
「そうだよ! 先生の言う通りだ!」
「いくら力があるからって私達には無理よ」
そうだ!
鉄人の言う通りだ!
俺は戦いたくない!
怖いもの!
それに死にたくないし…
「でもよー、例えさ戦わなくたってよ、今も魔族ってのがこの国を攻めてるんだろ? それなら遅かれ早かれ俺達も殺されるじゃん? それなら俺は戦い方を教えてもらって抵抗はするね!」
「そ、それは…」
「別に戦いたくない奴は戦わなくたっていいと思うぜ??そんなの個人の自由だしな。」
こ、こいつ!
尤もな意見を言いやがる!
何も言い返せないじゃねえか……
「…分かった。君達の判断に任せよう」
鉄人が折れた!?
おいおいマジかよ!
勘弁してくれ!!
俺は断固拒否だ!
俺以外にも戦いたくない奴だっているはずだ!
「ねぇ、大くんはどうするの? 戦うの?」
「俺は……」
「私は戦います。先程言っていた通り遅かれ早かれ戦うことになるのなら少しでも強くなりたいです」
「私もだ! ただ指をくわえて待ってるのは私には合わない。私も参戦しよう」
「留美……楓……」
「大くん? 私もね、本当の事を言うと戦いたくないの。だって死ぬのが怖いから……でもね! 私、大くんや留美ちゃんや楓ちゃんが死ぬ方がもっと怖い! だから私も戦うよ! 大くん」
「そうだな……そうだよな!! 俺も皆に死んで欲しくない !もっと皆と一緒にいたい!! それで皆と元の世界にも帰りたい!! だから!! 沙羅、留美、楓! 俺も戦うよ!」
ぶはぁっ!!
何言っていんだ?
アイツら?
頭おかしいんじゃねえのか?
青春し過ぎだろ!?
いや、単に俺が捻くれてんのか……
でも流石にあれは引くだろう……
「この中に戦う意思がない人はいるか?? いるなら手を挙げろ! 別にこれは恥ずかしいことではない。君達には命を粗末にして欲しくはない」
「先生! 俺達、覚悟決めました!」
「うん!」
「おうよ!」
「やってやろうぜ!!」
「好きにすればいいわよ」
「やるだけやろう」
えっ?
なんか全員参加みたいになってるんですけど?
俺手を挙げようと思ったのに、なんでこんな時に限って一致団結すんだよ!
「そうか…お前達が決めたのなら私は何も言わない」
鉄人!!
教師でしょう!?
そこは止めるべきでしょうが!!
自分の教え子達を死地に向かわしてどうする!!
「そ、それでは我らと共に戦ってくれるのだな??」
「はい! この子達が決めた事です。私はこの子達の意思に従います」
「そうか!! それは本当に感謝する」
「いえ、感謝をするならこの子達にして下さい」
「ありがとう…ありがとう!! 君達には感謝をしきれない」
国王様が俺達に向かって頭を下げてる。一国の主がそんな簡単に頭を下げても良いのかと突っ込みたくなる。しかも、下げる相手は子供である俺たちだ。
あー、やってらんねぇ……
これで俺は戦わなくちゃいけないのかぁ……
改訂しました