番外編 謹賀新年あけおめ!
謹賀新年明けましておめでとうございます。
今回は番外編でございます。
学園の校庭では異世界より招かれし勇者達が大盛り上がりのお祭り騒ぎをしている。
「イェーーーーイ!!!」
「ウェエエエエエイ!!」
「イヤーーーーッフーーーー!!」
「フォオオオオオ!!」
「死ね、男共」
「それな」
「うるさい」
「調子に乗り過ぎ」
騒いでいる男子達とそれを見て呆れる女子達。
「だって! お前! 今日は年明けですよ!? 世間一般で言うお正月ですよ!!?? これを祝わずにいられますか!?」
「無理ぃいいいい!!」
「宴じゃああああ!!」
男子達が騒いでいる理由は、本日年明けであるため。その為、男子達はいつも以上に騒いでいる。
「はぁ……あんたらが喜んでる理由は可愛い子達が振袖姿だからでしょ?」
ギクリと効果音が聞こえる程のリアクションをする男子達。実際に女子の言う通りで、女子達も振袖姿であり、さらには――
「な、なんかこの振袖って動きにくいわね」
「そうですね。でも、柄は可愛いらしいですよ」
「うぅ……これじゃ剣を振れませんよ」
「キアラ〜、どうしてすぐにそっち方面に考えちゃうの〜?」
「まあ、でもキアラ先輩の言う通りですけど……たまにはこういうのも良いと思いますよ」
リズ、セラ、キアラ、ソフィ、ローラの四人も振袖姿になっている。リズは黒の振袖姿でセラは赤の振袖姿。キアラは青色でソフィは緑色である。ローラは黄色の振袖姿で柄は全員似たような花柄模様であるが、花の種類が少しだけ違う。
「だってよぉ!! こんな……こんな!! 美人さん達が振袖姿だぜ!!?? 喜ばない男子っているのか!? いねぇだろ!! もしも、そんな奴がいたらホモ確定だぞ!」
必死に熱弁する男子。それを聞いて女子達は呆れてはいるが、四人の振袖姿を見て納得している部分もある。四人とも雑誌の特集に掲載されそうな程に似合っているからである。
「でも……リズさん達って山本の事が好きなんでしょう?」
「はぅあっ!!」
「ごはぁっ!!」
「うべぇっ!!」
「げぼぉっ!!」
先程までハイテンションだった男子達が揃いも揃って倒れる。男子達が虫の息になっている側では、リズ達が真っ赤に顔を染めていた。
「うぅ……分かってたよ……それくらい……でもよぉ……夢見たって良いじゃねえか」
「まっ、あんたらがこうやって馬鹿騒ぎしてる間に山本はさらなる美女に出会ってるんじゃないの?」
「ち、ちくしょう! 山本め!! うらやまけしからん!!!」
「うらやまけしからん!! って言うけど山本は実際に必死で戦ってるからね? 私達みたいに平和に過ごしていたりしないから」
「うぐっ!」
「もしかしたら、どっかの美女と平和に過ごしてるかもしれないけど」
「ちょっ!」
「あっ!!」
男子達に現実を突きつけていたら思わず口が滑ったのか、あるかもしれない現実を言ってしまったのだ。それも、山本に好意を寄せているリズ達の前で。
その女子を他の女子が止めたが時既に遅し。
「ショウ……………」
「ショウさんが幸せならそれで……」
「そうですよね。ショウさんが幸せにしてるなら、私達はそれで……」
「私達に文句言う権利なんてないもんね〜……」
「うぅ……悲しいですけど、ショウが幸せに暮らしてるなら……」
明らかに落ち込んでいるリズ達。そんな四人を見てやってしまったという顔をする女子達。こうなったら、どうにかして元に戻さないといけない。何せ、この状態になったらどこまでもネガティヴ思考のままなのだから。
そんな時、どこからともなく笑い声が聞こえて来る。
「アーハッハッハッハッハッハ!! 私が来ましたよぉおおおお!!」
「来たーーー!!!! 我等がアイドル、アイリスさぁーーーーん!!」
「とうっ!!」
シュタッと学校の屋上から飛び降りるアイリス。アイリスの格好は学生服である為、スカートを履いている。
「フゥゥオオオオオオオオ!!」
アイリスは自分がスカートなのを忘れており、飛び降りたことでガッツリ男子達にスカートの中身を見られた。しかし、悲しい事に本人に自覚無し。なので、男子達は大空に向かって咆哮を上げたのだ。
「フフフ。私が来たから男子諸君の皆さんは喜んでくれたんですね!」
「はい!! いつもいつもありがとうございます!」
実に欲望に素直な男子達である。だが、アイリスが美女の部類に入るので許された事であろう。これをブスがやっていたのなら間違いなく男子達は魔法を放っていたはずだ。
「それで、リズ達はどうしてあんな事に?」
「あー、実はそれが」
今も尚、呪詛のようにネガティヴ発言をしている四人を見てアイリスは説明を要求した。女子達がなんとかリズ達を立ち直らせようと慰めている。男子達でアイリスに何故リズ達がああなったのかを説明する。
「ふむ。ショウさんがどこかで美女と幸せに暮らしていると……」
「まあ、なきにしもあらずって事なんですけどね」
「いや、多分無いですよ」
「へっ?」
「だから、無いですよ」
「いやいや、それは聞きましたって。でも、どうしてそんな事が分かるんですか?」
「だって、ショウさんですよ? スケベでアホなショウさんが幸せに暮らしてるわけが無い」
この言葉を聞いたら、確実にショウはキレる事だろう。きっと、変態幽霊とアホな戦いを見せてくれる事であろう。この場にいたらの話だが。
「あぁ、まあ山本も男ですからスケベだとは思いますけど……流石にそれだけじゃあ」
「いえ、断言出来ます!」
「は、はあ」
相槌を打つように首を縦にふる男子生徒。納得してくれたのが嬉しかったのかドヤ顔のアイリス。
「アイリス師匠。一体何しに来たんですか?」
「あっ! そうでした! なんでも今日は異世界の行事の一つなんですよね!」
「えっ? ああ! そうですね。今日は異世界だとお正月で元旦ですね」
「その元旦って言うのはよく分かりませんが、めでたい事なんですよね?」
「ええ、はい」
「なら、落ち込んでる場合じゃないですよ! お祝いしませんとっ!!」
続きます。
今年もよろしくお願いします。




