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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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本気の本気

 空を切った拳を引いて、周りを見渡すがジンの姿は見当たらない。後ろを振り返るも、ジンはいない。一体どこに消えたのかと思った時、上空から気配を感じる。



「上かっ!」



 上を向くと、両手を合わせてハンマーのように振り下ろすジンの姿があった。寸前のところでジンの攻撃を回避する。体勢を立て直してすぐに反撃に移るがジンの速度についていけず、放った拳は空を切るばかり。



 移動速度に追いつけないのなら、ジンよりも速く動けるようになれば良い。そう考えた俺はすぐに光と雷の魔力化を施した。



「煌輝迅雷!!!」



 魔力化を施した瞬間を狙うようにジンが背後に現れて、蹴りを打ってくる。だが、光の速さで避ける。逆に蹴りを放とうとジンの背後へと回ったら、肘鉄を顔面に打ち込まれてしまう。



「がっ!!」



 折れてる鼻に、またもダメージを受けてしまう。鼻を抑えるように回復魔法を施して立ち上がる。どうにも疑問に思ってしまうことがある。何故、俺が背後に回るとわかったのだろうか。



 先程の速度はまさに光速と言っていい。光など人間の目には捉えられぬものだ。それなのに、何故ジンは俺が背後に回ったのがわかったのだろうか。いや、肘鉄の事を考えると何故、分かっていたのだろうかが正しい。



「くそっ。なんでだ!」


「……さっきのがデュークの射撃を避けたやつより速いな」


「ちっ! お得意のデータかよ!」


「お得意ね。まっ、データがあれば対策が練れるからな」


「本当にっ! 嫌な奴だなっ!」


「ハッハッハッ。お互い様だろ」



 高らかに笑うジンへと一瞬で詰め寄り、腹部に拳を打ち込む。しかし、当たるか否かのところでジンに腕を掴まれてしまう。



「嘘だろっ!! 光と同等だぞ! なんで反応で来やがる!」


「う〜ん、そう言われてもなぁ……種明かししてもいいんだけど、流石にそれを教えるのはマズイんだよね」


「うぜえっ!!」



 ジンの顔面へと上段蹴りを放つ。勿論、蹴りの速度も光の速さだ。しかし、またしても防がれてしまう。今度は決まるとばかり思っていたが。これでは一向にジンへと攻撃が出来ない。



 一体どうなってんだよ!


 どうやって光の速さを!!


 見えてるとか!?


 いやいや、人間の目には……


 待てよ?


 ジンは人造人間だろ?


 なら、目は?


 いや、でも確かジンは生身の人間から人造人間になったって言ってたから目は人間の物のはず。


 そう思い込むのが普通だが……


 もしかしたら……



「らあっ!!」



 掴まれている手と足を強引に外して、ジンから離れる。距離を取り、ある行動に出る。もしも、俺が考えている事が正解ならば光の速度など無意味なものになる。



「へぇ〜」



 ジンの周りを光速移動して撹乱する。残像が残る程の速度を出して一斉にジンへと飛び掛る。どれが本物か分からないようにしたが、結果は――



「分身したからと言ったって所詮君は一人だろ」



 なんと、ジンの前方に飛び掛っていた俺が全て分身と見破られており背後で回し蹴りを放っていた俺の足を受け止めたのだ。



 だが、これでハッキリとした。



「お前、俺の事目で追ってないだろ?」


「さて、何のことやら?」


「惚けんなよ。どうせ、身体の中にでもセンサーがあるんじゃねえのか」


「ふむ…………残念。それは正解じゃあない」


「なに?」


「だからと言って答えは教えたやらんがなっ!!」



 ジンは掴んでいた俺の足を両手で掴むと、そのまま俺を持ち上げて放り投げた。物凄い速度で空を飛び、弾丸のように壁に激突して埋まった。



「あが……」



 このような戦いは久しぶりだ。


 ファイブ以来か。


 ああ……


 もう、ダメだ。


 考えるのは止めた。


 殺しはしない。


 だが、完膚なきまでに叩きのめす!



「これから見せるのは俺の本気の本気だ。心してかかってこい」



 ジンとは大分距離が離れているが、ジンにはきっと俺の言葉が届いてるだろう。



「太陽の鎧!!」



 これを装備したからには速攻でケリをつける!!



「行くぞっっ!!!」



 ジンへと駆け、距離を縮める。魔法を放ち牽制をする。ジンが魔法を容易に躱して姿を消す。立ち止まり、ジンがどこから攻撃してくるのか待ち構える。



 背後に気配を感じて振り返ると拳打を打ち込もうとしているジンがいた。俺は敢えて拳打を喰らう。



「なにっ!」



 俺が防ぐ事も躱す事もしなかった事に驚きの声を上げるジン。今がチャンスと思いジンの腕を掴む。



「しまった!」


「悪いがこの鎧は代償が高くてね。この一撃で決めさせてもらうぞっ!!」



 ジンの腕を掴んだまま片足を後ろへと下げて拳を構える。魔力を収束させて行き目視出来るほどまでに魔力を高める。最大限まで溜めた拳をジンへと撃ち放つ。



「雷光崩拳!!」



 稲光りの様な拳がジンの腹部に決まる。



「ッッッ!!!」



 掴んでいたジンの手が引きちぎれて、ジンだけが吹き飛んでいく。引きちぎれた手を見てみると、舌打ちをしてしまう。千切れたのではなく、腕の結合部分が外れていたからジンが咄嗟に外したのだ。



「トカゲかよ……」



 腕を投げ捨てて追撃をしようとジンの方へと駈け出す。



 どれくらいの代償を払う事になるのかな……


 僕ちゃんの寿命がああああ

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