クルト再び!
俺は晴れてAランクになった。そして初めての依頼に、まさかあいつが来るなんて俺は思いもしなかった。
「やあ、久しぶりだね」
こいつは以前オークキングの討伐依頼を出してきた男、クルトだ。そしてイケメンでリア充だが弱い非常に弱い。オークと互角だから一般人よりちょっと強いくらいだ。それとリジーと言う恋人がいる。正確にはいただが、俺が腹いせにこいつの髪の毛を消してやったら大喧嘩したらしい。
ざまぁみろってんだ!
だが、今のこいつは以前と同じように髪の毛が生えてやがる。やはり永久脱毛にするべきだったな。
「さっきから黙って、どうしたんだい?」
「いえ、なんでも」
「そうか。それで君に依頼なんだがギガスドラゴンから取れる宝石が欲しいんだ!! もちろん報酬は弾む!! 受けてくれるかい!?」
「断る」
「そんなことを言わないで! 僕らの仲じゃないか!」
「そんなに親しくもないっすけどね」
「ほら、共にオークキングと戦った戦友じゃないか!!」
「足引っ張ってただけっすね」
「だから、ね!!」
「何が、ね! っすか!! 断固拒否っす!」
「お願いだよ! もう君しかいないんだ!」
「諦めるっすね」
俺はクルトにそう言ってその場を去ろうとするがクルトが足にまとわりついてくる。クルトは凄い必死だが、俺は嫌なのでクルトを引きずりながら来た道を戻る。
「頼む!! どうしても必要なんだ!! もう僕には君しかいない!! だからお願いだ!」
「わ、わかったからとりあえず離せ!」
ズボンに手を掛けてきて脱げそうになったので一旦立ち止まる。すると、ようやく離れるクルトに話を聞くことにした。
「で、理由は?」
「勿論! リジーへのプレゼントさ!」
「帰る」
再び俺はその場を去ろうとするがやはりクルトが足にまとわりついてくる。いい加減にして欲しい。何故、他人の彼女の為にそんなことをしなければいけないのか。依頼だといってもこっちにも選ぶ権利はある。
「さっき、わかったって言ったじゃないか!」
「なんで他人の彼女の為にそこまでしなきゃおえんのんすか?」
「僕じゃ勝てないから頼んでるんじゃないか!」
「なら誠意を見せろ」
俺がそう言うとクルトは俺から離れて土下座をした。しかも、地面は石なのに頭を思っ行きり打ち付けた。
「お願いします!!!」
流石に人が行きかう往来で土下座までされたら俺も断れなかった。その心意気に免じて今回は受ける事にする。
「わかったよ……」
「本当か……?」
「嫌ならいいけど?」
「いや! 是非よろしく頼むよ!」
クルトは立ち上がってきて俺の手を握って勢い良く頭を下げた。先程、地面に思いっきり頭を打ち付けて土下座したせいで額から血が流れていたから回復魔法を掛けてやった。
そして俺はクルトの依頼を受けてオルランド王国から数十キロ離れた所にある岩山を目指す。どうやらそこにギガスドラゴンが生息しているようだ。
ギガスドラゴン、こいつはあまり強くない。けど、途轍もない程の硬度を誇る鱗が全身を覆っている。その為こいつの鱗は防具などに使われている。
一日ほど移動に時間を費やして岩山に辿り着く。早速、ギガスドラゴンを探す。岩山を歩き回り、それらしい影を探すが見当たらない。気配感知してはいるけど全く反応がない。
うーん……
もう少し歩いて見るか……
しかし、探せど探せど一向に見つからない。本当にここに生息しているのかと疑いが生じる。疲労も溜まって来たので休憩を取る事にした。
ちょっと休憩だ!
疲れたから休憩しようと岩へと腰掛けた時、岩が動き始めた。何が起こったのかわからなかったけど身の危険を感じて岩から飛び退く。
ただの岩だと思っていたら、突然地面からギガスドラゴンが飛び出してきた。どうやら岩に擬態してたらしい。これじゃ、分からないはずだ。
くそっ!!
骨折り損じゃねえか!
「グルルゥ……」
「来いよ!」
「ギガアアアアアアアア!!!」
ギガスドラゴンは咆哮を放った後、俺に向かって突進してくる。一直線に突っ込んでくるので避けるのは容易い。
「おっと、当たるかよ!」
横に飛んでよけると、再びギガスドラゴンが俺の方へと顔を向けてくる。
「ガアアアアアアアアアアア!!!」
こちらに顔を向けて来たギガスドラゴンが口から閃光を放ってくる。驚きはしたが、避けられない事はない。先程のように飛んで避けると、背後にあった岩に閃光がぶつかる。
岩が溶けてるぞ!!
どんだけだよ、あの光線!!
やばいな。
アレには気をつけるか…
そして、またギガスドラゴンは俺へ突進してくる。芸のない奴だが口からの閃光に注意して武器を取り出す。
「来い!! 黒蓮、白夜!」
二丁の黒と白の装飾拳銃を取り出し構える。こちらへと迫っているギガスドラゴンに銃口を向ける。
「くらえ!! ブリザードバレット!!」
そう唱えて俺は氷属性の弾丸を放つ。しかしギガスドラゴンには意味がなかった。
「ガアアアアアアアアアアア!」
「なっ!?」
口から放たれる閃光に俺が撃った弾丸は呆気なく消されてしまった。これでは銃を使う意味がないと銃をしまう。変わりに、別の方法を試そうとある武器を取り出す。
「来い、カラドボルグ!」
カラドボルグは神話の武器の一つだ。こいつの意味は硬き雷とある。この剣は三つの丘の頂きを斬った伝説があるのだが本当かどうかはわからない。
「さぁ!! こいつとおまえどちらが硬いのか勝負と行こうぜ!!!」
「ギガアアアアアアアア」
俺はギガスドラゴンへと突っ込む。そしてギガスドラゴンは光線を放ってくる。真っ向から受けて立つとカラドボルグを振り下ろす。眩い閃光はカラドボルグにより切り裂かれる。
「おおおおおおおおおおお!!!!」
閃光を切り裂きながら咆哮を上げてギガスドラゴンへと近付いていく。しかし、ギガスドラゴンも負けじと咆哮を上げて閃光の威力が増す。
「ギイイイイイイガアアアアアアアアアア!」
負けるわけにはいかないと一歩一歩と前進する。そして、ギガスドラゴンに剣が届く距離へと詰め寄ると、一気に飛び出す。飛び上がってカラドボルグを首へと振り下ろしたら、ギガスドラゴンの首が転がり落ちる。
「ガ……ア……」
「ハァ……ハァ……」
ギガスドラゴンの身体が倒れる。勝利に身体が震えて手を空に突き出す。
「勝った、勝ったぞおおおお!!」
どうやらカラドボルグのほうが硬さは上だったみたいだ。さて、依頼の宝石をギガスドラゴンから回収しなければと解体していく。
依頼されていた宝石を見つけ出して、帰路に着こうとしたがギガスドラゴンの素材は売れるかもしれないのでと回収に戻る。回収が終わると、ようやく帰路に着いた。
帰りに一日と時間を費やしてクルトに依頼の品である宝石を渡しに行く。クルトが待っている場所に行き、待っていたクルトに宝石を渡して依頼完了である。
「これが依頼の宝石っすよ」
「おおおおおおお!! ありがとう、ありがとう!!」
「大袈裟っすね」
「よし、早速リジーの所に行ってくるよ!」
「はいはい」
そう言ってクルトは走って行ったと思ったら、こっちに帰ってきた。何やら不安そうな顔をしており、何事かと思う。
「その、すまないが君も着いて来てはくれないだろうか? 一人では不安で……」
「あー、はいはい。ここまで来たら最後まで付き合ってあげますよ」
「恩に着るよ!!」
そうして二人でリジーの元へと向かう。道中、不安そうに俺へ話しかけてきたりしながらリジーのいる場所に辿り着いた。
「何、クルト?」
「実は話があるんだ……」
俺は物陰に隠れながら二人の様子を伺う。なんだか見ている俺まで緊張してしまう。ゴクリと固唾を呑んで見守る中、クルトが勇気を振り絞ってみせた。
「僕と……」
「……」
「僕と結婚して欲しい!!」
そう言ってクルトは宝石を渡す。成る程、プロポーズの為に、あの宝石が必要だったのかと納得する。
「嬉しい……」
リジーは涙を流しながら宝石を受け取った。クルトはプロポーズが成功したと顔を上げてリジーを見詰めている。
「リジー……」
「私でよければ幸せにしてください」
「勿論だよ! リジー!!」
二人は抱き合う。どうやら、無事結ばれたようだ。しかし、俺としてはやはり解せない。頑張ってきたのは俺で結果がクルトの幸せなのだから。
「くそっ! リア充が死ね!!」
虚しい……
結婚かぁ~~
良いなぁー俺もしてえなぁー
まあ、その前に彼女だけどな!!!
ん?
こっちに来るぞ?
「やあ!! 君のおかげで大成功だよ!」
「そりゃよかったっすね」
「ああ!! それと僕達二人の結婚式にきてはくれないだろうか」
「私からもお願いします」
「いや、でも俺は」
「関係ないとは言わせないよ! 君がいなかったら僕はプロポーズが出来なかったんだからね!」
「クルトの言う通りです。あなたがいなければ私はいつまで経ってもプロポーズされませんでした」
「はぁ~、わかったっすけど他にも人呼んでいいすか?」
「是非とも呼んでくれ! 君の友人とも話をしてみたい!」
「そうですね! 大勢の方が盛り上がりますからね」
「はぁ……」
こうして俺は依頼を達成した。そのあとはセラさんに報告してギガスドラゴンを売ってと忙しかった。俺の今回の報酬は二百万とギガスドラゴンで四百万の合計で六百万Wを稼いだ。
うはっ俺金持ち!!
改訂済み




