Aランク冒険者
「Aランクっすか?」
「はい!」
俺はオルランド王国に帰って来ていろんな依頼をこなしていた。そんな時セラさんにAランク冒険者にならないかと言われた。Aランク冒険者になるには現役のAランクの人達の承認が一人以上必要なのとギルドマスターの認可が必要だということ。
ちょ!
待てよ!!
ギルドマスターってルドガーさんやないか!
限りなくAランクになる確率ゼロじゃね?
どうしよう!!
「あの? ショウさん?」
「へっ? はい」
「何か考え事ですか?」
「そうっすね~、俺にAランク冒険者の人が承認くれるのかなーって……」
「それならリズ達を頼って見たらどうですか?? リズ達ならショウさんと依頼を共に達成したんですからきっと承認してくれますよ」
そうか!!
リズ達がいたんだ!!
最近一人で依頼をこなしてたから忘れていた。と言ってもあの護衛の依頼以来会ってない。だいたい、会う理由も特にないからだ。
でも、俺リズ達がどこにいるか知らねえや!
「あのセラさん、リズ達はどこにいるんすかね?」
「リズ達は今日はオフらしいですから街の方に行けば会えると思いますよ?」
「りょうかいっす! 早速いって来ます!」
そう言って俺はギルドから飛び出した。飛び出したのはいいもののリズ達がどこにいるのかさっぱり見当がつかない。そう言えばアルカディアの時も探したけど見つからなかったんだよな。
まあ適当に探してみるか!
案外すぐに見つかったりしてな!
適当に街を散策していたら見覚えのある後姿を見つける。流石に、他人の空似とは思えないので顔を確かめるように回り込む。
本当に見つかった……!
リズや!!
うーむ……どう声を掛けるか……
いいや!
当たって砕けろや!!
「リズさん!!」
「ひゃっ! えっ!? ショウ? あ、あれ、なんでここに??」
「リズさんを探してたんす!!」
「ええええ!! 私を? な、なんで?」
「お願いがあるんす!」
「お願い? なんの? どうして私なの?」
「リズさんじゃなきゃダメなんす! お願いっす! 俺に少し時間をください!」
「わ、私じゃなきゃダメ……そそれって…もしかして……で、でも!」
「お願いっす! とにかく一緒に来てもらえないっすか!?」
「わ、わかったわ! 私じゃなきゃダメなのよね!! ショウと一緒に行ってあげる」
「ありがとっす!! じゃ早速行きましょう」
そして俺達はギルドへと向かう。なんだかリズの様子がおかしかったが、気にしないことにして連れていく。ギルドに帰って、早速セラさんに報告しに行く。
「セラさん。リズさんを連れて来ました!」
「えっ? な、なんでギルド? てかセラ?」
「ショウさんリズお待ちしてましたよ。では早速Aランクについての説明をしますね」
「ちょ、ちょっと待って! Aランク? 何それ? どういうこと?」
「あれショウさんから何も聞いてないんですか?」
「私に一緒に着いて来て欲しいって言われてそれでついて来たら……!! まさか、私の承認が欲しいってこと!?」
「そうっすよ?」
「それだけで私を連れてきたの?」
「えっ、それ以外なんかあるんすか?」
やっと状況を理解したリズさんは魔力溜め始める。このパターンは既に体験済みだ。恐らく、いや十中八九いつものアレだろう。
「死ねええええええええええ!!!」
俺に向かって電撃が放たれる。無論、回避は間に合わないので直撃する。ギャグ漫画のように俺は痺れて体が勝手に動いて妙な踊りをしている。
「アビョビョビョビョビョビョビョビョ」
なんでえええええええええ!?
俺なんか悪いことしたああああああああ!?
「ショウさん。ちゃんと説明してから連れて来るべきでしたね」
そんなこと言ってないで止めてよおおおお!
死ぬ死んじゃううううう!!!
こうして俺は生死の境を彷徨うはめになった。ちなみにリズをセラが説得してくれたおかげで俺は助かったのだがもっと早くに助けて欲しかったと少しの不満がある。
「最初からそう言ってよ!」
「すいませんでしたぁ!!」
「はぁ……期待した私がバカだったわ」
「ん? 何を期待してたんすか?」
「うるさい! また喰らいたいの?」
「滅相もございません!!」
すかさず土下座を決める。もはや俺にプライドなどはない。ただ今を生きる為に必死なだけだ。命大事に、これ重要である。
「とりあえずAランクについて説明しますね。Aランクと言っても基本的には、普通の冒険者と変わりありません。
ただ一点違うのは国からの依頼を受けることが可能になります。国からの依頼は、緊急を要するものばかりですからなるべく受けて貰います。他の依頼を受けている場合は、拒否をすることが出来ますが、それ以外は半ば強制で受けて貰います。
これで以上ですが何か質問はありますか?」
「断った場合はどうなるんす?」
「特に何も問題はありませんが信用を失うので依頼が受けにくくなりますね」
「そうっすか……」
「他に何かありますか?」
「いや大丈夫っす」
「それでは承認の方に移ります」
そう言ってセラさんは書類を取り出す。署名の欄にに俺はサインをして、リズさんに渡す。リズさんが受け取りサインをすれば、あとはギルドマスターであるルドガーさんの認可だけ。
「それではリズ、承認お願いします」
「わかったわ。ここにサインすればいいのね? ……承認っと」
「はい。確かに受け取りました。ではギルドマスターに認可を貰いに行きますので少し待ってて下さい」
「はい」
セラは書類を持ってギルドマスターの部屋へと歩いて行った。俺の予感が正しければきっと認可されず反対されるだろう。ひと悶着ありそうだ。
「……不安っすね〜」
「何言ってんのよ。私が承認してあげたのよ! 認可されるにきまってるじゃない!」
「いや、そういうことじゃ無いんすよ」
「じゃあどういうことよ?」
「多分待ってれば分かるっすよ」
「あっそ」
そして待つこと十数分が経過した時、ギルドマスターことルドガーさんが出てきた。セラが渡したであろう書類を手にして俺へと突きつけてくる。
「小僧、私は認めんぞ!! リズ君とセラが認めようとも私は断固認めん!!」
「ほらね?」
「こういうことね……」
「小僧聞いているのか!?」
「聞いてますよ……」
「あの、おじさま。それなら実際に戦ってみて判断をしたらどうでしょうか?」
「えっ?」
「むっ……成る程それはいい考えだ! おい、小僧!! ギルドの地下に戦える所がある。そこへ来い!! 私自ら判断してやろうではないか!」
「ショウさん頑張ってください!」
「ショウあんたの実力を見せる時よ!」
他人事だと思って軽く言ってくれるが、ルドガーさんはギルドマスターだ。相当な実力があるに違いない。そんな相手に何故俺は戦わねばならぬのかと理不尽に思う。
「別に逃げだしても構わんぞ? ただし、お前は一生Aランクにはなれないだけだがな! ハッハハハハハハ!!」
ここまで言われて黙っていられるほど俺は穏やかな人間じゃない。やってやろうではないかと啖呵を切る。
「やります……」
「むっ?」
「やるってんだよ! こんちきしょうが!!」
「なっ、貴様その口の聞き方はなんだ!!」
「うるせえ!!! 気に食わないのなら戦って俺をボコればいいだけじゃないっすか!!」
「いいだろう……後悔するなよ、小僧?」
そう言って俺はルドガーさんと戦う事になった。今更だがとんでもねえことしたなと秒で後悔する事になったが後には引けないので気合を入れ直す。
よし、やるか!
改訂済み




