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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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歴史に刻む

「よう……クソガキ共」


「た、大将!!」

「兄貴ぃいい!」

「お兄さん!!」

「にいさまぁ!」

「ボス……来てくれると信じてました」


「アホンダラ!!!!」



 子供達、全員に拳骨を落とす。頭を抑えて涙目で全員が見上げて来る。その後ろには万を超えるジルスティード。子供達は俺とジルスティードの大群に視線を行ったり来たりを繰り返している。



「なんで、こんな所に来た?」


「それは……」


「はあ……もういい。どうせ、一目で良いから魔物の大群を見たいが為なんだろう。見に来たは良いが怖くなって動けなくなった。そうだろ?」


「はぃ……」



 俺は立ち上がり、子供達に背中を向ける。視線の先にはジルスティードの大群。前を向いたまま、俺は子供達に語り掛ける。



「なあ、俺が言ってた真の男っての覚えてるか?」


「えっと、背中で語るやつ?」


「そうだ。今からそれを証明してやる」


「えっ?」



 そこからは何も話す事なく子供達の周りに結界を貼り、前線へと歩を進める。隊列なんて組んでいないからバラバラだが、それでもこの並びをどうにかしないと、後ろに抜けられてしまう。



 地面に手を付けると、魔力を流して大地を操作して巨大なバリケードを造り上げる。ジルスティードの大群は突然、目の前に現れたバリケードに止められてしまい、壊そうと躍起になるが壊せないと判断して唯一の通り道である一箇所を目指す。



 その一箇所に待ち構えるのは、勿論俺だ。津波のように押し寄せてくるジルスティード。腰に差してある斬魔に手を添える。居合いの構えをとり、目を閉じ明鏡止水の心で静かに集中する。



 ジルスティード達が跳躍しようとした瞬間――



「断界」



 居合い抜きの一閃。目の前にいたジルスティード達を横一文字に両断した。万を超えるジルスティードが一瞬、たったの一撃で全滅した。



 刀を鞘に収める。納刀の際に小気味良い金属音が鳴り響く。一時はこの音を聞く為だけに納刀を繰り返していた事もある。



 まあ、今はどうでも良いか。



「ほら、クソガキ共。帰るぞ」



 ****



「俺は……夢でも見てるのか?」



 ロムルスは目の前の光景にただ、ただ圧倒される。まるで今起きた事が現実では無いかのように、儚く消え去る陽炎の様な出来事に脳が認識していなかった。



「夢なんかじゃありませんよ。あれがショウさんです」


「強いとは思っていたが……まさか、あそこまで強いなんて。まるで御伽話の勇者じゃないか! ははっ!! ははははははは!! 凄いな! 俺は歴史的瞬間をこの目で見る事が出来るなんて!」


「本当凄いですよね。正直私も驚いてます。こんなにもショウさんが強かったなんて」



 ロムルスとハンナがショウを讃えていると、背後から万雷の拍手と共に歓声が聞こえて来る。



「万歳!! 万歳!!! 万歳!!!!」



 冒険者達は勇者の帰還を待つ。彼は子供達と共に冒険者達の元へとゆっくりと帰る。彼が帰って来ると同時に土の壁が崩れ去り、ジルスティード達の死骸が露わになる。



 ジルスティード達、全ての死体は斬られてる箇所こそ違う個体もいるが横一文字に斬り裂かれていた。生きている個体はいない。まさに死屍累々と呼ぶに相応しい光景であった。



 ****


「ショウさん、お帰りなさい」


「ふっ、どうよ? 俺凄えだろ?」


「もう、凄いなんて言葉じゃ物足りませんよ! そうですよねっ! ロムルスさん!」



 ロムルスさんの方に顔を向けると、ロムルスさん含め冒険者の方々全員が跪いていた。



「ショウ……いえ、勇者ショウ様! 我等を救って頂き誠に感謝致します!! 町の代表として――」


「そんな事良いから帰りません? 子供達の親も心配してる思いますし」


「えっ、あっ、しかし」


「ロムルスさん。俺は恩返ししただけに過ぎないから。てか、これ以上は面倒なんで先に帰りますね。ホラ、ガキ共行くぞ」



 呆けるロムルスさんと冒険者達を素通りして帰還する。ロムルスさん達も慌てて俺たちの後を追いかけてくる様に町へと帰還する。



 道中、クロが俺の元へと現れた。そういえばヨゼフさんの事について調べさせていたな。



「おい、耳貸せ」



 クロが肩に乗り、俺にしか聞こえない声で話す。



「お前の睨んだ通り、ヨゼフって野郎クズだな」


「なんかあったのか?」


「軍にお前の事を報告してやがる。記憶を読んだ限りじゃお前を捕まえるのに一役買ってるらしい。お前の事を報告なんてしないと言ったが真っ赤な嘘だ。お前に少しでも信用してもらう為だ。奴は二階級特進に目が眩んでお前を売ったみたいだぜ」


「はぁ……マジかよ」


「それ、どういうことですか!!」


「ハンナ!? 聞いてたのか!」


「許せません! 私、ヨゼフさんに言って来ます!」


「何を?」


「何をってショウさんは町を救った英雄なんですよ! その英雄を売り渡すなんて」


「はぁ……いいか、ハンナ? あいつは軍人で俺は犯罪者だ。ヨゼフがした事は至極当然の事で責められる事じゃない。むしろ、お前が俺を庇うような発言をすればそれこそもっとややこしくなるぞ」


「で、でも、こんなのあんまりですよ! ショウさんは……ショウさんは町を救ったのに……多くの人を守ったのに……それなのに報われないなんて」


「気にすんな。いつもの事だ」


「ぅぅ……うぐっ……」


「……俺の為にお前が涙を流してくれるだけで充分だよ」



 カァッー! 気色悪いセリフ!


 歯が浮くようなセリフざますわ!



「おい、ショウ。町に行けば軍の奴らが隠れてるぞ。お前が行けば確実に捕まる」


「そうか。参ったなぁ……」



久々に沢山書いたなぁ……


では次回を!

キャラ紹介について感想とか是非!

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