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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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愚痴をこぼす

 ハンナの周りに結界を張り巡らせて安全に眠る事が出来るようにする。神羅創世で検知した魔力源の元へと走り出す。辿り着いた先は先程来ていた場所とは違い岩場が天然の隠れ家の様になっている場所だった。



 魔力検知を再度行い、魔物が何処にいるか探るとすぐ近くにいる事が判明した。その方角に目を向けるが魔物の姿はおろか気配すら感じない。



 どういう事だ?


 魔力検知が外れたのか?


 いや、でも、魔力検知が外れた事は1度もない。


 なら、何でだ?



 いくら考えようが検討がつかない。思考の海に潜ってしまいしばらく微動だにしなくなる。だが、運が良いのか、向こうが狙ってたのか分からないが、ほんの僅かに魔物の気配を感じて飛び退く。



 すると、俺が立っていた場所が食い千切られるように大きく地面が抉れる。すかさず、異空間から槍を取り出してぶん投げると空中に突き刺さった。



「ギギッィイイイ!!」



 姿を現したのはデゼルトスコルピオンだった。



「なるほどな。まさか擬態が出来るとは……」



 どうやら、デゼルトスコルピオン亜種の特徴は周りの景色に同調して擬態する事の様だ。しかも、気配すら感じさせない超一級品の特技だ。だが、タネが分かれば恐れる事はない。



「ハンナに傷を負わせた事を後悔しやがれ!」



 デゼルトスコルピオンは魔法を食べ自身の力に変換する事を知っている俺は剣で攻撃する。デゼルトスコルピオンの腹の下に潜り込み両の足を切断。身体を支えなくなったデゼルトスコルピオンが俺の上に落ちて来る。剣を真上に突き上げデゼルトスコルピオンを貫く。



 体液が顔に掛かったが別に毒とかは無いので問題無い。少々汚れてしまったが洗えば良いだろう。討伐部位の殻を異空間へと放り込み、デゼルトスコルピオンの死体を火魔法で燃やす。



 昔なら確実に殺されてたな。


 強くなってんのかねぇ……



 デゼルトスコルピオンが灰に変わるまで見届ける。踵を返してその場をゆっくりと離れて行く。立ち上がる煙はどこまでも高く、高く登って行く。



 辺りはすっかり暗くなり、空は闇が支配していた。今日は月光も差さない新月だ。少しだけ立ち止まって夜空を見上げてからハンナの寝ている所へと戻った。



「ハンナ。おい、ハンナ」


「んぅ……もう……食べられませんよ〜ウェヒヒ」


「…………はぁ、仕方ないか」



 幸せそうに眠っているハンナを起こさない様に抱き上げる。いわゆる、お姫様抱っこだ。サイドカーを異空間から出してハンナを乗せる。バイクに跨り荒野を駆ける。程よい冷風が頬を撫で、全身を冷やしてくれる。



 町の手間まで戻るとハンナを降ろしてからバイクをしまう。意識の無い人間をおんぶするのは苦労するのでお姫様抱っこです。ハンナの身体はとても軽い。このくらいの年齢の子が平均体重どれくらいかは知らないが軽い方だと思う。まあ、俺の推測でしかないが。



 町の入り口では兵士達に少し質問されたが、デゼルトスコルピオンの討伐部位を見せるとすんなり通してくれた。そのままギルドへと向かい、討伐部位を提示して報酬を受け取る。寝ているハンナの代わりに全て俺が行った。ステータスカードを提示する為に服の中に手を入れたのは内緒だ。バレたら軽蔑の眼差しされそう。



 しかし、報酬を受け取ったはいいが肝心の食料品を買う事が出来ない。時刻は夜になっており大通りの店はほとんどが閉まっている。空いてるのは飲食店くらいだ。仕方なく宿を取る事に決めた。



 そこそこ見た目の良い宿に入る。兵士達が詰め寄って来たが睨み付けて何とか追い払った。まあ、抱いているハンナが寝ているのもあってのものだろう。



 受け付けを済ませて部屋へと向かい、足早にロビーから立ち去る。部屋へと入ると、ハンナをベットに降ろして寝かせた後はシャワーを浴びる。



 温水が出ないから冷水で身体を洗い流す。冷たい水が火照った身体を冷やす、何てことはなくただ冷たいだけだった。それでも、浴びた体液と汗を流せただけで十分満足だ。タオルで身体を拭きながらシャワー室を出てソファに腰を下ろす。



「ふぃ〜…………暇だな」



 暇とは言ったものの後は寝るだけなので別に何かをしようとは思わない。強いて言うなら酒でも飲みたい気分だ。酌をしてくれる相手はいないけど。



 そうだ。


 久々に奴を呼ぼうか。



「来い、クロ」



 目の前の床に魔法陣が浮かび上がり、青白く光ると黒猫が姿を現す。ただ、その猫の目は完全に死んでいる魚のように淀んでいた。



「ど、どうしたクロ? 何かあったのか?」


「うるせえよ。いきなり呼び出しやがって! こちらとらナンパの途中だったんだぞ!」


「ナンパってお前……猫の?」


「ったりめえだろ! 他に何をナンパするんだよ!」


「お、おう。そいつは悪かったな」



 どうやら、ナンパの途中だったらしい。まあ、不機嫌な所を見る当たりあまり成果はよろしくなかったようだ。



 ぷぷっ、ざまぁ!!



 口に出さないのが俺です。だって口に出してしまえば第2次世界大戦を遥かに凌ぐ、猫と人間の仁義無き戦争が勃発してしまう。



 その後は適当にクロの機嫌を取りながら夜を明かした。途中クロが酒を飲んで愚痴をこぼして来たのは驚いた。



「最近、呼ばれないから少し寂しい」



 可愛い事言うじゃないか!

はぁ〜〜

最近話題が……


では次回を!!!!

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