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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第二章

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お別れ、そして帰還

 キアラとの手合わせが終わって、今俺は街をブラブラとしている。それにしても、まさかララちゃんが獅子の獣人だったなんて思いもしなかった。しかも、かなり珍しい白獅子と言うのだから色々と驚きの連続である。



 実はお姫様だったりとか、もう言葉が出ませんでしたよ。それよりもオルランド王国にいたのは城を抜け出して商人の馬車に潜り込んで来たってのは大胆なことするなって思った。



 よくバレなかったな……



 まあオルランド王国に来て迷子になってチンピラに絡まれてる所をリズ達に助けられなかったら今頃どうなってたか分からない。



 ちなみに、そんなリズ達も街に来ているがはぐれたのだ。俺は別に買いたい物なんてなかったから部屋に篭ってるって言ったら火と雷の魔法を撃ってくるので半ば強制的に連行された。



 頭イカれてやがるよ本当!



 それで無理矢理連れて来られたけど早速はぐれるんだから最高だね。探そうにもここは人が多い。いや正確には人だけじゃなく獣人と人とエルフがいる。



 獣人はいろんな種族がいるなぁ


 エルフは滅多に見ないけど……!


 それにしてもリズ達はどこに行ったんだ?


 トラブルを起こしてなけりゃいいんだけど。


 キアラとソフィがいるから大丈夫か!!


 それにララもいるからな!



 この国のお姫様に下手な真似をする奴なんていないだろう。まあ、ローブの男のような奴がいなければの話だが。本当、あいつは何者だったんだろうな。



 奴はララの正体を知っていた。


 もしかして何処かの国のスパイとかじゃ……?


 はぁ~どこにもいねえや……


 しゃーない!


 お城に戻ろうっと!!


 でも今日が最後なんだよなぁ……



 明日になったらオルランド王国に帰らなければいかない。そう考えたら、やっぱり観光などして満喫しておくべきだ。



 この街をブラブラしよう!!


 それがいい!!


 いや、そうしよう!!



 俺はリズ達を探すことを忘れアルカディアを思いっ切り楽しんだ。だが城に帰ると、そこに待っていたのは背後に見えないはずの鬼を背負っているリズがいた。



「ねぇ? あんた昼間どこほっつき歩いてたの??」



 目の前には般若がおられまする。俺は現在正座をさせられ説教を食らっているのだが、直視できない。



「いや、あのっすね? その……」


「ハッキリ言いなさいよ」


「そのはぐれた後は……俺も街を楽しんでたんすよ!!」


「……」


「アビャビャビャビャビャ!!!」



 真顔でしかも無言で電撃は勘弁してください!


 痺れるよぉ!!



「アビャビャビャビャビャ!!!」



 長い!


 長いですよ!!


 このままじゃ僕死んじゃうううううう!!



「ウベベベベベベベッ!!!」



 強めないで!!


 あっ、でもなんか気持ちいい……


 いや、冗談です!!


 でもなんか背中の痛みが無くなって来たのは確かです!!



「もうそれくらいにしてあげたら~」


「そうですよ。流石にやり過ぎです」


「ショウ死んじゃう……」


「うっ……わかったわよ」


「死ぬかと思ったっす……ララちゃんありがとっす」



 俺は三人のフォローで助かったのでララちゃんの頭を撫でる。ララちゃんも喜んでいるのか尻尾を降っている。やっぱり、可愛くて癒されるなと思った時、ゴッと俺の顔側面に見事な回し蹴りが炸裂する。



「ほげぇっ!!!」



 俺は床に顔面を擦りながら滑るように吹き飛んだ。



「あんた反省してんの!?」



 やっぱりリズは俺を殺したいみたいです……


 ララちゃんの頭を撫でることもいかんのか?


 まあ お姫様だしなぁ~



 ふと部屋の扉が開き、そこにいたのはゼオンさんだった。一体何用なのかと顔を向けると目が合う。



「ここにいたか。ショウ君ちょっと話したいことがあるんだが……大丈夫かね?」


「全然大丈夫です!!」


「そ、そうか。すまないが、みんな少しショウ君をお借りする」



 そう言って俺とゼオンさんは部屋を出て行く。これで説教とはおさらばやと内心喜びながらゼオンさんについて行く。



 俺とゼオンさんはゼオンさんの書斎へと入る。そこにはゼオンさんの妻のレミアさんが待っていた。レミアさんも獣人だけど白の獅子ではなく普通の獅子の獣人である。



 モデルのような美人や!!


 人妻だからだろうか……


 めっちゃ艶かしいぜ!!!



「ここなら誰にも聞かれる心配はない……」


「話ってのはやっぱり……」


「うむ……ローブの男についてだ。あれから私達はくまなく周辺を探したのだが、死体はおろか奴に関する物がなにひとつ見つからなかった」


「そうっすか……」



 やっぱり奴は死んでなかったか……



 確かにあの時、俺はローブの男を魔法で消し去ったが死んだとは思っていなかった。ああいう手合いは逃げる為の策を一つや二つ持っていてもおかしくはないしな。



「あなた、ショウさんには?」


「いや、話すべきではないだろう」


「そうですか」


「えっと何かあるんすか?」


「いや、君には話せないことだ。すまない」


「大丈夫っすよ。元々俺は部外者なんすから!」


「すみません。ショウさん」



 そう二人が謝った後、俺は部屋を後にした。でも、気になってしまう。なんでローブの男はララちゃんを知ってたんだろうか。俺の知らない所で何かが起ころうとしてるのか。



 まぁ、俺には関係無いだろう……


 部屋に帰って寝るとするか。


 明日お別れか……


 俺はベットに寝転び、ふと考える。


 今生の別れじゃ無いんだからいっか!!


 寝よ寝よ!!


 おやすみー!!



 朝、目が覚めたら違和感があったので布団をめくったらララちゃんが一緒に寝ていた。そして、運悪くリズが俺を起こそうと部屋に入ってくる。リズの目に飛び込んできた光景にリズは静かにキレた。



「覚悟は出来てるんでしょうね?」


「いや、俺不可抗力っすよ!! なんもしてないっすよ! 本当っすから信じて下さいよ!」



 どうしてこうなった!?



 そして、布団が無くなった事により寒くなったのかは分からないが寝ぼけて俺にララちゃんが抱き付いて来る。その様子を見てますます怒るリズ。



 あれ、俺悪くなくね?


 ララちゃんに弁解させたらよくね?



「ララちゃん起きて!! 俺が殺されちゃう!!」



 ララちゃんは眠いのか耳をピクピクさせ目をこすりながら起きる。どうやらまだ眠たかったようで再び俺に抱きつき寝息をたてる。



 あるぇーー??


 起きたんじゃ無いのおおおおお??



「へ、ヘェ~よっぽど死にたいのね。ショウ~?」


「主よ我を救いたまえ……」


「わけわかんないこと言ってんじゃ無いわよ!! くらいなさい!!」


「あんぎゃあああああああああああ!!!」



 怒ったリズに顔面へ風球をぶつけられる。そして俺は意識を失った。



「あんまりっすよ…」


 現在、俺達は朝食の為ゼオンさんとレミアさんとララちゃんそして俺たち四人でテーブルを囲んでいる。



「元はと言えばショウがララちゃんと一緒に寝てたのがいけないんでしょ!」


「ショウ、暖かった……」


「フフッ……ララはショウさんがよっぽど好きなのね」


「……ん」


「な、なにぃ!!」



 ちょ!


 ゼオンさんそんな勢いで立ち上がらないで!



「なんか私達蚊帳の外ですね。ソフィ」


「そうだね~。でも、見ていて楽しいよ~」


「それより朝食食ったらすぐ帰るんすか? リズさん」


「えっ? そ、そうね……うーん、どうしよっか? ソフィ、キアラ?」


「私はいつでも」


「私も~」



 俺的に早くお家帰りたい!!


 久々にセリカさんの料理が恋しい!!



「そうねぇ~……あんまり長居しても迷惑だし、帰りましょうか!」


『はーい!』



 そうして俺達は朝食を食べ終えて、帰る準備を済ませて城門前にいる。見送りの為にゼオンさんにレミアさんにララちゃんがいる。



「ショウ……ホントに帰っちゃうの?」



 その目はやめてええええ!!


 決意が鈍るのおおお!!!!


 涙目はらめなのおおおおお!



 おふざけはここまでにして俺は腰を落として、涙目で見上げてくるララちゃんと同じ視線になり、真面目に答える。



「うん。大丈夫、また会えるよ」


「でも……」



 くぅー!!


 耳を伏せて尻尾が垂れ下がって寂しいアピールは効くぜ!


 だけど!!



「大丈夫……いつかまた会いにくるよ」


「本当?」


「うん、本当」


「じゃあ、約束!」


「わかった。約束する」



 そうして俺達はゼオンさんレミアさんララちゃんに別れを挨拶をしてアルカディアを後にした。三人が見えなくなるまで手を振って別れを惜しんだ。



 馬に乗っている為帰りは早かった。道中、リズが声を掛けてきた。驚きの提案に俺は驚くことになってしまう。



「ねぇ、ショウ?」


「なんす?」


「そのね、ショウさえ良ければ私達のパーティに入らない?」


「えっ? マジで言ってんすか?」


「そうよ! やっぱり嫌?」


「嫌では無いっすけど……」


「じゃあ入ってくれるの!?」


「……すんません!!」


「え……」


「その皆さんにはお世話になったんすけど、そのやっぱり仲間になるのちょっと……」


「やっぱり、私のせい?」


「いや、リズさんのせいじゃ無いっすよ! ただ俺はなんつーかやっぱり今まで通り一人が良いんすよ!」


「でも仲間がいた方が良いじゃない!! ローブの男と戦った時もし一人だったら生きて無かったかもしれないのよ!?」


「それは、そうですけど……」


「じゃあ、なんで!?」


「……やっぱり無理っす! 理由については話せないっすけど、やっぱり無理なもんは無理なんすよ……すんません」


「け、けど!!」


「リズ!!」


「ッッッ!!」


「ショウさんが困ってますよ」


「キアラはいいの!? ショウが仲間にならなくて!」


「私だってショウさんが入ってくれたらどれだけ心強いかわかります! でもショウさんが入りたく無いのに無理矢理入れても困らすだけじゃないですか!」


「……」


「リズ~。私もね~、入りたくないって言ってるなら無理強いはよく無いと思うんだ~」


「ソフィ……」


「ごめんね~ショウちゃん。困らすような事を言っちゃって~」


「いや、こちらこそすんません」


「気にしないでいいよ~」


「はいっす……」



 結局、俺はヴァルキリアの勧誘を断った。そんな事があったけど俺達は無事に依頼を達成しオルランド王国に帰って来たのだ。


改訂済み

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