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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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ガロンとバトル

 地面を蹴り、爆発的な速度で一気に爺さんの懐へと侵入する。土手っ腹に拳を打ち込むも、機械の腕で防がれる。すぐに離れようとしたら、腕を掴まれてしまう。腕を握り潰そうと機械の腕が力を込める。



 爺さんの太腿に蹴りを打ち込み、体勢を崩したが腕は依然として掴まれたままだ。爺さんは体勢を立て直し、他の空いた腕で俺に攻撃をして来るが、それらを足で捌く。



「うるぅあああああ!!」


「ぬっ!! 中々に器用な事を」



 掴まれていた腕が悲鳴を上げる。これ以上負荷をかけ続ければ確実に使い物にならなくなる。掴んでいる腕さえどうにか出来たら。



「やる事はいつも同じだ! 魔力化! 風天水羅!」



 魔力化を施し、これで拘束から逃れる事が出来ると踏んでいたが間違いだったようだ。よくよく思い返してみれば、デュークと戦った時も魔力化をしたが、対策を講じられていた。



 つまり――



「ふむ、魔力化をして拘束を抜けようとしたか………残念だったのう。ワシの装備もデュークと同じ、魔力を無効化するものじゃ」



 ちくしょう!!


 わかってたよ!


 くそったれめ!


 嘘です!!


 わかってませんでした!!


 だから、離して!!!!


 痛い痛いよ!!


 ミシミシ言ってるから!



「このままミンチにしてやろう」


「るるるぁあああああ!」



 半ばやけくそに叫びながら爺さんの側頭部を蹴り上げる。しかし、寸前のところで機械の腕に阻まれる。不安定な体勢の所に爺さんに足払いをされて尻餅をつきそうになるが片腕を掴まれている為、転けることは無かったが、引っ張り上げられて空に放り投げられた。



「はっ?」


「むん!!」



 空に放り投げられた俺は呆気に取られ、その隙を突くように6本もの腕が迫ってくる。だが、これは好都合だ。障壁を足元に展開して足場を作り、その場を回避する。爺さんはそれが分かっていたようでなんら反応は無かった。



「なんか、ムカつくな」


「デュークとの戦闘で貴様のデータはある程度知っているからのう。これしきのことでくたばるならデュークに殺されとるわい」


「なる……ほどね。あの時の戦闘が見られてたって事は俺たちをつけてた奴がいるって事か」


「むっ、喋りすぎたようじゃな」


「俺としてはもっと喋ってても良いけどね」


「ワシも貴様とはゆっくりと語りたかったものじゃ。犯罪者ではなく一兵士として軍に来ていたならばのう」


「はん。ありえない想像だ、なっ!!!」



 大地を踏み付けると、するとその地面から爺さんに向かって針状の突起物が走るように向かって行く。このまま進めば爺さんを貫くであろうがそう簡単には行かなかった。爺さんは自分の腕を組んで、背中から生えた金属の腕で地面を叩きつけて針を砕いた。



「こんなものではなかろう?」



 激おこやで!



「しゃらくせぇええ!! 天魔滅葬刃!!」



 光と闇の合成魔法で俺オリジナルの魔法。刀身が光り輝くが、纏っているオーラは禍々しい黒々としたもの。それを片手に爺さんへと向かい振り下ろしたが、どうやら僕は馬鹿だったようです。



 いや、馬鹿なんですけどね。


 テヘリンコ!



「……はあ、この手が魔力を無効化すると教えたはずじゃがのう」



 そう、俺のオリジナル魔法、天魔滅葬刃は簡単に打ち砕かれてしまった。それも片腕一本で振り払われるようにしてだ。まるで、ハエを追い払うかのような動きだ。正直、キレそうだったがよくよく考えればあの腕が魔力を無効化する事は知っていたのだから、俺の失態である。



 責任転嫁も甚だしいものだ。



「ならば、これで!! どうじゃオラァァアアアアア!」



 姿勢を低くして、爺さんの懐に潜り込み縦に一回転。要するにサマーソルトを爺さんの顎へと決める。爺さんの身体が少しだけ浮き上がりはしたが、ダメージは特に無さそうだった。



「むぐ……今のは少し驚いたぞ」


「普通は効いたぞ、が相応しい台詞だろ」


「さて、これより攻めるが、よいか?」


「はっ! 聞く必要あんのかよ?」


「なに、耐えられぬかもしれんじゃろ?」


「随分と舐めた事を――ッッ!!」



 一定の距離を保っていたが、爺さんが少しだけ足に力を込めたのが分かった時には既に爺さんが目の前にいた。そして、その金属の4本ある腕が呼吸する事さえ許さないように殴りかかってきた。



「く! がぁ! ぎっ!!」



 顔面こそ防いではいるが、肩に腹に胸に背中にとほぼ全身をタコ殴りにされている。肝心の爺さんはというと欠伸をしていたので、これまた腹に来る。しかし、現状を打破するのにはかなりの労力を必要とする。



「うっぜえええええ!!!」



 二本の腕を掴み、残りの二本を足で受け止める。今の状態は足は宙に浮き不安定な格好だ。しかも、爺さんには腕がまだ二本あるから殴られたらタダじゃ済まない。



「ほう? 殴ってくれと言っておるような姿じゃのう?」


「オラァッ!!」



 足を押すようにして、両脇で挟むように掴んでいた腕を無理矢理に引っこ抜く。バギィッと機会が壊れる音が聞こえると同時にバランスを崩して後頭部を地面に打つける。



「ふっ、これで残り4本だな」


「余裕な所悪いが、ほれっ!!」


「うおっ!」



 横に転がるようにして拳を躱す。地面が陥没するほどの威力に思わず笑ってしまう。あれが俺の顔面に打ち込まれていたら、可愛い可愛い俺の……すみません。今よりはマシになるかな?



 おっと、今は戦闘中だ。


 気を引き締めないとな!


 キリッ!


 ドヤ顔する時は鼻の穴をヒクつかせて眉毛を動かす。


 これが俺の鉄則な。



「なんだ、そのブサイクな顔は?」


「貴様は言ってはならない事を言った…………うわああああああああ!! 事実だからって、事実だからってぇええええ!! ぶるぁあああああ!!」

不定期更新ですが何卒よろしくお願いします。



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