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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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街からの脱出

 宿に帰った俺は目の前の光景に目を奪われてしまった。なんと、ハンナが下着姿で寝ていたのだ。思わず手が伸びそうになってしまうが、違う手でそれを制する。



 落ち着けー!


 落ち着け俺の半身よ!


 ここで手を出せば名実共に変態になっちまう!


 いや、もうスカートめくりとかしてるから変態なんですけどね、テヘペロ!



 ハンナを揺すって起こすと目を擦りながら起き上がる。仕草が可愛いのだが、いかんせん涎を垂らしている所為で可愛さ半減だ。



「おい、涎垂れてるぞ」


「ふぇっ!?」



 慌てて口元を拭うハンナを無視してソファに腰掛ける。天井を見上げて今日出会った男の事を考える。なんで話しかけてきたのか、偶々俺しかいなかったからか、それとも何か他の理由があるのか。



 まあ、どうでもいいか。


 もう、会う事なんて無いだろうしな。



「ショウさん、今日はどこに行ってたんですか?」


「ん? 今日は少し……な」


「なんですか? その間は?」


「俺の事より自分の事を気にしろよ。なんで下着だけで寝てるんだよ」


「えっ?」



 ハンナは指摘されてから自分の格好に気付くと、顔を真っ赤に染めてシーツを被る。



「な、なんで!? み、みみみ見ましたか?」


「バッチリな」


「そこは見てないって言うところですよ!! てか、何見てるんですかぁっ!!!」


「いや、だって帰ってきたら既にその格好だったし」


「えっ、じゃあ私自分で?」


「そうなるな」


「あっ、ああぁぁぁ……」


「気にすんな。中々に可愛い下着姿だったぞ!」


「フォローしてくださいよぉおおおお!!」



 その後ハンナは数時間悶えていた。数時間も呪詛を吐くようにブツブツと呟かれるのは精神的にくるものがあった。別に気にする程でも無いと思うのだが。



 何せ一番最初に出会った時なんて上半身裸だったのにな。魔物に服を破かれて程よい大きさのお胸様を青空の下に晒していたのにね。



「さてと………ハンナ。こっちに来い」


「ええっ!? い、いきなりなんですか? 急に雰囲気が変わってどうしたんですか?」


「いいから。俺の側を離れるなよ?」



 うはっ、言ってみたかった言葉のランキング50位だ。


 あれ?


 何度か言ってたっけ?


 まっ、いいか。



「わ、わかりました」



 ハンナが俺の側へと寄って来ると同時に窓ガラスを突き破って機甲兵が部屋に突入して来た。



「きゃあっ!」


「ふっ!!」



 部屋に突入して来た機甲兵を蹴り飛ばすと割れた窓からハンナを連れて飛び出す。屋根の上を走り逃げていると蹴り飛ばした機甲兵が追いかけて来る。



 振り返り、グングニールを投擲するが機甲兵はグングニールを躱した。今まで躱す事が出来なかった癖に生意気な。だが、グングニールは自動追尾で標的を貫くまではどこまでも追い掛ける。



 機甲兵はそのままグングニールを無視して追いかけてくる。背後にグングニールが飛んできているというのに、なんてしつこい野郎、いや、機械なんだ。



 立ち止まり、機甲兵を待ち構える。機甲兵の手が変形して筒状のような形になるとそれを俺に向けてくる。筒の中が青白く光り始めるのを見て、魔眼を解放する。どうやら、魔力を溜めているようだ。



 魔力を溜め終えた機甲兵はその筒となった手から魔力砲を放って来る。俺は手に魔力を込めて魔力砲を空に弾いた。魔力砲は空で花火のように音を立てて爆発する。



 機甲兵は魔力砲が弾かれた事などどうでもいいかのように突っ込んでくるが、もう遅い。



 バギャッと音が聞こえる。機甲兵の胸部からグングニールが突き抜けていた。そのままグングニールは機甲兵を完全に貫き俺の手元へと戻って来る。



「今までの機甲兵よりは多少性能が良いけど………俺からすればガラクタに過ぎん」



 機甲兵がガクッと膝をつき倒れると、数秒後に爆発を起こした。建物の屋根が吹き飛び、家主さんが可哀想に思えたが、他の機甲兵や兵士達が集まって来たので早々と立ち去る事にした。



「うぅ……」


「どうした?」


「どうした? じゃ無いですよ! 折角、折角順調にこの街で過ごしてたのに!」


「仕方ないだろ? 俺の顔はもうバレてるから、遅かれ早かれあの場所が特定されるのも時間の問題だったんだよ。それにお前だっていつまでもあそこに滞在する気は無いだろ?」


「それは、そうですけど……でも、もう少しあのベットで寝ていたかったです」


「はあ……諦めろ。俺は犯罪者でお前は人質みたいな立場なんだから」



 ハンナを担いだまま、屋根の上を走り街を飛び出していく。何体かの機甲兵が追い掛けて来たが、全て破壊する。草原を走り街が見えなくなったところでハンナを下ろす。身体を伸ばして深呼吸してから歩き出す。



「はあ……また野宿ですか」


「文句言うな。一応、食料は確保してあるんだ。前みたいに空腹を我慢する必要が無くなっただけマシと思え」


「はぁ〜い……」



 どこまでも続く草原を二人で歩いて行く。地図を広げて今どの辺りなのかを確認してみる。イスカンテまでまだまだだが、それでも近くなってきた。



 この調子ならあと二、三週間すれば辿り着くだろう。ただし、順調に進めばの話だ。



 まあ、トラブルは避けられ無いだろうな。

遅くなりました

本当にすみません

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