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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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狙撃手デューク

「外し……た?」



 彼は驚愕の表情を浮かべる。今目の前の光景がまるで現実では無いかの様な表情だ。スコープを覗いて再度、その光景を確認してみる。



「外れ……て……る」



 何度見ても自分が撃った弾丸が外れていた。狙っていたのは眉間。なのに、完全に弾がそれて肩を撃ち抜いていた。確かに先程までは眉間を捉えていた。外す事など無い、そう確信して引き金を引いた。



 しかし、結果はどうだ?



 確信だと思われていた自分の狙撃した弾丸は眉間から大きく外れて標的ターゲットの肩を撃ち抜いた。最初は戸惑いを隠せなかった。



 確かに今までの標的ターゲットも打ち損じた事もある。しかし、それは単なる偶然によるものであり、意図的に躱した者は一人もいなかった。だか、今回の標的ターゲットはどうだ?



 今までの奴等とはまるで違う。肩に命中した後の行動は今までの奴等と全く同じだった。どこから攻撃が来たのかと必死になって周囲を見回す所までは同じだ。



 デュークはそのせわしなく動かしている頭をいつも撃ち抜いていた。なのに、今回の標的ターゲットはあろう事か弾丸を躱して見せたのだ。



 驚かないはずが無い。何せ、偶然外れる事はあっても躱される事は1度も無かったのだから。そして、デュークはさらに驚く事になる。



 何故なら自分の居場所が敵に知られてしまったからだ。確かにスナイパーという者は敵に居場所を知られたらお仕舞いだ。



 しかし、まだ余裕はある。ここから標的ターゲットまでの距離はおよそ10キロも離れている。いくら、気付かれたと言ってもこの距離ならまだ大丈夫。



 そう思い、土の壁を作りそこに隠れた標的ターゲットに弾丸を撃ち込む。当たっていれば良し、当たっていなければ出てきた所を撃てば良し。



 そして、スナイパーライフルを構えスコープを覗いていたら標的ターゲットが土の壁から飛び出してくる。しかも、何を血迷ったのか標的ターゲットもスナイパーライフルを構えてるではないか。



 もしかして、自分と勝負をするつもりなのだろうかとデュークは思ったが、冷静にそしてスマートに標的ターゲットのスナイパーライフルの銃口とスコープに一発ずつお見舞いしてスナイパーライフルを破壊する。



 標的ターゲットは再び土の中へと隠れた。その間にデュークは弾倉を交換する。肝心な時に弾切れを起こさないように。弾倉を交換し終わりスコープを覗き標的ターゲットの動きを確認する。



 すると、土の壁から飛び出て来たのはあり得ない速度でこちらへと駆けてくる標的ターゲットだった。だが、慌てる事はない。事前に標的ターゲットの情報は調べてある。



 故に対処可能だ。デュークは標的ターゲットの軌道上に弾丸を撃ち込む。見事に撃ち抜いたがダメージ一つ無かった。



 そこで、デュークは思い出した。標的ターゲットは今魔力そのものとなっているため普通の物理では傷一つ与える事が出来ない事に。



 予め用意していた特殊な弾丸を弾倉に込めていく。その間に標的ターゲットが辿り着くと判断したデュークは場所を変える為に移動する。



 建物の陰に隠れて標的ターゲットが飛び込んで来るのを待ち構える。そして、標的ターゲットが軍用施設を囲んでいる壁を飛び越えて来る瞬間に腹部を狙撃する。



 見事に撃ち抜いた。それと、これで確信が持てた。今弾倉に込めてある弾丸なら今の標的ターゲットにも十分通用すると。



 標的ターゲットは腹部を撃ち抜かれた事で地面に激突した。その瞬間を狙い狙撃するが転がるようにして躱される。そのまま標的ターゲットは建物の陰に隠れてしまった。



 顔を覗かせた瞬間を狙おうとスナイパーライフルを構えている。標的ターゲットが顔を覗かせ、引き金を引き狙撃するも躱されてしまった。



 デュークはここに留まるのはマズイと判断してすぐにその場を移動する。標的ターゲットが見える位置まで移動し、尚且つ自分が視認出来ない場所へと隠れる。



 スコープを覗き標的ターゲットを見てみると運良く立ち止まっていた瞬間だったので、すぐに引き金を引いた。しかし、躱されてしまった。舌打ちをしたデュークは移動を始めようとした時、標的ターゲットが魔法を撃ってくる。



 デュークはその魔法の威力を見て冷や汗をかいてしまう。もしも、あと一秒でも移動が遅れていたなら自分は無事では済まなかったと……。



 デュークは移動速度を上げて標的ターゲットの背後を取ることに成功する。標的ターゲットは動かずに燃えている建物に集中している。ガラ空きの背後に一発放つが躱されてしまう。



 デュークは再び移動を開始して別の場所へと向かう。立ち止まり、スコープを覗き標的ターゲットを見ると、いつの間にか標的ターゲットは黒いコートを羽織っていた。



 何か意味があるのだろうか? そんな疑問がデュークの頭をよぎるが自分はただ与えられた任務を遂行するだけ。ただ、それだけを思い引き金を引こうとした時、標的ターゲットであるショウがデュークの方へと槍を投げて来たのだ。



「ッッッ!!??」



 しかも、寸分の狂いも無く正確にデュークがスナイパーライフルを構えている場所に。



「…………」



 デュークは一瞬、ほんの一瞬だが硬直してしまった。しかし、すぐに狙いを槍へと変えて狙撃する。槍の軌道をずらす事に成功して、デュークはその場を駆け出す。



 あのコートを羽織ってショウは自分の居場所をいち早く気づいた。つまり、ここにいてもやられるだけ。デュークの最大の特徴は超長遠距離射撃だ。しかし、それが今は意味を成さない。



 デュークはある建物の中へと逃げる。ショウがその後を付いてくる。その時に一発撃ち込むものの槍に弾かれてしまう。やはり、もう駄目だとデュークは判断する。



 だが、デュークは完全に諦めたわけでは無かった。何故ならデュークが逃げ込んだ場所は街での戦闘を想定して作られた巨大ジオラマだからだ。そして、デュークが超長遠距離射撃の次に得意とする街中での戦闘。



 デュークはただ逃げたのでは無く、ショウを誘い込んだのだ。自分の得意とする場所に。そして、デュークはここで決着だと言わんばかりに一発撃ち込む。



 当然躱されるが、デュークは思わず口角を上げてしまう。デューク自身も気づいてはいない。彼は今人生で一番高揚としている。



 それもそのはず、彼は今までどんな敵も一発の弾丸で仕留めたからだ。手応えのない犯罪者ばかりで退屈していた時に丁度転がり込んできた不法入国者。いつものように機甲兵達にやられると思っていたが、今回の不法入国者はただ者では無く数百もの機甲兵を退けて来た。



 上からの命令で自分が所属している部隊が動く事になった。久しぶりの任務という事で自分から志願した。心の中ではあまり期待していなかったが、今の状況はまさに最高と言える。



「たの……しい!!」



 初めて己の持ち得る全ての技術をぶつけれる相手が現れたのだから。

次回はショウ目線です


では次回を!!

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