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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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やったね! 立派な犯罪者だ

 武具創造でローブを作り、女の子に投げ渡す。女の子は受け取るといそいそとローブを身に纏う。目のやり場に困らなくなったが少し残念な気もする。



「ありがとうございます。ところで、私の他にもこの近くで魔物に襲われてる子がいませんでしたか? 私が雇った冒険者の方なんですけど、魔物に襲われて逃げ出してしまって…………」



 もしかして、あのブスの事だろうか?


 間違い無いな。


 この辺で他に襲われてたのはあのブスだけだったし。



「すまないな。君以外は見てないんだ」


「そうですか…………あの人無事だといいんですけど」


「冒険者なら何とか大丈夫だろう。それより、どうしてこんな所にいたんだ?」


「えっ、あっ、その私、どうしても行きたい所があって」


「ふーん。そうか。なら、魔物に気を付けろよ」



 素っ気ない態度で片手を振り女の子の元を去って行く。勢いで上陸してしまったが、これからどうしようかと考えてた時、後ろから声を掛けられる。振り返ると女の子が付いて来ていた。



「ハァハァ…………あの、こんな事本当なら頼んではいけないと思うんですけど、私を守ってくれませんか?」


「…………俺は冒険者だ。報酬によるな」


「今は持ち合わせがこれくらいしか……」



 ズボンのポケットから取り出して来たのは数枚の金貨。この国の貨幣だろうが、俺にはどれくらいの価値があるかわからない。その為、これだけで判断するには難しい。



「あの、やっぱり少ないですよね…………ごめんなさい。この話はなかった事にお願いします。わざわざ呼び止めてしまいすいません。それでは、私はこれで」



 だから、そんな顔をしないでくれよ……


 なんで、そんなにも悲痛な顔をするんだよ……


 はぁぁ……一番チョロいのは俺か……



「どこまでだ?」


「へっ?」


「だから、どこまでお前を護衛すればいいんだ?」


「ひ、引き受けてくれるんですか!?」


「ああ。引き受けてやる。ただし、俺はこの国のお金を持ち合わせていない。それにこの国には来たばかりだから、右も左もわからないからな。報酬はこの国の情報でいい」


「そんな事でいいんですか? 私が言うのもなんですけど、物凄く損をしてる気が」


「嫌なら他を当たれ。じゃあな」


「あぁ、待ってください!! お願いします!」


「はぁ……それで、どこまでお前を護衛すればいいんだ?」


「えっと、このイルミゾート最大の都市、イスカンテまでです」


「そこに何か行かなきゃいけない理由があるのか?」


「………それは、その」


「言いたくないなら言わなくていい。少し気になっただけだ」


「ありがとうございます。それで、一つお聞きしたいんですけど、良いですか?」


「なんだ?」


「お名前を教えて貰えないでしょうか?」


「そういや、名乗ってなかったな。俺の名前はショウ。ただのショウだ」


「ショウさんですね。私の名前はハンナと言います。よろしくお願いしますね、ショウさん」


「ああ、よろしく。ハンナ」



 自己紹介が終わり、ハンナと共に歩き出す。目指すはイルミゾート最大の都市、イスカンテ。とりあえず、万能地図を取り出して広げて見る。縮小して自分達の居場所を確認してから、イスカンテとどれくらいの距離があるか、測ってみると――



「ほぼ、反対じゃねえか!」


「えっ!!」


「えっ!! ってなんだよ? まさかハンナ、知らなかったのか?」


「うっ、実は私が雇った冒険者の方が道を知ってたので」


「はぁ〜、長旅になりそうだ」


「わ、私持ち合わせが……」


「わかってるって。どっか途中の街で稼ぐか」


「うぅ……情けない雇い主でごめんなさい」


「謝らなくて良いから。ホラ、先に進むぞ」


「はい」



 しばらく歩き続けているが、周りには何もない。地平線がどこまでも続いている。しかし、舗装された道があるので、やはり技術力は高い。俺たちは舗装された道の上を歩き街を目指す。



 歩くこと数時間が経過した。俺は平気なのだが、ハンナの歩くペースが落ちて来た。まあ、冒険者でも無いから体力は無いのだろう。どこかで休憩をしようかと思い立ち止まると、空の方からプロペラが回転する音が聞こえてくる。空を見上げると、ロボットのような物が俺たちを見下ろしていた。



 顔は液晶なのか真っ黒だ。全身は白を基調とした機械で関節部分は黒色。そのロボットはゆっくりと地面に降下して来て、俺たちの方へと近づいて来る。俺は首を傾げているとハンナが口を開く。



「ど、どうして機甲兵が!?」


「きこうへい? なんだそりゃ?」


「機甲兵はこの国の保安を維持する機械ですよ! でも、なんでこんな所に」


「……保安を維持…………まさか……」



 機甲兵が俺の目の前まで来ると――



「不法入国者ヲ発見シマシタ。タダチニ、連行シマス。無駄ナ抵抗ヲシタ場合、排除スル」



 わーお。


 まさか、バレてたの?



「ショウさん、不法入国者だったんですか!?」


「あ、ああ。でも、バレるとは思ってなかった」


「バレるに決まってますよ! この国に入国する場合は顔を撮られるんですから! 不法入国者なんてすぐに見つかっちゃいます!」


「ちぃっ! こうなったら破壊してやる!」


「だ、ダメ――」



 機甲兵に手を向けて魔法を放つ。火属性の最上級をモロに受けた機甲兵は煙に包まれる。しかし、予想外の事が起こる。機甲兵はどこからか取り出した機関銃のような物で連射して来たのだ。



「うおっ!? な、なんで?」


「機甲兵には魔法が効かないんですよ!! 魔法使いじゃ相手になりませんって!」


「マジかよ! なら!」



 弾丸を躱しながら、異空間から剣を取り出して機甲兵の懐に一気に侵入すると同時に腰口から肩口に向かって斬り上げる。機甲兵は斜めに斬られて爆発を起こして完全に破壊される。



「どうよ?」


「何しちゃってるんですかぁ!!!」


「な、なんかいけなかった?」


「良いですか? 機甲兵はこの国の保安を維持する兵士です。その兵士が破壊されたという事は、この国に対する反逆、もしくはテロに等しいです。つまり、私達は国家を脅かす犯罪者になりました」


「…………まあ、気にするな」


「気にしますよぉおおお!!」


「なんとかなるって!」


「うぅ……どうしてこんな事に……」

イルミゾート編で400目指したい……


では次回を!

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