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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第七章 真実の探求

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機械のワニ

 外へと出て行くと、空中で、いや、水中で兵士達とシャーリィの父親が魔物と戦っていた。



「なぁ、アレが魔物?」


「うん」



 俺が指を指してシャーリィに聞いた魔物は――



「ワニじゃねえか!!!!」


「ワニ? あの魔物の名前?」


「いや、名前ってか……うーん、そんなもんか」


「へぇー 」



 ワニって海水の中泳げたっけか?


 いや、確か一部のワニは海水でも生息してるんだっけ?


 まあ、異世界では関係無いのか?


 それよりも、あのワニ、口の中おかしくね?


 丸ノコ回ってるんだけど?


 ウインウイン言ってるよ?


 めっちゃ機械やん。



 今はその機械ワニと兵士達が戦っている。戦っているというよりは一方的にやられている。魔法を撃っているようだが、まるで意味を成していない。シャーリィの父親も俺にして来た空気砲を打っているが、あの機械の身体には効いてないようだ。



 悪戦苦闘しているようだ。俺も行こうかと思ったが、先ほどのシャーリィの父親が言っていた事を思い出したので踏み止まる。とりあえずは、全滅寸前まで様子見と行こう。その方が良いだろう。



 別に恩を売るつもりで、待っている訳では無い。あの腹立たしいシャーリィの父親に人間に救われたっていう貸しを作りたい。まあ、これはある種、恩でもあるかもしれないが。



 しかし、あのワニは一体なんなのだろうか。機械だという事以外全く情報が無い。そもそも、一体誰が何の目的であのワニを造ったのか。それにあのワニは相当技術が高い。つまり、かなりの高度な文明があるという事だ。



 確かイルミゾートがこの世界最大の技術を持っている文明大陸だ。もしかしたらそこの連中が作ったのだろうか。疑問は尽きないばかりで、答えは出ない。



 気にしても仕方ない。今はあのワニを倒すのが先決だ。目を向けてみると兵士達はほとんどがやられていた。もう、残っているのはシャーリィの父親のみとなっている。しかも、そのシャーリィの父親も既に満身創痍だ。



 さて、遂に俺の出番かと思われたその時、シャーリィの父親が何をトチ狂ったのかわからないが、あろう事かワニに特攻を仕掛けたのだ。



「ぬぉおおおおおおお!!」


「お父さん!?」



 シャーリィが驚いて声を上げるがシャーリィの父親は特攻していき、そして尻尾により叩き落された。食べられなくてよかった。



 シャーリィは父親の方へと泳いで行く。俺はそれを横目に見ながら、ワニの方へと泳いで行く。そして、ワニの目の前まで来てワニをよく見てみるとワニの目はカメラのような構造をしていた。



 誰かがどこかで操作をしているようだ。しかも今、ズーム機能でも使ったのか目が動いていた。つまり、俺をカメラ越しで誰かが見ている訳だが、まあ今は気にしないでおこう。このワニの破壊が優先事項だ。



「さあて、ワニ君。君はここらで終わりだ!」



 異空間からグングニールを取り出してワニに構える。ワニは何故か先程から微動だにせず俺をジッと見つめている。カメラ越しの誰かが操作をしているのだとしたら、俺を見ているのだろうか。



 来ないのであれば、こちらから仕掛けてやろう。グングニールを握り締め水を大きく蹴り一気にワニの懐へと浸入する。ガラ空きになっている腹の部分にグングニールを思い切り突き刺す。



 すると、普通にグングニールが突き刺さりワニの腹に穴が空く。意外と脆いなと思っていたら、ワニはそのまま泳ぎ始めた。しかも、高速旋回を始める。耐え切れずに手を離してしまった。



「中も機械か……」



 確かな手応えはあったが肉を刺したというよりは、壁を突き破った感じだった。しかも、中は空洞が多くてスカスカでもあった。



 困った困った。



 痛みも感じてないようだから、普通に泳げてるし。それに操作をしてる奴が俺に標的を合わせたみたいだし。だってワニがさっきから、その大きな口を開けて俺に突撃して来てるもの。



 まあ、考え事しながら躱すなんて余裕ですけど?



 しかし、痛みも感じないならどうしようか。やはり、ここは無難にカラドボルグで破壊した方が良いだろう。そう決めてカラドボルグを取り出そうとした次の瞬間――



 ボシュッとワニの首が魚雷の様に飛んで来た。



「はっ?」



 呆気に取られた俺は口に飲み込まれる。



「いやぁああああああああ!!!」



 俺がワニの口に飲み込まれる瞬間を見ていたシャーリィが悲鳴を上げる。



 その光景を見ていた兵士達も顔を背けて、俺が死んだものだと思い込んでいる。



 だが、言おう。



 よく見ろ。



「くっ、ふぬぅううううううう!!!」



 飲み込まれた俺は何とか口をこじ開けた。よくギャグ漫画である様な恐竜やサメに食べられた時口をこじ開ける様な格好でだ。



「俺は死なん!! 彼女作るまでは死なんよぉおおおおお!!!」



 言ってることは悲しいが、今の俺は最高に決まってると思う。自分で思ってるだけだから。



 俺が何とか口をこじ開けたのを見てシャーリィや兵士達が「おおお!!」と拍手を送っている。



 お前ら拍手よりも俺を助けろよ!



 しかし、大変なのはこれからだった。ワニの首が元に戻るとワニが獲物に噛み付いた時特有の動き、デスロールを始めた。さらにデスロールに加えて丸ノコが徐々に俺へと迫って来ている。



 これってピンチなんじゃないの?

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