番外編、人魔和平・パレード
ドンドンと祝砲が上がる。今日は人魔和平協定を結んだ大事な日。そして、エルバース大陸の英雄ショウが旅立った日でもある。そんな訳で今日は、最も広い国、アルカディアで大々的なパレードを開催している。人、魔族、獣人、エルフ、エルバースに住まう人々が挙って集まる大イベントだ。
「ふむ、今日で1年か……」
「パパ上ー、ショウいつ帰ってくるかな?」
「うーむ、それはわからんなぁ」
「そっかぁ……早く会いたいなぁ」
「ふう……それにしても人が多いな。リューネ、ママとリーシャとラニは見つかったか?」
「うーん、いないよぉ」
「うぬ、完璧にはぐれてしまったか」
多くの出店が並んでいる大通りには魔王一家が。どうやら、はぐれてしまったようでヴァイスはリューネを肩車して、はぐれてしまった家族を探させている。しかし、人があまりにも多くて見つからない。そもそも先に進む事も難しい程である。
「予想はしていたが、やはりこうも人が多いと進みにくいな」
「あっ!」
「むっ! 見つけたか?」
「でっけー人がいた!」
「…………」
「ねぇねぇ、パパ上。今日は戦うんでしょ?」
「ん? そうだが、どうした?」
「なら、闘技場って所に行けばママ達と会えるんじゃないかな?」
「おおっ! それは名案だな! 早速向かうとしよう」
リューネの提案により闘技場へと向かうヴァイス。リューネが言った戦うと言うのは、今日、闘技大会が開かれるのだ。なんでも、エルバース最強はショウという事は確定しているのだが、じゃあ、2番は誰だ? という事で本日から闘技大会が開かれる事になったのだ。
ちなみに誰がこんな事態を招いたかと言うと、それぞれの国の王の子達であった。リューネがヴァイスはショウの次に強いと言い、ララがゼオンこそがショウの次に強いと主張したからである。
レベルで言えば確かにショウの次はヴァイスである。しかし、レベル差を覆して戦い勝利して来たのがショウだ。つまり、レベル差は関係あるが、それでも決して覆せないものではない。という事で、エルバース大陸の2番目を決めようとなった。
それを聞いていたミランダが――
「それなら一層の事戦ったらどうですか?」
と言ったのが原因だ。そのお陰で今日から闘技大会が開かれてエルバース大陸の2番目を決める戦いが始まるのだ。ちなみに参加は自由だ。
これだけ人が多いから最初は大乱戦になるのが、目に見えている。まあ、死ぬ事は無いだろう。今回は防死結界を張っている為、死人は出ない。怪我人は出る事になるが、救護班には清水沙羅が控えている為、どんな怪我を負うとも完全に治してくれるので問題は無い。
まあ、精神の方は保証出来ないが。それでも、今回の闘技大会の参加者は既に1万を超えている。しかし、大乱戦と言ったが、大乱戦にも参加資格が必要になってくる。それもそのはず、あまりにも人数が多すぎて闘技場に収まりきらないからだ。
闘技場は今回の大会の件で改築されて収容人数が増えた上に舞台の大きさがかなり広くなっている。その舞台でも収まりきらない程の人数が参加している。
故に今回はまず参加資格を得る為にレベル100以上の者限定となっている。それでも大陸中の全ての人が集っているのだから100を超えているの者は少なくない。
参加資格を得た者は予選を勝ち抜き、ようやく本戦への出場権を得る事が出来る。予選は数ブロックに分けての大乱戦。本戦はトーナメント方式の個人戦。本戦の方はパレードの間毎日する予定である。パレードが一か月も行われるので、毎日一試合ずつで31戦。本戦に出場出来る人数が32人。
ちなみにだが、何故パレードが一カ月もあるかと言うと、大陸中の人全てが来るからである。移動距離などがある為、遠方の方が来る頃にはパレードが終わっていたら、可哀想だという事だ。
そして、今闘技場はと言うと参加者で溢れかえっている。その中には彼もいた。
「くっ……人混みは鬱陶しいな」
「仕方ありませんよ、タカシ様」
「転移で受付まで行けれないか?」
「行けれますけど横入りはダメですよ。ちゃんと列に並びませんと」
「くぅ……魔法でも撃って吹き飛ばしてやろうか」
「無理ですよ。監視役のアイリス様がいるんですよ?」
「ふん。初代魔王だかなんだか知らないが今の俺の敵ではない」
「確かにショウ様が旅立ってから大分強くなりましたがそれでもダメです! 参加出来なくなりますよ?」
「はあ……わかったよ」
エレノアに論されて、渋々待つ事にした隆史。どうも、隆史はエレノアには勝てないようだ。無論、それは口喧嘩の事だが。
「ああ〜だり〜」
「ガストン様、もうしばらくですよ」
「もうしばらくって何べん言ってんだよ〜」
「うっ……」
「はあ……マジで長いなぁ」
「はん、だらしないね。待つ事も出来ないのかい?」
「ああ? ロザリーよぉ、それなら、その足踏みを止めろよ」
「それはできないね」
「はっ、ようはお前も待つのが出来ないんだろ?」
「くっ!」
ガストン、チル、ロザリーの三人も並んでいる。チルは待つ事に慣れているのか苦に感じていないようだ。しかし、他の二人は違う。ガストンは先程からずっとぐちぐちと文句を垂れており、ロザリーは足踏みをして早く進まないかとイライラしている。
こんなところで暴走でもされたら、被害は甚大だ。何せ、周りにいるのは全員が100レベルを超えているの猛者たちなのだから。
闘技大会を残り二話で書くの無理やん
また別の機会で書く事にしますね(笑)
では次回を!




