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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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看病

「ん……」



 ふと目を覚ますと、布団の上で寝ていた。朧げな意識が段々と鮮明になり、完全に目を覚ます。とても、懐かしい匂いを嗅いで首だけ動かして周りを見てみる。懐かしい匂いの元はどうやら畳だったようだ。それに畳だけではなく、障子に襖と日本特有のものばかりで、とても懐かしく感じてしまう。懐かしさを感じた後、上体を起こそうとするが、身体が怠くて重い。それに熱まであるようだ。



 しかし、一体誰がここまで運んでくれたのだろうか?



 そう思いながら、襖を開けて部屋を出て行く。廊下を歩くと、木造という事が分かり、さらにここが大きな屋敷だという事も分かった。壁にもたれかかる様にして、トボトボと歩いていく。



 一先ず、屋敷の住人に会わねば……



 覚束ない足取りで廊下を歩いていると、曲がり角を曲がると和服を着た美少女とぶつかる。その衝撃で尻餅をついてしまう。



「あっ、すみません!! って、なんで出歩いてるんですか!! まだ、寝てなきゃダメですよ!」


「す、すいません……」



 立ち上がろうとしたら、フラついてしまい、またも尻餅をついてしまう。



「だ、大丈夫ですか!? 手を貸しましょうか?」


「だ、大丈夫です」



 再び立ち上がろうとするが、モタついてしまい壁に手をついてしまう。



「おっと……」


「ああっ! もう、やっぱり見てられません。ホラ、肩を貸してあげますから!」


「ぉぅ……」



 結局、和服の女性に肩を貸して貰い、元の部屋へと戻る。女性に布団で寝る様に促され、布団に潜る。



「あの、所でここは? てか、どうして俺はここに?」



 疑問に思った事を口にしてみると



「ああ、その事ですか。実は、昨日の夜に町を歩いていたら貴方が倒れていたんですよ。起こそうとしたんですけど、物凄い熱で意識を失ってたんですよ。それで、屋敷の人達を呼んで、この部屋まで連れて来たんです」


「そういう事ですか………ありがとうございます」


「いえ、気にしないでください。道端に倒れている人を放っては置けませんからね。ましてや、あの様な土砂降りの雨でしたからね」


「いや、本当に感謝してます。マジであの時はヤバかったですから」


「まあ、でも、今はゆっくりと休んで下さいね。先程の様に勝手に歩き回らない様に」


「はい」



 和服の女性は頭を下げて、部屋を出て行く。1人になり、眠りにつこうとした時、ある事に気付く。



「そういや、名前聞いてなかったなぁ……」



 天井をボンヤリと見つめて呟いた後は目を瞑り眠る。案の定、少し目を瞑っていただけですぐに寝れた。





 ****



「起きてください。食事の時間ですよ」


「んぅ……」



 身体を揺すられて目が覚める。目を覚ますと、寝る前に会った和服の女性がすぐ横で正座をしていた。女性の横には、お粥と思わしき食べ物が置いてある。どうやら、食事の時間の様だ。



 上体を起こそうとしたら――



「そのままでいいですよ。私が食べさせてあげますから」



 な、なんだって!?


 食べさせてあげます?


 つまり、アーンですか!?


 美少女にアーンを?


 期待しても良いんですか!!??



 そんな事を考えている内に女性はお粥を木で作られた、れんげですくい、熱いため、息を吹きかけて冷ましてくれていた。つまり、美少女のフーフーですね。最高のスパイスになります。



「はい、アーンして下さい」



 ぐっ、正直嬉しい反面、恥ずかしさもある。


 だが、ここは好意に甘えよう。



「あ、あーん」



 パクリとお粥を口に入れる。程よい熱さのお粥が口の中に広がる。味は、無難に卵粥の様で不味くは無い。むしろ、美味しい方だ。お粥を食べ終わると、女性はお粥の入っていた皿を下げて部屋を出て行く。



 また、寝ようかと思い目を瞑る。しかし、暫くしたら部屋に誰か入って来る。目を開けて見てみると先程の女性だ。何をしに来たのかと思っていたら、女性は俺のおでこに手を伸ばして触れてくる。



「んー、昨日よりは下がりましたね。でも、まだ勝手に歩き回らない様にして下さい。今度勝手に歩き回っていたら付きっ切りで看病しますからね!」



 是非とも!!



 女性はそう言った後、部屋を出て行く。正直、風邪を引いた時は無性に人肌が、いや、1人でいる事がとても寂しく感じてしまう。出来れば、誰かに側にいてもらいたいと思っているが口にはしない。



 ふむ、随分と情けないものだ。



 兎に角、今は身体を休めて、風邪を治す事に専念しよう。それが一番だ。目を閉じて眠りに入る。





 ****


 目を覚ますと、夜になっていた。感覚的には深夜だと思うが時計も何も無いので断言は出来ない。少し起き上がってみると、完全には治ってはいないが大分マシになった。部屋を出て縁側に座って月を見上げる。



 綺麗なお月さんやぁーー


 ……あぁ、今頃ファイブがこの国で暗躍してんのか。


 マジで俺の失態だわ。


 頼むから厄介事だけは……


 って無理な話だよな。


 ん?


 足音?



 振り返ってみると和服の女性、今は寝巻きの様な別の和服を着ている。



「部屋に居ないと思ったら、こんな所で何をしてるんですか?」


「月を見上げてました」


「月ですか……今日は満月ですから、綺麗ですよね」


「ええ、まあ」


「それより、お熱の方は、もう大丈夫ですか?」


「まだ、少し身体は怠いですけど、ほぼ治りかけですよ」


「そうですか。でも、あまり無茶をしない様に」


「はい。所でずっと聞きたかったんですけど、貴方のお名前は?」


「そういえば、まだ名乗ってませんでしたね。私とした事が失礼しました。私の名は沙織、不二虎沙織と申します」


「不二虎沙織さんですか……なんだか凄い苗字ですね」


「ええ、父が武士な者ですから」



 武士キターーーーーーーーーー!!!!



「どうかなさいました?」


「いえいえ、別になんでもありませんよ」


「そうですか? それよりも、貴方のお名前も教えて貰えませんか?」


「ああっ、すいません、忘れてましたね。俺の名前は――」



 いや待てよ?


 ここでなら別に苗字言っても問題無くね?



「ショウ、山本翔です」


「翔さんですか、いい名前ですね」



 お互いようやく自己紹介が終わった所で、部屋に戻った。

GWが終わった……


まだまだ寝ていたかった


では次回を!

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