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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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倭国に上陸

 背後から現れたもう1匹のリヴァイサンは俺を見て嬉しそうに餌だ、と叫んだ。冗談では無い、こちらとら、彼女が出来るまで誰にも食われる予定は無いのだ。もちろん、物理的な意味でも、性的な意味でもだ。



「おう、コラ、ボケ!! エドラドス!! いきなり、現れた思うたら、何、人の友達を食べようとしてんねん!! いてこますぞ、ハゲ!!!」


「ふん、相変わらずだなウォルテクス。人など俺らにとっては餌に過ぎん。それを友達と呼ぶとは、やはりお前とはソリが合わんな」


「ワイもお前とはソリが合わへんわ」


「それより、そこを退け。俺はその人間を食べたいのだ。食事の邪魔をすると言うのならば、いくら同族とてタダではおかんぞ?」


「ほう? ワイと喧嘩するんか? ええ度胸やないか!」


「口で言っても聞かんか…………ならば、お前を退けるのみよ!」


「かかってこいや!!  このどアホがぁあ!!!」



 怪獣大戦争勃発。


 巻き込まれる俺。


 守ろうとする海龍。


 食べようとする海龍。



 今、橋の上では歴史に残るであろう、怪獣大戦争が勃発していた。きっと、俺はこの光景を忘れない。目の前で海龍が争い、凌ぎあっている姿を。



 きゃあああああ!!!


 口からビーム出したぁああ!!



 ビームやら海水やら鱗やら血などが飛び散って来る。特撮映画でも、ここまでど迫力なものは無いだろう。ていうか、現実だからな。とりあえずは、巻き込まれ無いように逃げ回っている。



「ドラァァアアアアアアアア!!!」


「かぁああああああああああ!!!」



 うひょーーーー!!


 声の振動で空気がビリビリしてるよぉおおお!!


 鼓膜が破れてしまうわ!!


 とにかく、この戦域より離脱しなければ!!



 走り出した俺は次の瞬間にリヴァイサンの攻撃を受けてしまい、海へと放り出される。これは、終わったと橋から落ちながら思う。海へと落ちた俺に気付かずにリヴァイサン達は戦い続ける。



「おぼ、溺れる!!」


「ファイブ、死ぬなよ」


「なら、縄解け!」


「嫌だね!! てか、なんか流されてね?」


「当たり前だろうが!! 大渦に飲まれてんだよ!」


「オワタ!」



 大渦に飲み込まれて、どこへともなく流されて行く。きっと俺の運命は行き当たりばったりなのだろう。



 ◆◇◆◇◆


 目が覚めると、見知らぬ砂浜に打ち上げられていた。身体を起こして周りを見てみる限り、どこかの島であるようだが、人の気配を感じられ無い。地図を取り出して、ここが何処なのか調べてみると、ここが倭国である事が分かった。つまり、黒髪美人さんがいるんや!!



 興奮して立ち上がると、ある事に気付く。ファイブがいないのだ。しかも、何故かグレイプニルが無造作に転がっている。もしかして、いや、確実に、ファイブに逃げられた。これはとんだ失態だ。奴が倭国で何をするかは見当もつか無いが、厄介な事になる事だけは分かる。



 なんとしてでも、見つけ出さねば。



 すぐに砂浜から走り出して人がいる場所へと向かう。地図を広げて見る分ではすぐ近くに村があるはず。そこを目指して走り出した。



 村へとたどり着くと、そこには黒髪の人達がいた。なんだか、親近感が湧いてくる。ていうか、落ち着きを感じる。異世界と言うよりは、元の世界の田舎に帰って来た気分だ。



 とりあえず、村へと入り、片っ端からファイブについて聞いて回る。しかし、誰も見て無いし、知ら無いと言う。ファイブはここには来て無いようだ。ならばと、地図を広げて他の村も見て回る事にした。



 近隣の村々を回ったが収穫は一切無し。つまるところ、ファイブが何処に行ったかわからずじまいである。肩を落とし歩いていたら前方に団子屋を見つける。丁度、小腹も空いていたので団子屋に向かおうとしたのだが――



「か、金がねぇ……」



 諦めて通り過ぎようとした時、団子屋から怒鳴り声が聞こえてくる。聞き耳を立てると、何やら揉め事のようだ。



「ああ!! こんなまっずい団子に金を払えだぁ? ふざけんじゃねえぞ!!」


「で、でも、お代は払って貰わないと……」


「ああっ? 声が小さくてよく聞こえねえぞ!! もっとハッキリと喋りやがれ!!」


「ひぅ……」


「おらっ! 早く言ってみろや! 何にも無いなら俺は帰らして貰うからな!」



 …………ここで俺があいつを倒せば御礼として団子くらい貰えるんじゃね?


 ふっふっふっ!!


 団子の為だ。


 それと、団子屋の娘さんが可愛いやんけ!!


 うおおおおおおお!!!


 今、俺が助けてあげますよぉおお!!



 早速、団子屋の娘さんを助けようとした時、1人の若者が怒鳴り散らしている男に食ってかかる。



「そこら辺にしておけ……」


「ああ? なんだ、テメェは?」


「客だ」


「なんか俺に言いてえことであんのか? あん?」


「いい加減、その臭い口を閉じろ。お前のせいで団子が不味くなる」


「な、なんだと、テメェ!! ぶった切ってやる!!」



 男が腰に差している刀に手を伸ばし抜こうとしたが、若者によって止められる。



「止めておけ。死ぬだけだぞ」


「テメェがだろうが!!」



 男は無理やり手を振り払い、刀を引き抜く。男が刀を振り上げた時、若者が目にも止まらぬ速さで刀を抜き去り、横に一閃する。



 若者が刀を鞘に収めると、刀を振り上げていた男の身体が上と下でズレて崩れ落ちた。悲鳴が団子屋に鳴り響く。



 わぁーお!!



「すまない、汚してしまって。代金はここに置いて行く。釣りは結構だ」



 若者は金を置いて行くと、そのまま団子屋を去って行った。

あー、わけわからん


では次回を!

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