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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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虫ケラ

 俺の夢を笑った事を後悔させてやる!!


 あのクソ野郎、絶対にタダじゃおかねぇ!!


 俺の!!


 俺が描き続けてきた夢を!!


 果て無き夢を!!


 望んでいた物を!!


 奴は笑いやがった!!


 絶対に!!!


 ずぇったいに!!!


 コロシテヤルゥウゥ!!



「殺す!! 殺してやるぞ、ファイブゥウウウウウウウウウ!!!」


「クククククカカカカッッッ!!! やってみるがいい、異界の勇者よ!!」



 魔力化を施し、火属性と光属性を纏う。



「煉獄暁光!!」



 赤い光を身に纏い、巨人の目を拳で燃やして潰す。そして、そのまま腕から炎を噴き出し、目の内部を燃やし尽くす。最後に空を蹴り目を貫き、貫通させる。



「どうだぁあ!!」


「カカカカッ!! 見事! まっこと見事よ!! しかし、無駄よ!!」



 無駄、まさにその通りである。現に目の前では燃やし尽くし貫通して穴になった目の部分が再生し始めたのだ。



「ボケがぁあああ!!」



 再生している所に再び攻撃を仕掛けようと突っ込んだ時、左から手が伸びて来て、振り払われる。ハエを追い払う様に手で叩かれた俺は獣王国に落とされてしまう。無傷だった街の部分に落ちて、さらに勢いのあまり、地面を削りながら吹き飛んで行く。



 勢いが止まったのは獣王国の街の外でだった。首だけ動かして巨人を見てみると大分吹き飛ばされたのが分かる。すぐに立ち上がり、空を駆け上って行く。この遠距離からの魔法攻撃ならばと思い魔力を練っていた所に何か大きな物が飛んで来る。



 影に気付き見上げると、その大きな物は建物だった。巨人が街の建物を俺目掛けて投げて来たのだ。咄嗟に躱す事に成功する。地面に叩きつけられた建物は原型を留めておらず、瓦礫に変わっていた。



 すぐに巨人の方へ振り返ると、建物を掴み上げて、こちらへと投げて来ていた。建物を躱しながら、魔法のイメージを膨らます。イメージするのは巨大な槍。巨人をも貫く巨大な槍。



 イメージが固まって来る。魔力で形を作り上げて火属性を纏わす。巨大な槍は手に持つ事が出来ないので、宙に浮く形になっている。手の平の少し上で添える様にして槍を構える。



巨神槍・焔の型きょしんそう・ほむらのかた!!」



 身体全体を捻り投擲フォームに入る。巨人目掛けて一気に槍を投擲する。流星の様に槍は真っ直ぐ巨人の胸へと放たれ、突き刺さる。巨人は少しよろめいて、ダメージが入ったかのように見えたが、胸に刺さった火の槍を抜き去り、手でへし折った。



「クカカカッッ!! 中々の威力よ、今のは少し効いたぞ!! この巨人の身体にダメージを与えるとは流石、異界の勇者よ!」




 くっ、くそぅ!!


 こちらとら、ほぼ全力だぞ!


 なんて野郎だ!!



「今度はこちらの番だ!!」



 そう言うと巨人はこちら目掛けて拳を放って来る。距離があるから届く事は無かったが、拳から放たれた衝撃波が街を吹き飛ばしながら襲い掛かってくる。両手でガードし耐える。なんとか耐え切る事は出来たが、街の方はさらに無残な姿になっている。



 このままだと、俺と巨人の戦いで瓦礫の山になるのは時間の問題だ。とにかく、巨人をどうにかして動かさないといけ無い。空間属性が使えたなら、話は簡単なのだが生憎、俺には無いのだ。



 仕方ない。一か八かだ。一気に距離を詰めて、巨人の目の前へと向かう。巨人の目の前へと来た俺は巨人の胸部に拳と脚を使って乱打を繰り出す。




「うぉぉおらあああああああ!!」



 魔力化、身体強化の二つで最大限までパワーを底上げして押して行く。僅かにだが巨人の足が動いた。行ける、そう思った時、巨人の手に掴まれてしまった。



「カッーカッカッカッ!! 痒い痒い! このまま握り潰してやるわ!!」



 巨人は手に力を込め、握り潰そうとしてくる。魔力化を施している為、物理は効かない筈なのだが――



「がぁぁぁあああああ!!」



 どういう事だ!


 どういう事だ、これは!!


 何で握り潰せる!!


 今の俺は物理は…………


 まさか!!



「て、テメェ……まさか……魔力そのものか!」


「クククカカカカッッ!! 気付いたか! しかし、もう遅い!! 貴様はもう握り潰されるのを待つのみだ!」


「ぐぐぐぐ!!!」



 これで、痛みも感じず再生ばかり出来るのに納得が出来たが、状況がヤバすぎる。このままでは本当に握り潰されてしまう。力を振り絞り握っている手を振り解こうと踏ん張るがビクともしない。さらに力が強まって行き、俺の意識が遠のいて行く。




 最早、ここまでか……


 ……いや、まだだ……


 諦めるのは時間の無駄だ。


 最も愚かな行為が時間の浪費だ!!


 それだけはしてやるか!!


 一分一秒も無駄には出来ねぇ!!




「ぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」


「カカカカッ!! どれだけ足掻こうと無駄よ無駄! 貴様はここで虫ケラ同然の様に握り潰されて終わりよ!」


「かぁぁあああああああああ!!!」



 無駄と言われようが諦めてなるものか。最後の最後まで足掻き続けてやる。例え、ここで命尽きようとも、最後の瞬間まで諦めてたまるか!!



「撃てぇええええええええええええ!!!!!」



 突然の怒号と共に大規模な魔法が巨人の腕へと放たれる。その魔法により巨人の腕が千切れて落ちてしまう。運良く俺は千切れた腕の方だったので解放される。



 怒号のして来た方を見て見ると、多くの獣人達が立っていた。その中には、あのバカ狐娘、ヨーコも含まれていた。何でここにいるのかと怒鳴ろうとした時――



「異界の勇者よ!! 我等の力は今ので完全に尽きてしまった!! 恥を忍んで頼みたい!! 国を民を、我等を守ってくれ!」


「……ヨーコォオオオオオオオ!! 約束覚えてんだろうなぁあ!!!」



 話し掛けてきた獣人を無視してヨーコに話し掛ける。ヨーコはビクリと肩を震わせる。かなり、動揺している様で耳がピクピクと忙しなく動き尻尾もピンと立っている。



「も、もももちろん、覚えてますよ」


「なら、良し!! お前らの頼み、聞き届けた!! だが、絶対に守れるかは分からん。だから、早く避難しろ!! いいな!」


「感謝します!!」



 先程の獣人が頭を下げてくる。他の者達も後を追う様にして頭を下げる。どうやら、彼がこの国の王らしい。何でヨーコが混じってるのか気になるが、今は巨人だ。



「ファイブ!! ぶっ殺してやんよ!」


「クククククカカカカカッッッッ!!! カッーカッカッカッ!!! 運の良い男よ!! かかってくるがいい!! 捻り潰してくれるわ!!」

バトルパートは興奮しますよね!

なんか想像していたら興奮してきます!


では次回を!

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