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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第二章

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護衛の依頼③

「余計な時間を食ったわね」


「そうですね」


「今日はもう少し進んでから野宿としましょう」


「そうね」



 どんどん話が進んでるけど俺は相変わらず空気である。本物の仲間だとああいう感じなのだろうかと思う。最初から仲間では無いけど、でもやっぱり一緒に依頼を受けてる以上は仲間扱いして欲しいと思います。



 てか、もっと仲良くなりたい!!


 あわよくば、童貞卒業!!



 胸に秘めた思いを熱く滾らせながら動かずにいると、服の裾をくいくいと掴まれる。見てみたら、ララちゃんが服を掴んでこちらを見上げていた。



「なに、ララちゃん?」


「お姉ちゃん達もういったよ?」



 言われて気付くと、既にリズ達はいなかった。慌てて周囲を確認しても姿が見当たらない。どうやら、かなり先の方に進んだらしい。護衛の依頼なのにそれはどうなのかと思ったが今は合流する方が先である。



 あいつら何も言わずに先行きやがった!


 人としてどうなんだ!



「ララちゃんおんぶとか平気?」


「平気だけど……?」


「追いつくからちょっとおんぶするね?」


「わかった」



 そういって腰を下ろしてララちゃんを背中に乗せる。背中にララちゃんが乗ったのを確かめてから立ち上がり走り出す。



 うおおおおおおおおお!!!


 全速力じゃあああああああ!!!



「わぁ、速い速い!!」



 ララちゃんは喜んでるけど俺の走ってる速度はかなり速い。元の世界なら金メダルなんて目じゃない。むしろ、自動車に匹敵するくらいである。



 やっと追いついた……



「あんた何してんの?」


「あんたらが先に行くからっすよ」


「だって行くわよ! って言っても反応しなかったじゃない!」


「それは……でも、なんでララちゃんを連れて行かなかったんすか!?」


「ララちゃんがあんたの事を待つって言うからそれで」



 それを聞いて俺の中のララちゃんは評価が鰻上りで天使を越えて女神に差し掛かりそうである。



 さすがララちゃんマジ天使!



「ありがと! ララちゃん!」


「ん……」



 そういやララちゃんおんぶしたままだったなと思い出して降ろそうとする。



「ララちゃん降ろすよ?」


「もう少し……このままがいい」


「えっ!」


「重い?」


「いや平気だけど……なんで?」


「心地がいいから」


「そうですか」



 マジか!?



 このままおんぶした状態を続けねばならないのかと思ったけど軽いから問題無いと結論付けた。戦闘になったら降ろせばいいのだから。



「ショウちゃんってララちゃんに懐かれてるよね?」


「そうっすか?」


「うん。私達なんか最初怖がられて近寄ることすら出来なかったもん」


「ヘェ……でも俺初めて会った時普通にくっ付いてきましたよ?」


『えっ!?』



 三人一斉に驚くのでびっくりする。しかも、何故か距離を詰めてきた。



 えっ、何それ怖い。



「嘘言ってんじゃないわよ!」


「いや本当っすよ」


「そんな! 私達ですらあんなに苦労したのに!」


「すごいんだね、ショウちゃんって」


「でも、まだ素顔は見たこと無いんでしょ!? それなら私達の方が上ね!」


「上も下も無いと思うんすけど?」


「うっさい!」



 一体なんだというのだろうか。別に勝負をしているわけじゃないのに優劣を決めたがるなんておかしいと思わないのか。それにさっきからリズのせいでララちゃんが怯えている。



 少しは黙れよ!!



「ねぇ、ララちゃんどうしてショウちゃんにはすぐ懐いたの?」


「ん? 野生の勘……?」


「そーなんだ」



 それで納得していいのかと思うけど、本人が言ってる事なんだし深く考える必要はないだろう。



 野生の勘って凄いんだなぁ……



「でも、ショウはいい人……嫌じゃない」



 ララちゃんマジ女神!!


 俺のことをわかっていらっしゃる!!



 心の中では大絶賛である。もう、天使から女神に格上げしている。くだらない話をしつつ歩き続けていたら、日は傾き夕暮れ時となった。



「もう夕暮れですね。早く野営地を見つけないと」


「そうね。急ぎましょ!」



 キアラさんの一言で俺たちは野宿が出来る野営地を探す。俺は長期期間と聞いていたのでキャンプ道具とかはバッチリ準備してある。



 ふへへ!!


 俺にぬかりはない!!



 しばらくするとちょうど良い場所を見つけた。なので、本日はこの場所を拠点にして野宿をすることになる。



「今日はここで野宿しましょ」


「そうですね。ちょうど良い所があってよかったです」


「本当だよね~」



 三人が話をしている中、俺は適当な所で異空間からテントを取り出す。早速、組み立て作業に移ろうとしたら背後から間の抜けた声が聞こえてきた。



「は?」



 なんだと思って振り返ると、リズとキアラさんの二人が詰め寄って来ていた。若干の恐怖を感ている俺に二人は質問攻めしてくる。



「あんた、それどっから出したの!?」


「今何もない所から取り出しましたよね?」



 答える義務もないので俺は無視してテントの組み立て作業に戻る。しかし、無視された事に怒ったリズに蹴飛ばされる。



「ちょっと無視してんじゃないわよ!」


「イテッ! なんで蹴る必要があるんすか!?」


「あんたが無視するからでしょ。いいから答えなさいよ! どこからテントを出したの!?」



 どうせ答えないとうるさいので、俺は素直に答えることにした。



「俺のスキル《異空間収納》からですよ」


『なっ!?』



 リズとキアラさんの驚く声が重なる。俺と二人がそんなやり取りをしている中、ソフィさんはララちゃんと遊んでいた。



「《異空間収納》って言ったら冒険者が最も欲しいとするスキルよ!! なんで、あんた如きがそんな激レアスキル持ってんのよ」


「なんすか、俺如きって!?」


「そうですよ!! 《異空間収納》は滅多に見られないスキルなんですよ。ショウさん、持ってるなら教えて下さいよ!!」


「なんで教えなきゃいけないんすか! それに自分達なんかずっと顔を隠してたじゃないすか!? そんな人達を信用出来るわけねえっすよ!!」


「あんた、そんな風に思ってたわけ!?」


「本当のことじゃないっすか!!」


「一度痛い目見たいらしいわね!」


「なっ、そうやってすぐに暴力に訴える!」


「はぁ、なにがいけないのよ!!??」


「話し合いじゃ解決出来ないとわかったらすぐに暴力を振るう! 最低な野郎と同じっすよ!!」


「ぐっ……言わせておけば!」


「はいはい。そこまで~」


「ソフィさん……」


「ソフィ……」


「ララちゃんが怯えてるよ~これ以上の喧嘩はダメダメ~」


「……スンマセンした」


「何よそいつが隠してるのが悪いんでしょ」


「リズ~?」

「リズ!」


「ぐっ……悪かったわよ!」



 仲裁に入ってきたソフィさんのおかげでなんとか丸く収まった。しかし、リズの方は納得していなさそうである。



 どうもリズとは合いそうにないな…



「あの、ご飯はどうするんです?」


「そうですね。忘れてましたね」



 どうせ食料を探しに行かねばならないのだろうと思った俺は異空間から食料を取り出すことにした。



「ちょっと待ってください。一応俺が五人分の食料は持ってますから」


「本当ですか!?」


「やったぁ~! これで探しに行く必要がなくなった」


「最初っから出しなさいよ」


「……」


「リズ!」

「リズ~」


 人の好意を無下にするような発言に俺は苛立ちを隠せない。そしたら、俺の代わりにキアラさんが怒って説教を始めた。



「なんで貴方はそう上から物を言うんですか! ショウさん、リズにはご飯あげなくても大丈夫ですよ!! 少しは反省させないといけません!!」


「えっ、でも……流石に飯抜きは」


「いいんだよ~~リズは一回くらいちゃんと反省させないとね」


「はぁ……わかりました」


「なっ! ちょ! 冗談でしょ!?」


「冗談なんかじゃありません。ご飯が欲しいなら自分で探して来てください!」


「頑張ってね~」


「お姉ちゃんファイト!」



 ヒャッハーー!!


 いい気味だぜ!!!


 さて今日は俺が飯作るか……



 料理もハマってた時期があったので料理は苦手ではない。ただ、特に語れるほどでもないので腕前は精々家庭で出せるようなレベルである。



 さぁ、始めようか!!




「何よ!! ふん! あんた達よりもいい物食べてやるんだから!! あげないからね!」



 そう怒りながらリズは森の中へと食べ物を探しに行った。姿が見なくなった後、俺はキアラさんたちに大丈夫なのかと聞いてみた。



「あの、本当にいいんす?」


「ええ。大丈夫ですよ。それにリズは料理が苦手だからっていつもご飯の時はサボるんですよ。ちょっとくらい苦労した方がいいんです!」


「は、はい」


「それより、ショウちゃんって料理出来るの~?」


「まあ簡単なものなら出来ますよ。今日は俺が作りますんで休んでていいですよ」


「本当? やったー!」


「そうですか。それならお言葉に甘えて休ませてもらいますね」


「ショウ……楽しみにしてる……」



 さてと、キャンプと言えば!!


 あれしかないだろう!!!



 キャンプと言えば定番のカレーライスである。早速、準備に取り掛かりカレーを作っていく。テキパキと動いてカレーを完成させた。



「出来ましたよ。カレーライスです!」



 我ながらいい出来である。ちなみに甘口にしてある。だっていきなり辛口にしたら食べれないかもしれないからだ。日本人の味覚と異世界人の味覚は違うと思うしね。



「わぁ、何これ? なんかドロってしてるね」


「本当ですね? こんな食べ物初めて見ましたよ?」


「美味しそう……」


「じゃあ食べましょうか」


『いたたきます!!!!』



 うむ!


 美味い!!


 中々上手に出来たな!



 ルーから作る羽目になるとは思わなかったが上手く出来てよかった。この世界には市販で売ってるようなカレーのルーなんて無いから大変であった。ただ、野菜の方は似たような物があったからよかった。肉は牛に似た魔物の肉だけど意外と美味しい。



「美味しい!!」


「うま~い!」


「おかわり……!」


「早っ! ララちゃん早いっすね」


「うん……美味しいからいっぱい食べれる」


「おかわりなら沢山あるからね」


「ん……」



 鍋一杯に作って正解であった。好評だったのでみんなどんどんおかわりしていく。



「そうだ! これかけて食べてみてください」



 そう言って俺はチーズを取り出して、全員に配っていく。受け取った三人は首を傾げてチーズを見ている。



「これは、チーズですよね。かけるとどうなるんです?」


「まぁ食べてからのお楽しみということで」



 俺がそう言うと、皆カレーにチーズをかける。すると、チーズがカレーの熱で溶けていく。三人はまたしても不思議そうに首を傾げている。



「溶けちゃったよ~」


「それでいいんすよ」


「わぁ~チーズがドロってして美味しいね」


「俺好きなんすよ~!」



 そう言って皆食べまくる。チーズカレーも好評だったのでおススメした自分としては嬉しい者である。ただ、一名だけこちらを睨みつけているのを覗けば最高なのだが。



「あんなの不味いに決まってるわ……」



 一人離れたところに座ってこちらを睨みつけては文句を垂れているリズ。心の中で何度も溜息を吐き、俺はリズの分のカレーを注いで持って行く。



 まあ男だもん!!


 美女に弱いのは当たり前だ!



「これ……どうぞっす」


「えっ、いいの……?」


「一人だけ飯抜きってのは可哀想っすから」


「でも私……」


「もうなんとも思ってないっすから、これ食べて下さいよ。結構自信あるんすよ?」


「いただきます……」



 よほどお腹が減っていたのかリズは無我夢中にカレーにありつく。俺が前にいるというのにも関わらずガツガツとカレーを口に運んでいく。



 あーあ、女の人があんなにがっつくなんて……



「美味……しい……」



 突如、涙を流し始めるリズに俺は慌てふためく。もしかして、辛かったのだろうかと思ってしまう。理由が全く分からない俺は脳内がパニックを起こしていた。



 なんで泣いてんの!?


 やばいやばい!!


 女の人泣かせてもうた!!



「ごめんな……さい」



 消え入るようなか細い声でリズが謝ってきた。思考が止まり、理解するのに数秒かかってしまう。ようやく、理解できた俺はリズの方を黙って見つめる。



「私貴方にずっと酷いことばかり言って、それなのに貴方は私に優しくしてくれるなんて……本当なら許してもらえるはず無いのに……」


「いいっすよ! 全部事実っすから!」


「で、でも!!」


「くどい!!」


「ッッ!!」


「謝ってくれたじゃないすか。それだけで許しますよ!! それに綺麗な女性の涙には男は弱いんす!!」



 うぇえええええ!!


 キモいよおおおお!!



 心の中で自分の発言に発狂しており、頭を抱えたくなる。だが、それで泣き止んでくれるならいいかなと思っている。



「バカな人……」


「俺単純っすから!」



 なんか皆こっち見てるんですけど恥ずかしいのでやめて貰いたい。そんな目で見られると消えてしまいたくなる。



 暖かい眼差しが!!


 穴があったら入りたい!



「ショウさんは優しいですね……」


「甘いよね~」


「む……」



 キアラさんにソフィさんは生暖かい目でこちらを見てくるし、何故だか分からないがララちゃんは不機嫌そうにしている。



 どうしてこうなったんだ……

改訂済み

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