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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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さらば、エルフの里

 ん……


 んん?


 ここは?



 目を覚ましたら見知らぬ、木造の天井が視界に入る。どうやら、倒れた後、エルフ達によって介抱されたみたいで布団に寝かされていた。掛け布団をめくり起き上がろうとしたら、足がふらつき倒れそうになるが誰かに肩を支えられる。肩を支えてくれた人物に目をやるとティアだったので驚いてしまった。



「ティアちゃん……」


「無理しないで。まだ、魔力は回復して無いから」


「ぁあ……でも、大丈夫だよ。よっと――」



 神羅創世を羽織り魔力を高速で回復して行く。ティアはいきなりコートを取り出し羽織ったのを見て疑問に思ったのか、首を傾げている。



 可愛いなぁ……


 あっ……



「…………」


「何か言ってくれた方がダメージが少ないんですけど……」


「その………う、嬉しいです」


「おぉう……」



 何故か分からないが赤く染めた顔を背けた。これは期待してもいいのではないかと思ったがやめておこう。セプテムの言う通りなら、まだ黒フードの奴等はこの世界のどこかで暗躍し何かを企んでいる筈だ。



 こんな事以前の俺なら考えたことなかったな。


 でも、仕方ないよな……


 あいつらがいる限り、彼女とイチャラブは出来ないよな。


 目的の為には、奴等が邪魔だ。


 確実に殺す。


 絶対に奴等を皆殺しにする。


 そして彼女を作って!!


 イチャラブするんや!!


 ハッ!?



「もしかして、もしかしなくても聞いちゃった?」


「ごめん、なさい……」


「いや、気にしなくていいよ。その、悪いけど俺はここをすぐに出て行くよ。里長に伝えて貰っていいかな?」


「えっ? す、すぐって、今すぐにって事?」


「ああ、いいかな?」


「で、でも、まだ身体が……」


「身体なら大丈夫だ。それよりも早く行きたいんだ」


「あぅ、で、でも……」


「ごめん……」


「え……」



 ティアを気絶させて布団に寝かせると、静かに部屋を出て行く。廊下を歩き誰にも見つからずに外へと出る。外は以前と同じ様にエルフ達で賑わっていた。ヘルメスの靴を装備して空へと駆ける。空へと飛び立った所で森一面を見下ろす。上空から見る森は壮大でとてつもない広大さだった。森を後にし空を駆けていき次の街へと目指す。



 ****


 ショウが飛び去った後、ティアは目を覚まし急ぎ部屋を出て行き外へ飛び出す。里の中を走り回り必死でショウを探したが見つからず肩で息をする。里の外に出ようとも考えたが、ショウの事だ、きっともう森にはいないだろう。



 ティアは俯き肩を落としていたら背後から声を掛けられる。振り返ってみるとそこにはティアの母親であり里長のユウナが立っていた。



「ティア、ショウは行ったのか?」


「お母様……」


「そうか……旅立ってしまったか。感謝の言葉も伝えていないというのに……」


「もう、もう会えないでしょうか……」


「………分からぬ」


「……私、私もう一度会いたい……もう一度会いたいです。彼に彼に会って………御礼を言いたい」


「御礼だけか?」


「………」



 俯いているティアの顔は真っ赤に染まっている。それがショウへの好意だという事をユウナは理解する。しかし、どうしたものか、ショウがどこへ行ったか皆目見当もつかない。



「そういえばお母様、ウンディーネ様がショウは過酷な運命が待ってると言ってました」


「ウンディーネ様がか? もし、そうならショウはきっとこれから苦しむ事になるやもしれんな」


「なら、助けに行かないと!」


「どこに行ったのかわかるか?」


「それは………」


「私達に出来ることはショウの――英雄の無事を祈る事だけだ」



 ユウナはティアを連れて里の中央へと赴き、エルフ達を集め宴を開く。本来ならショウに参加してもらう予定であったが不在の為、エルフ達だけで宴を開いた。もし、ショウがいたのなら美女に囲まれて有頂天になっていただろう。アホな事にそんな事を知らずに飛び去っていったショウはその事実を知って嘆く事になるだろうが知った事ではない、自業自得なのだから。



 ****


「うぉおおおおおおお!!! 私は無実でぇえええええええええええす!!!」


「待てぇええええええ!! 強姦魔めぇええ!!」


「俺はレイプなんかしねぇえ!! 合意の上でイチャラブしてぇんだよ!!!」


「知るか、そんな事!!」



 現在俺は追われてます。なんでこうなったかというと、森を出て立ち寄った街で女性を襲っている男達を撃退したまでは良かったのだが、その後の行動が行けなかった。女性を介抱しようとした所を衛兵に見られて逃げてしまったのだ。勘違いされたらマズイと思い説明も無しで逃げれば、そりゃ犯人扱いされるわな。



「私なにもしてましぇーーーん!!」


「なら、何故逃げる!!」


「追いかけてくるからでしょうがぁあああ!! てか、女性を介抱してやれよぉおお!」


「既に他の者に任せてある! だから、私は貴様を捕まえるのだ!」


「くそっ!しつけぇぞ! てか、あんた足速すぎ!」


「くっ、これでもこの街一番足が速いんだ、それなのに貴様を捕まえられないとは!」


「へへん、舐めてもらっちゃ困るぜ! 俺だって速いんだよぉおお!」


「おのれぇええええ!」



 今日も快晴だ。気持ちのいい天気の中を俺は逃走する。社会的に死なない為にも。



「ちくしょうぉおおおおおおおおお!!」

更新が遅くなりました。

申し訳ありません。


では次回を

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