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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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セプテム襲来

 遂に、遂に湖に辿り着いた。思えば長く険しい道のりだった。ミニスカ生足を目の前でちらつかせられて、煩悩退散を心の中で繰り返し、ナイトゴーレムとの激しいバトル。本当に苦労した。でも、ようやく湖に辿り着いたんだ。



 しかし、でかい。思っていた以上に湖がデカイ。琵琶湖よりも大きいんじゃないかと思う。最早、海だ、海。正直、泳ぎたいが今はウンディーネとやらが先だ。



「ティアちゃん、そのウンディーネ様ってのはどこにいるの?」


「待ってて、呼んでみる」



 そう言うとティアは湖に呼び掛ける。しばらく呼び続けていると湖の真ん中が盛り上がって噴水の様に水が上がる。その中心から白いドレスのような服を着た幼女が出てくる。まさかと思うがアレがウンディーネでは無いのだろうな。もしも、アレがウンディーネなら俺のやる気ゲージは一気に急降下するぞ。



「うーん、うるさい。そんなに呼ぶなぁ」


「申し訳ありませんウンディーネ様」


「それで、何の用だ。エルフの子よ」


「はい、実はここ最近水に毒が含まれており飲み水に困っていたのです。それで、ウンディーネ様に何か異変が起きたと思いここに来たのです」


「毒ぅ? 可笑しな事を言う。私はいつも通りだぞ? 何も異変は起きておらんが?」


「しかし、現にエルフの里では水が毒になっています」


「うぅむ……少し水を調べてみよう。待っておれ」


「はい」



 幼女が目を瞑り集中している。これで何にもわかりませんでしたじゃ話にならないぞ。頼むぞ、幼女ウンディーネ。全ては君に掛かっている。



「むっ……滝壺に原因があるみたいだな」


「滝壺にですか?」


「うむ、何やら毒を吐く魔物が住み着いておる。まあ、安心せい、水圧をかけて潰してやったわ。これで毒は流れる事は無いが暫くは水を飲まない方が良かろう」


「暫くとは、いつまでですか?」


「そうさな、1日、2日ほどだな。まだ毒は含まれておるから完全に抜けるまでそれくらいかかる」


「わかりました。この度は本当に感謝致します」


「良い。それより、エルフの子よ、そちらの男は人間か?」


「はい、彼は人間ですがどうかしたのですか?」


「黒髪黒目か……お主、倭国の者か?」



 ウンディーネは手に顎を乗せて考えた後、俺に問いかけて来た。



「いや、俺はオルランドだが?」


「成る程……倭国では無いのならお主……異世界の者か」


「いや、違うけど?」


「ふむ、あくまでシラを切るか。まあ、いい。お主、気をつけろよ、お主はこれから過酷な運命が待っておる。それだけだ。では、エルフの子よ、私は帰る。さらばだ」



 ウンディーネは湖の中へと戻って行った。俺に不吉な事を言い残して。過酷な運命が待っている。この意味がどういう意味なのかは分からないが覚えておこう。



「それじゃあ、帰ろう」


「ああ」



 呆気なくウンディーネとの会話は終わりを告げた。こうして俺の頼まれた事は終わり里へと帰ることになった。



 ****



 あと少しで里に着くのだが何やら雰囲気が可笑しい。里を出た時とは違って禍々しいものを感じる。ティアも同じようだが怖がっているため俺の服の裾を掴んでいる。警戒しながら里の中へと入ると誰もいなかった。



 おかしい、どう考えてもおかしい。そう思い先に進んで行き広場に出ると大勢のエルフが傷つき倒れていた。そして、中央ではエルフの長、ティアの母が黒フードに頭を踏み付けられていた。



「本当! 邪魔だよ! お前ら!! これから僕はショウ君と愛し合うのに邪魔しやがって! お前らなんかいつでも消せるけど僕の邪魔をした罪を償って貰うよ!」


「何を訳の分からねえこと言ってんだ! セプテム!!」


「ショウ君!? 今名前で呼んでくれた? アハァ嬉しいなぁ、ショウ君に名前で呼んでもらっちゃった!」


「気持ち悪いこと言ってんじゃねえぞ! とっととその足をどけろ!」


「ショウ君が言うなら仕方ないよ、ね!!」


「げはぁっ!!」


「なっ! テメェ!」



 セプテムは足を退かしたと思えば長の腹を思い切り蹴り飛ばした。長は蹴られて吹き飛んで行き建物に激突して倒れ伏せた。ティアが慌てて駆け寄り声を掛けている。



 ああ………ダメだ。


 もう、我慢の限界だ……


 殺す殺す!!


 殺してやる!!!!


 ぶっ殺す!!!!!!!



「セプテェエエエエエム!!!!」



 異空間から干将・莫耶を取り出し一気にセプテムに詰め寄る。干将で斬り上げ躱した所に莫耶で斬り払う。セプテムは莫耶を腕でガードして蹴りを放って来るが干将で蹴りを受け止め腹に蹴りを打ち込む。



 モロに受けたセプテムが後退り顔を伏せる。顔を伏せたセプテムは肩を震わせ笑っている。顔を上げてこちらを恍惚の表情で見てくる。



「あぁ、やっぱり素敵だ。ショウ君、君は素敵だよ。こんなにも僕を楽しませてくれるなんて……ダメだ、もう我慢出来ないよ!」



 セプテムは今まで以上の速度で俺の懐に入ってくる、咄嗟に干将・莫耶を振り下ろそうとするがセプテムが先に掌底を打ち込まれる。



「ゴホッ」


「あぁ、この技凄いよね。流石ショウ君だよ。内側に直接ダメージを与える発勁、本当に凄いや」



 直接内臓を攻撃される。内側から破壊する発勁。それをこいつはして見せた。これは俺しかできなかったはず、いや、世界中探したらいるかもしれないが。それでも俺にしか出来なかった。



 何故こいつが……



「フフッ、ショウ君をずっと見てたからね。君の技ならなんでも出来るよ。あっ、でも陽炎焼天と全てを飲み込む黒玉(ブラックホール)は無理だけどね」



 マジかよ……



 痛みに耐え干将を振るいセプテムを遠ざける。バックステップでセプテムと距離を取りエクスカリバーと魔法の鞘を装備し回復する。



「ゴフッ……ハァハァ……なら、見せてやんよ。ブラックホールを」


「こんな所であんな技を使う気?」


「安心しろ。安全な場所に移動すんだ、よ!!」


「ッッッ!!??」



 縮地を使い一気にセプテムの懐に潜り込み蹴り上げる。宙に浮いたセプテムを追いかけエルフの里から遠くへとセプテムを掴み放り投げる。



 セプテムはエルフの里から大分遠くへと離れた場所に落ちる。森が一部消滅してしまうかもしれないが勘弁してもらいたい。



 ここで決める!

暖かくなって来ました。

花見に行きたいですねぇ〜



では次回を!

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