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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第二章

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護衛の依頼②

 俺達は護衛の依頼を受けて獣人の子をアルカディアまで連れて行くことになった。だけど、なんでか分からないけど移動は徒歩で馬車を使わないとのこと。



 経費削減の為だぁあ?


 ざけたこと言ってんじゃねえよ!



 一週間もある道のりを歩いて行けというのは無理がある。しかも、護衛対象のララは子供だというのに。



「何よ、言いたい事があるなら言いなさいよ」


「なんで馬車を使わないんすか!?」


「だからさっきも言ったでしょ! 経費削減の為と狙われにくくする為よ!」


「それは、そうっすけど……」


「ブサイクな上に頭も悪いのね!」



 こいつ!



 あまりにも乱暴な物言いに俺は腹を立ててしまう。だいたいこいつら信用性が無いんだ。なんで皆してローブを着て顔まで隠してるのかわからない。一緒に依頼を受けるんだから顔くらい見せてもいいではないかと心の中で愚痴る。



「ごめんねぇ〜。リズって男嫌いなの〜」


「別に怒ってないっす」


「そっか〜よかった〜」



 リズを庇うように話しかけてくるソフィさんはなんだか呑気な性格をしている。しかし、男嫌いの癖になんで俺を指名したんだかと疑問に思ってしまう。



「あんた、私の友達に色目使ってたら即座に私の魔法で焼き払うから!」



 黙れくそアマが!


 こいつの頭ん中はプリンじゃねえのか?


 なんでいきなり魔法撃ってくるんだよ!



 温厚な俺でも到底耐え切れない罵りに怒り爆発してしまいそうになる。この調子ではララを送り届ける前に喧嘩別れしてしまうかもしれない。



「本当にすいません! 気を悪くしないでくださいね?」



 キアラさん……!



 あんな性格ブスの肩を持たなくても良いのにと思う。顔は見てないから判断しようがないけど、これだけは分かる。リズはクソでキアラさんは真面目でソフィさん天然だと。



 これはもう確定だ!!



 分析が完了して一つの結論を出した。それよりも俺の横を歩いてるララちゃんは意外と体力がある。歩幅が違うのに先程から、歩くペースが落ちていないのだ。



 おお、素晴らしい。


 これが獣人のポテンシャルか。



 どうでもいいけど《武具創造》を使えばバイクや車なんかも創れる。もう正直なんでも創れるんじゃないかと思って戦艦と戦闘機も創ってみた。チート万歳過ぎて笑いが止まらなかった。



 一時期俺はミリタリーオタクだったので本物の軍艦を見に行ったこともあるし、戦車だって乗らしてもらったこともある。銃も調べたし地雷も調べたりしていた。



 なんか俺っていろんな物を知ってるけど、結局飽き性だからすぐに飽きてしまうんだ。そのおかげで中途半端な知識しかない。



 創っている車とバイクは燃料が無いから魔力で走れるようにしたら魔力を消費し続ける仕様に変わった。出しても良いんだけど変に騒がれるのは嫌なので隠しておく。



 それに、この性格ブスのリズが喚きそうだから絶対に嫌だ!!



「はぁ~~」


「どうしたの?」


「いや、なんでも無いよ……」


「そう……?」



 心配そうにしてくれるララちゃんが可愛すぎてしんどい。



 それにしても、もう数時間は歩いてる。俺は《武神》のおかげか分からないけど体力が多い。こう考えると俺って結構なチートだと改めて自覚する。



 まぁ、いいか……



「結構歩いたわね。そろそろ休憩しましょ」


「そうですね。いいと思います」


「ふぅ〜、私疲れたよ〜」



 やっと休憩か……


 そういやここってどのへんなんだろ?


 聞いてみるか。



「あのキアラさん。ここってどの辺になるんですか?」


「ここですか? まだオルランド王国内ですよ。オルランド王国を出る時は関所がありますからね。そこで手続きしないと捕まっちゃいますから」


「マジっすか!?」


「あんたそんな事も知らないの?」


「はい……」


「世間知らずのブサイクなのね」


「すんません……」


「あんまり酷い事言っちゃダメだよ〜」


「事実だからいいじゃないの」



 うぜえ!!


 何度何度も不細工って言いやがって!


 どうしようもないだろうが……!


 不細工には人権は無いってか!?



「あんまり気にしちゃダメ…」


「ララちゃん……」



 俺が暴れだしそうになったのを察知したのかララちゃんが慰めてくれる。ララちゃんがいなかったら今頃リズに鉄拳制裁していたところだ。



「あんたその子に手を出してみなさいよ?この世に生まれて来たことを後悔させてやるから」



 死ね!


 性格ブス!!


 いちいち、突っかかって来るなや!


 めんどくせぇ奴だぜ!!



 話す度に噛み付いてこなければ、会話も出来ないのかと言いたくなる。そんなんじゃ、将来結婚できないだろうと指摘したくなる。



「それじゃそろそろ出発しましょうか!」


「十分休憩出来たからいいよ〜」


「そうですね。そろそろ行きましょう」



 イライラしていて気が付かなかったが結構な時間を休憩していたようだ。俺は特に問題ないが子供のララちゃんには辛いだろうと思い聞いてみる。



「ララちゃん大丈夫?」


「ん……平気」



 聞いてみたら平気だと答えるので特に何も言わない事にした。どこにそんな体力があるのか不思議だと思いながら旅を再開する。



 しばらく、森の中を進んでいると妙な気配を感じる。なんだこの気配は、と注意深くすると人の気配と分かる。どうして、こんな場所に人がいるのだろうかと考えた時、前にいる三人も気が付いたようだ。



 こいつらも気付いたみたいだな……


 やっぱり結構実力あるんだな。



「コソコソしてないでさっさと出てきたらどうなの!?」



 リズが叫んだ後に森の中から魔法が飛んで来る。複数の魔法は俺たち目掛けて飛んで来るので、

 俺はララちゃんの前に立ち盾を出した。



「アイギスの盾!」



 魔法を防ぎきり周囲に目を向けて見ると十数人の男達に囲まれていた。前にいた三人は魔法を避けたから全員立ち位置が離れている。



 こっちは五人……!


 だけど戦えるのは四人か……


 状況的には不利だな…どうする?



「ブサイク、ララちゃんを守りなさい! 私達が敵を倒すから!」


「了解っす!」



 ブサイクと言われるが今は緊急事態なので気にしないことにして俺はララちゃんを連れて走り去る。



「ねぇ、あのお姉ちゃん達だけで大丈夫なの?」


「わからん。でも俺は君を守れと言われたからそれに従うよ。それに多分彼女達なら大丈夫さ! 相当な実力者だからね!」



 俺はそう言ってララちゃんを連れて遠くへと避難する。かなりの距離を逃げ切り、囲まれたままの三人に視線を戻す。



 さて、ようやくあいつらの実力が分かるな。



「さぁどこからでもどうぞ?」



 リズが敵を挑発すると山賊か盗賊かはわからないが如何にもな格好の男が前出てくる。その顔は勝ち誇ったように笑っていた。



「へへっ、この人数に勝てると思ってんのか?」



 数えて見ると確かに奴らは十五人もいる。数の上では圧倒的に不利だから大丈夫なのかと心配になる。



「ねぇ、やっぱり助けに行った方が!」


「……」



 ララちゃんは俺に向かって助力するように促してくるが、俺は動かない。あの三人ならば負けることはないと確信しているからだ。



 危なそうだったら助けに行けばいいしな!




「ふん! 逆に聞くけどその程度の人数で私達に敵うと思ってんの?」


「あっ? 馬鹿じゃねえのか? てめえ、どうやら死にたいらしいな!」


「なら早くかかって来なさいよ!」


「身包み剥がしてめちゃくちゃにしてやるよ!!」



 盗賊が叫ぶと同時に戦闘が始まった。三人を囲っていた男達はそれぞれの獲物へと飛び掛る。刃こぼれに錆びている剣をリズに向けて男が振り下ろす。



「キアラ!!」


「はい!」



 しかし、リズの掛け声に反応したキアラが割り込み剣を取り出して受け止めた。ガキンと金属のぶつかる音が鳴り響く。



「なっ!? てめえ剣士か!?」


「そうです……よ!!」



 驚いて聞いてくる男にキアラは答えながら剣を振り抜き、飛び掛ってきた男を弾き飛ばした。



 おおっ!?


 すげー!



 キアラの方に見とれていたらソフィの方でも驚く光景が見られる。男がハンマーのようなものを振り回してソフィに向かって振り下ろしていた。



「くたばれやぁ!」


「あぶないな〜」



 ソフィはハンマーを避けると隙だらけの男に蹴りを放った。



「ガハッ……て、てめぇ」


「私暴力は好きじゃないんだけど~」



 ハンマーを手放し、体勢を崩している男に向かってそう言いながらソフィは盗賊の鳩尾に拳を叩き込む。



 えげつない!


 ソフィさんあんな風に見えてまさかの武闘家かよ!



「はあああああああ!!!」



 キアラさんの雄叫びが聞こえてきたのでそちらに振り向くと、キアラさんが一気に敵を斬り倒して行っている。



「せ~い!」



 そして、ソフィさんは声とは裏腹に拳を地面に叩きつけてクレーターを作り上げている。そんな二人に恐怖を感じた男達は逃げ腰になっている。



「ば、化け物だ! 勝てる訳がねぇ……!」


「言ったでしょ。その程度の人数で私達に敵うのかって?」


「た、助けてくれ!」


「ふふっ……私達を敵に回したことを後悔しなさい! 緋嵐!!!」



 リズが炎の嵐を残った男達に放って全てが終わった。死屍累々な光景が出来上がり、その光景を作り上げた三人は背伸びしたりして余裕そうにしていた。



「す、すごかった……!」


「そ、そうだね……」



 俺とララちゃんはただ目の前で起きてる現状を眺めることしか出来なかった。そして、三人は退屈そうに会話を交えながら俺たちの元へと歩いて来る。



「口程にも無い奴らだったわね」


「はい。ちょっと物足りませんでしたよ」


「私は楽しかったよ〜」



 恐ろしい三人であるが、仲間であるという事実に心強いと感じた。



「あの、盗賊達はどうするんです?」



 俺は気になった事を聞いてみた。この世界の住人である三人なら襲ってきた相手を殺すだろうと思っていたのに、何故生かしてるのか知りったからだ。



「ほっとけばいいでしょ。魔物の餌にでもなるわよ。きっと……」


「それより私暑くなって来たからローブ脱ぐね~」


「えっ、だ、ダメよ! こんなブサイクに素顔見せるなんて!」


「すいません。私も脱ぎます!」


「ふ、二人とも!」


「別に~ショウちゃん悪い人じゃないから大丈夫だよ~」


「そうですよ。別に問題ありませんって」


「……わかったわよ。私も脱ぐわよ!」



 とうとう素顔を拝めるのかと興奮が収まらない。バサバサバサッと音と共に三人は着ているローブを脱ぎ素顔を現した。



 予想外デース!


 三人とも美女でした!!


 ご馳走様です!!


 ありがたや、ありがたや~~!



「な、何よ! こっち見るな!」


「ちょっと照れますね」


「あ〜涼しい〜」



 まさかリズが王道の金髪ツインテールなんて思いもしなかった。スタイルはスレンダーで三人の中では一番小さい。キアラさんは青髪ショートカットで健康美人で背は三人の中で一番高いけど真ん中である。



 そしてソフィさんは茶髪のセミロングだで俺の好みど真ん中のヘアスタイルだった。さらに、スタイルは三人の中ではダントツの一位である。詳しくはいえないが是非とも拝みたいものです。



「お姉ちゃん達、綺麗……」


「ありがと、ララちゃん」


「ララちゃんもフード取ればいいのに〜」


「やっぱり怖いですか?」


「……うん」



 この置いてきぼり感が悲しくなる。でも泣くわけにはいかない。男の子だから簡単に涙は見せてはならないから。



 ようやく彼女達の素顔が見れたから少しは信用してもらえたのかな?



 この一週間なんとかやっていけそうかな!

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