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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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毒キノコってマジ怖いわ〜

「………ぐおおおおお」


「ちくしょうめ………」



 現在俺とクロは尋常では無い腹痛により倒れ伏せている。何故こうなったかというとお腹が空いたので飯にしようと思い食料を探していたらキノコを発見したのでそれをオカズに飯を食べたのだがキノコが毒キノコだっようで、今現在腹痛により倒れ伏せているのだ。



「なんで異空間の食料出さなかったんだよ………おおおおおっ!!」


「ぐぅううう………だって、節約しねえどぉおおおおお」


「ぐっくそ、このままじゃ腹痛で死んじまう」


「ま、待ってろ。今解毒魔法をををを!!! やばぃいいいいいお腹がぁああああ!!!」


「もう………ダメかもしれない……」


「ク、クロォオオオオオオオ」



 パタリとクロは顔を地面につけて目を瞑りピクリともしなくなった。



「ち、ちくしょう!! よくもよくもクロを!!」



 とは言いつつも犯人は紛れもなくキノコを見つけて舞い上がり料理にぶち込んだ俺なんですけどね。笑い話じゃない。とにかく解毒魔法を使って回復しないとマジでお腹がやばい。いや、別に何かが出るって事では無いんだよね。ただ物凄く締め付けられるように痛いんだよね。腸を直接鷲掴みされてるような痛み。



 このままだとヤヴァイ。



 解毒魔法を使おうにも痛みの所為で上手く使えない。最早俺の運命もここまでかと諦めた時、茂みの奥から足音が聞こえて来る。もしかしたら俺たちと同じ冒険者かもしれない。助かった、そう思い茂みの奥から出て来た人を見ると愕然とした。なんと出て来たのはどこかの貴族か王族かと思わせるようなドレスを着た女の子だった。年齢は多分俺より四つ五つくらい下だろう。息を切らして肩で息をしており俺の方を見て目を開き驚くがすぐに俺の方へと駆け寄って来る。もしかしたら助けてくれるのかもしれない。そう思った俺の淡い希望をいとも簡単に打ち砕かれた。



「お願い助けて!」


 バカを言え。


 こちらが助けて欲しいんだ。


「魔物に追われてるの! お金なら払うから助けて!」


「状況を見て言えよ……うごおおおおお。ハア……ハア……俺は今動けないんだよ」


「ど、どうしてよ!」


「毒キノコ食っちまったんだよ……」


「症状はどんな感じ?」


「激しい腹痛だけだ」


「それって……もしかしてだけど白くて綺麗なキノコを食べたの?」


「よ、よく分かったな」


「バカ!! それはエレガントキノコって言って特殊な調理をしないと猛毒なキノコよ! なんでそんな物食べたのよ!!」



 こ、こいつ、助けを求めてる割に口が悪いぞ!



「とにかく解毒魔法を掛けてあげるから私を助けてよ?」


「分かった。絶対恩は返す」



 女の子は解毒魔法を掛けようと俺に手を翳して詠唱を唱え始めた時、ズシンズシンと森全体を響かせるような足音とメキメキと木々が押し倒される音が聞こえて来た。しかも女の子が丁度逃げてきた方向からだ。



「ど、どうしよ!? もう来ちゃった!」


「いいから早く治してくれ!!」


「わ、わかってるけど、て、手が震えて」



 ちくしょう役立たずめ!



 心の中で文句を言っていたら大きな影が近づいて来た。そちらの方を見て見ると、見上げるほど大きなイノシシがいた。角は綺麗な曲線美を描き凶々しくもありとても立派なイノシシだ。しかし、その目はようやく獲物を見つけた目で血走っていた。



「一体何をしたらあんなに怒るんだ」


「そ、そのあの魔物の赤ちゃんを……」


「殺したのか!?」


「殺してないわよ! ただ可愛くて手を出したら」


「母親の逆鱗に触れたって訳か」



 女の子はコクリと頷いた。しかし、あんなイノシシはエルバースでは見た事が無い。なんと言う名前の魔物だろうか。クロがいたら聞けるが今現在クロは意識を失っている。女の子に聞いてみるか。



「なぁ、あのイノシシじゃなかった魔物の名前は?」


「ギカントボアよ。一度切れたら周辺を破壊し尽くすまで止まらないわ」



 なんだよその恐ろしい生態は。



「ブギィイ」


「ヒッ! ちょ、ちょっと早く助けてよ」


「ば、馬鹿言うな、まだ治ってねーわ!」


「男なんだから頑張りなさいよ」


「世界中全ての男が強いと思ったら大間違いだぞ」



 口論していたらギカントボアが雄叫びを上げると地面が大きく抉れる程蹴り込み突進してくる。このままでは確実に殺される。ここは漫画でよくあるあの技を使う。



「止まれ」



 睨みを利かせて殺気を放つ。割と本気の殺気を放つとギカントボアは俺の数メートル手前で急停止をして怯える様にして俺を見てくる。上手くいったようで俺はギカントボアにさらなる殺気を放ちギカントボアに逃走を促す。ギカントボアは俺の殺気に怖気付き来た道をそのまま帰って行った。



 良かった……。


 事無きを得たか……。



「おい、もう大丈夫だ……ぞ……」



 女の子は白眼を向いて気絶していた。しまった、どうやら俺の殺気に当てられたらしい。まだまだコントロールが必要の様だ。とにかく解毒魔法を掛けて貰いたいから女の子を揺り起こすと女の子はハッとしたように目を覚ます。女の子は周りをキョロキョロと見回してギカントボアがいないのを確認して安堵の溜息を吐く。



「早く解毒魔法を……」



 そろそろ意識が………。



「あっ、待ってて!」



 薄れ行く意識の中女の子が解毒魔法を掛けてくれる。なんとか意識を繋ぎ止めて気絶を免れる。



「ありがとう。助かった」


「別にこれくらい大したことはいわ。それよりこちらこそ助けてくれてありがとう」



 なんだ意外といい子じゃないか。



 起き上がり身体を伸ばしてクロの所へと行き解毒魔法と回復魔法の2つを掛ける。魔法をかけ終わるとクロがゆっくりと目を開き目を覚ます。良かった、死んではいなかったようだ。死なれたらマジでどうしようかと思ったほどだ。とにかく死んでなくて良かった。



「ふぅ、危うく川を渡っちまうところだったぜ」


「ギリギリだったのか」


「それもこれもテメェがキノコなんか鍋にぶち込むからだ!!」


「お前だって美味い美味い言ってたじゃねえか!」


「うるせえ! やんのかボケー!!!」


「上等だ!! 猫缶にしてやんよ!!」




大分文字数減らした

いや、元の2000文字程度に戻したですね



では次回を!

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