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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第六章 新たなる大陸、そしてぼっち旅

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何かが起きそうな予感

 連れて来られた場所は古びた教会だった、そのまま中へと招かれ入ると見た目同様ボロボロの酷い有り様である。天井に目をやるとクモの巣が張ってあったり床が抜けていたりなどという人が住んでいるのか疑うレベルの酷い有り様だ。奥へと連れられて入ると多少はマシな客室に入りソファに座るように促されて座る。



「す、すいません。今、紅茶が切れてて何もお出し出来なくて……」


「ああ、いえ! お構いなく」



 ハルさんは紅茶を出そうとしていたみたいだが紅茶が無くて謝罪をしてくる。別に怒ってなどいないし、寧ろあの状況から助けて貰ったのでどちらかといえば感謝したいほどである。



 ついでに仲良く……ぐへへへ。



 ハルさんは向かい側のソファに座ると頭を下げて自己紹介をして来た。



「私の名前はハルと言います。貴方の名前は?」


「俺の名前はショウ・ヤマモト。まあ、ショウで良いです」


「み、苗字があるという事は貴族の方でしょうか!?」


「ああ、いやいやそんな大層な物じゃないっすよ。ただの平民ですから普通に接してくれて構いませんから」


「そ、そうですか。わかりました、ショウさん」



 いきなり立ち上がるものだから驚いてしまった。しかし、やはりこの大陸でも貴族しか苗字を名乗らないという事が分かった。前の大陸、エルバースでも平民は苗字無しで貴族だけ苗字有りだった。もしかすると他の大陸も同じなのかもしれない。そうなるとあまり軽々しく苗字を名乗るのは面倒な事になりそうだ。今後はショウという名前だけで控えよう。



「ところでここは教会みたいですけど……」


「はい。ここはこの街の教会であり孤児院でも有るんです。実は私はここで育ったんですよ。あと、ショウさんに槍を向けた人、ナツ兄さんもここの出身なんです」


「ナツ兄さんって……あの強面のあんちゃんっすか?」


「はい。ちょっと人の話を聞かない早とちりな部分はありますけどとってもいい兄ですよ!」



 全然似てないな。


 いや待てよ?


 孤児院って事はもしかしたら義兄弟ってだけかも。



「ナツ兄さんって人とハルさんは兄妹なんですか?」


「いえ、私と兄は血は繋がってませんよ。兄妹では無いですけど同じ孤児院でしたから兄妹みたいな関係になったんです。そうだ! 他にも沢山の子供達がいますから会っていかれますか?」


「そうだね。俺のクロが連れ去られてるからそうするよ」


「クロ? 猫ちゃんの事ですか!? もしかしてあの子達が!」


「まあ、はい。連れ去られました」



 笑いながら答えると何度も頭を下げて来て謝罪をしてくるハルさん。いや、別に怒ってなどはいないんだ。俺は怒ってないけど多分クロは相当キレてるかもしれない。面倒な事になる前に連れ帰りたいものだ。



 ハルさんに案内されて子供達がいる部屋へと行くと物の見事にクロはオモチャにされていた。ニャアニャア言って逃げ回っている。クロを必死に追い掛ける少年少女達、よく見たらまだハイハイしている赤ん坊までいるではないか。それにしても子供達の服を見る限りあまり裕福とは言えないな。まあ、教会の見てくれからしてお金に困っているという事は分かるけども。



「うにゃぁああああああ!! 止めろ!! テメェらボールを投げてくるな!! いてっ!! 痛えんだよ! ゴラァ!! 誰だ投げた奴は!!??」


「待て待て〜〜」



 逃げ回っているクロに対して子供達は部屋に散らかっているオモチャをぶん投げてクロに当てるという鬼畜の所業を行っている。悪童達だなと思っていたらハルさんが怒鳴り子供達が大人しくなる。ようやく逃げ回らないで良くなったクロはその場に仰向けに倒れてゼェゼェと息をしている。猫なんだからもっと体力あるだろ。



「クロ大丈夫か?」


「水を……いや、ミルクをくれ」


「おお、分かった。ほれ」



 異空間にしまってあった瓶に入ってあるミルクを取り出してやると俺の手から受け取るとゴクゴクと一気飲みした。なんで立ち上がり腰に手を当てて飲む必要があるのか。確かに風呂上がりとかにやるポーズだけども、まあ、いいか。空になった瓶を受け取り異空間へとしまう。



「ふいー!! 生き返ったぜぇ!! さて、俺様を弄んだクソガキ共にお灸を据えてやらねばな」



 二本足でゆっくりと子供達の方に向かっていくクロに一つの影が迫る。ハイハイをしていた赤ん坊がクロのユラユラと揺れている尻尾を鷲掴みにするとクロは飛び上がり叫んだ。その叫び声に子供達とハルさんが驚いてクロの方に一斉に振り向く。



 哀れなりクロ。



 ハルさんはその後子供達を説教して寝かしつけた。どうやらお昼寝の時間のようです。そう言えば何も食べてないなと思っていたらお腹が鳴ってしまう。とりあえず外にでも食べに行こう。



「すいません、ハルさん、俺腹減ったんでご飯食べに行って来ますね」


「あっ、それなら私が用意しますよ?」


「いや、それは流石に悪いですよ。出来ればこの街のお食事処を教えて貰えないですかね?」


「なら、私が案内しますよ」


「いいんですか?」


「はい。クロちゃんに悪いことしてしまいましたからね」


「そうだぞ、テメェは身を粉にして俺様に尽くせ」


「ふふっ、仰せのままに」


「よろしい。では案内役頼むぞ」


「……無理はしなくていいですよ?」


「いえ、楽しいですから良いですよ」



 ハルさんはそう言うとクロと一緒に教会から出て行き街を案内してくれる。ていうか、そこそこ大きい街なのに人が少ないな。気になるが今は飯が先だ。

字数を増やして1話単位で終わらせて行こうかなと思うんですよね。


でもなぁ………うーん


では次回を!

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