宣戦布告をする黒幕
元に戻った桐谷を2人に任せてテントの外に出た俺はようやく終わったと思い体を伸ばしていたら思わぬ来客が目の前に現れる。
「クフフフ。お久しぶですね」
「なっ!! テメェは!!」
「いやはや、まさか魔王に勝ち、あまつさえ暴走した勇者を一撃で倒すとは驚きの声を上げましたよ。さて、私がここに直接来た理由ですが宣戦布告をしに来ました」
「宣戦布告だと? まさか、お前一人で魔族と人類相手にしようってのか?」
「ええ、そのまさかです。と言っても私一人ではありませんがね。あっ、そうそう、この方達はお返ししますよ。もう用済みですからね
そいつはいきなり俺にリーシャさんと清水沙羅を渡して来た。突然の事で驚いたが2人が無事だったので一先ず安心した。
「どういうつもりだ?」
「どういうつもりも何もその方達を攫えば勝手に貴方達が戦争を始めてくれると思い誘拐しただけですからね。別にやましい事なんてしてませんからね。ただ、今は彼女達は眠ってるだけですから暫くすれば起きますよ」
「随分と優しいな。一つ言うが俺がこのままお前を逃すと思うか?」
「別に構いませんが眠っているその2人を守りながら私と戦えるのですか?」
「………」
「流石の貴方でも無理でしょう。それでは、また」
そう言った奴は黒い霧に包まれて姿を消した。とりあえず清水沙羅を桐谷達のところに運ぼう。しかし、2人を運ぶの骨が折れる。清水を脇に抱えリーシャさんを肩に担いでテントの中に入り清水を桐谷達の元へと運んだ。その際桐谷が目に涙を溜めながら御礼を言って来たが正直気持ち悪かったのでさっさとテントを出て行った。
後はリーシャさんだけなのでお姫様抱っこに切り替える。魔国の城下町に行けばヴァイスがいるだろうと思い向かおうとしたがついでにリューネとラニも連れて行くかと考えて一旦リューネ達がいるタカシ君のテントへと向かう。タカシ君のテントへと辿り着き中に入ると再びリューネのダイブを喰らうがリーシャさんをお姫様抱っこしているので倒れないように踏ん張った。
「リューネ……だからダイブを止めろと言ったろ」
「ショウ、ねえたまを助けたの!?」
「うーん、まあ、そうなるかな」
「ショウゥウウウウウウ!!!」
「待て、落ち着けリーシャさんが寝てるんだ」
「うっ、はい」
「ようし、良い子だ。これからヴァイスの所に行くぞ」
「パパ上の所に帰るの?」
「ああ、そうだ。帰る準備して来い」
「はぁーい!」
リューネはラニの所に行き帰る事を伝えている。俺はエレノアさんとタカシ君の所に行く。
「ショウさん、一旦準備が終わるまでそちらの方をベットに」
「ありがとう」
「山本、魔王の所に帰ってその後どうするんだ?」
「いや、実はさっき黒幕が俺に直接宣戦布告してきやがったのよ」
「はぁ!? どういうことだ!?」
「どういう事も何も黒幕が直接戦おうってさ」
「おいおい、マジか。勝てそうなのか?」
「一度戦った時は辛勝してる。でも、あの時はまだ奴は本気じゃ無かったと思う」
「本当に大丈夫なのか?」
「わからんが俺も魔王を倒した事からレベルアップしてるからね」
「どれくらいなんだ今は?」
「1000くらいじゃね? ぶっちゃけステータス値って正しいのか分からないし」
「確かに言われてみれば……」
「だいたいなんだよ、この知力って奴! こんなに高かったら俺は今頃もう少しうまく立ち回るわ!!」
「まあ、そう怒るな。それより帰る準備が出来たみたいだぞ」
言われて見るとリューネとラニは帰る準備が出来ていたようで俺の話が終わるのを待っていてくれた。俺は今だに寝ているリーシャさんをお姫様抱っこしてタカシ君達に御礼を言って外に出る。チート万歳の軍用ハマーを異空間から出してリーシャさんを乗せラニとリューネを乗せる。あまり揺らさない様にしてヴァイスのいるであろう城下町へ向かう。
城下町に辿り着くとハマーを見た魔族達が驚き警戒するように武器を構える。誤解を解こうとしたらリューネが窓から顔を出したらすんなり解けた。町の人に話を聞くと負傷者を全員治したらヴァイスは城に帰ったということだ。そういう訳で城へとハマーを走らせる。
城へと到着。ハマーから降りてリーシャさんを降ろす。リーシャさんをお姫様抱っこして城の中へと入る。城の中からはヴァイスとミランダさん以外の気配が感じられる。一つはハーピィの族長だ。後は知らない連中だと思う。いや、戦争のために召集された各魔族の族長達だろう。俺はリューネとラニにミランダさんとヴァイスを連れて来るように頼んだ。
ヴァイスとミランダさんがリューネとラニに連れて来られる。ヴァイスとミランダさんはリーシャさんを見て駆け寄って来る。安心して寝ているリーシャさんを見てミランダさんは安堵の溜息をつく。俺はリーシャさんをミランダに渡してヴァイスに話しかける。
「ヴァイス、黒幕が宣戦布告して来た」
「何? それは本当か?」
「ああ、間違いない。しかも人類と魔族の両方に喧嘩を売るらしい」
「ほう、随分と大きく出たな」
「いや、あの口振りからすると何らかの切り札を持ってると思うぞ」
「なるほど……」
「どうするよ?」
「決まっておる。全力を持って叩き潰すのみよ」
「まあ、そうなるだろうな。俺は人間の陣地に戻る事にする」
「うむ」
「またな」
俺は軽く手を挙げて城を出て行き人間の陣地に戻って行った。
うーん、この後の展開がな
では次回を!




